「オール・イズ・ロスト 最後の手紙」(2013)

  • 監督:J・C・チャンダー
  • 脚本:J・C・チャンダー
  • 製作:ニール・ドッドソン、アンナ・ガ―バー、ジャスティン・ナッピ、テディ・シュワルツマン
  • 音楽:アレックス・エバート
  • 撮影:フランク・G・デマルコ、ピーター・ズッカリーニ
  • 編集:ピート・ボドロー
  • 出演:ロバート・レッドフォード

こちらアメリカでは2013年公開、日本では今年の3月に公開しました映画です。見た方もいらっしゃるかな?

批評家の絶賛が多く、またこの特殊さに惹かれ楽しみにしていたものです。

なにが特殊かといいますと、この映画、出演がたった一人なんです!そしてさらに全編海の上。

さらにさらにセリフもほとんど無いのです。これはおもしろそうだと思いました。

海のど真ん中。老人が目覚めると、乗っていた船が、海を漂っていたコンテナと衝突していました。コンテナをどけて修復作業に取り掛かる老人。

しかし入り込んだ海水で大事な無線機が壊れてしまい、助けを呼べなくなり、海の上ただ一人、サバイバルが始まります。

海上サバイバルでは「ライフ・オブ・パイ」(2012)が印象に残っていますが、あちらは人の生やある種の精神論。

そして幻想的な映像が推されていたのに対し、こちらは生きることの教訓や映画的な誇張表現が全くなく、もしかしたらなんの面白味もない映画に感じてしまうかもしれません。

しかし、この映画において大事なのは、「全て失って」。まさにその何もなさなのではと思いました。

たった一人の出演者、ロバート・レッドフォード。久々の主演ときたらなかなか難しそうな役に挑戦ですね。

インタビューでも難解な役に取り組むのが好きと言っている彼ですが、この映画での演技には本当に驚かされました。

全くしゃべらず、ほとんど仕草や表情、息遣いだけでこれほど観ている人を引き込めるとは。

この老人と”本当に”海の上で苦難に立ち向かってると思わせてくれる。彼の演技なしには不可能だったと思います。私は心から彼の演技に拍手したい。

映し出されるのは海の美しさと恐ろしさ。

穏やかで日の照らす海面と帆をはためかせる風。

凄まじく荒れ狂う波に、叩きつける雨と轟音を立て吹き荒れる風。

老人が試行錯誤しつつ立ち向かうのは、やはり人にはどうすることもできない海なのです。

この老人と海(有名なお話みたいですが笑)にここまで引き込んでくれるのは、ロバート・レッドフォードの演技ともうひとつ。先にあげた「何もなさ」、いわば究極までの削りにあると感じます。

セリフも音楽も人物も舞台も削りに削っていくことで、逆にそこに残ったものに観ている側はいつも以上に注意すると思うんです。

雨音や日の光、波や風の音。より聞こえて肌で感じられる。

そしてそこに最高の演技が働きかける。

老人は映画を通しすべてを失っていきます。失うのは0になること。0は終わりでもあり始まりでもあります。

削りに削って、「全て失って」はじめて、見えてくるものがあるのでしょう。

ながくなりましたね。読んでくださりありがとうございます。

この映画「オール・イズ・ロスト 最後の手紙」自分の中ではかなり傑作、おすすめです!

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