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「失われた週末」”The Lost Weekend”(1945)

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映画レビュー
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「失われた週末」(1945)

  • 監督:ビリー・ワイルダー
  • 脚本:ビリー・ワイルダー、チャールズ・ブラケット
  • 原作:チャールズ・R・ジャクソン
  • 製作:チャールズ・ブラケット
  • 音楽:ミクロス・ロージャ
  • 撮影:ジョン・サイツ
  • 編集:ドーン・ハリソン
  • 出演:レイ・ミランド、ジェーン・ワイマン 他

お色気ある楽しげな人間ドラマが印象的なビリー・ワイルダー監督が、真剣真っ直ぐにアルコール中毒を描いた作品で、アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優と脚本賞を得ました。

当時としては新鮮な作品であったでしょう。

飲んだくれは多く登場しても、それまで深刻な問題ある人物として描かれることはなかったようです。

ニューヨークに暮らすバーナムはひどいアルコール中毒で、兄ウィクと恋人のヘレンは懸命に支えるが立ち直れずにいた。

ある日もまた嘘をついてまで酒が欲しくなり、なんとかやりこんで馴染みの酒場へ行くバーナム。

そこで彼は酒と、そして自分を支える人とのことを振り返る。

全編にわたる独特な映像、音楽。禁断症状による幻覚や緊張感が張りつめる音楽など、精神的に観ているものをつかまえる怖さがあります。

レイ・ミランドの汗を流しながら目の定まらない演技は、どうしても逃れられない恐ろしさが伝わります。

わかっているがやめられない、あと少しだけ。

投やりになったり、不安と焦りで押しつぶされそうになったり。バーナムのただ苦しむ姿がそこにあります。

モンスターも幽霊もでない、銃撃戦もないしギャングも殺人鬼もいない。しかし酒に侵され狂う人、その異常さは凄まじいです。非情に恐ろしい。

アルコール依存症はむかしからありますが、どこかで真正面から描かれる必要があり、ここに現れました。

緊張と焦燥感に包まれ、ひやひやさせる映像と音楽を。そして苦しみ滅びへ向かう人をここに見る価値はありますね。

それでも最後には人間らしい暖かなものを残すのは、ワイルダー監督らしいのでしょう。

滑稽に描かず、悲哀を持たせず、ただ真っ直ぐにアルコール中毒を描いてみせた素晴らしさ。

是非一度観て欲しいものです。

今回はそんな映画でした。お酒には気を付けましょう!

それではまた~

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