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「TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー」”Talk to Me”(2022)

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「TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー」(2022)

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作品概要

  • 監督:ダニー・フェリッポウ、マイケル・フェリッポウ
  • 製作:サマンサ・ジェニングス、クリスティーナ・セイトン
  • 脚本:ダニー・フィリッポウ、ビル・ハインツマン
  • 撮影:アーロン・マクリスキー
  • 美術:ベサニー・ライアン
  • 衣装:アナ・ケイヒル
  • 編集:ジェフ・ラム
  • 音楽:コーネル・ウィルチェック
  • 出演:ソフィー・ワイルド、アレクサンドラ・ジェンセン、ジョー・バード、オーティス・ダンジ、ミランダ・オットー 他

SNSでバズる「90秒憑依チャレンジ」に夢中になった女子高生の恐怖の運命を描いた、オーストラリア製のホラー映画。2023年のサンダンス映画祭で注目を集めました。

ドラマ「エブリシング・ナウ!」の主役ソフィー・ワイルドが今作の主人公ミアを演じます。

そして、人気YouTubeチャンネル「RackaRacka」を運営する双子の兄弟、ダニー&マイケル・フェリッポウが、長編映画監督デビューを果たしました。

あまり知らない作品ではあったのですが、劇場予告を観てから調べてみると海外での評価が高く、年末に楽しみにしていた作品の一つです。

公開週末に早速観てきましたが、結構人が入っていました。

~あらすじ~

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2年前に母を失った高校生のミアは、未だにその喪失に向き合えずにいた。

そんな彼女は友人からSNSで話題の「90秒憑依チャレンジ」に誘われ、気晴らしに参加することに。

このチャレンジは、手の形をした呪われた置物を握り、「トーク・トゥ・ミー」と唱えることで霊が憑依するもの。

それはドラッグのように強烈なトリップ感覚をもたらし、若者たちは熱狂していた。

その手を90秒以内に離さなければならないというものであったが、ミアに憑りついた霊は強烈な力で超常現象を起こし、ミアは時間制限を超えてしまった。

その後もミアと仲間たちは強烈なスリルと快感にのめり込み、チャレンジを繰り返すが、その中でメンバーの1人にミアの亡き母が憑依してしまうという出来事が起こる。

感想/レビュー

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いまやYouTuberが映画監督になる時代。

より身近というか、若者たちの青春や10代の葛藤を描きこんでいくといううえで、その感覚はフレッシュなかけ合わせのホラー映画として昇華されています。

こっくりさん的な霊との行進で、恐怖や危険を遊びにしてしまうという感覚は、すこし力があって、それでもまだ子供でもあるこの年代特有のものです。

実際にドラッグのオーバードーズとか、危険なことをそれ自体遊びにして挑戦していく若者は世界中にいますね。

そしてSNSの時代では、その様子を配信したり投稿してさらなるセンセーションが巻き起こる。

だから非常に危険な状態になったとしてもそれもまた楽しいことの延長です。

この感覚は昔もホラーでは「フラットライナーズ」などがありましたが、より今の世代を捉えている融合体だと感じました。

表面上にはまさに不気味なホラーに仕上がっていて、明確なモンスターがいるというほどでもなく、またジャンプスケアの多用にも頼らない。

じわじわとした陰鬱さとどちらかといえば精神的な追い込み方から、根源的な恐怖を掘り起こされていきます。それは死ではなく孤独です。

主人公ミアの最大の恐怖は孤独であり、それを最大限に回避していこうともがき続けるほどに、悪霊の思うままに堕ち続けていきます。

全てを肯定して大好きとまではいかない作品ですが、着眼点やつくり込みは素晴らしいと思います。

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私個人の難点は、作品の必然であるのでほんとうに好みになりますが、ミアが落ちていく精神的状態というか、行動についてはどうしても自己中心的で嫌悪感を持ってしまったところです。

ただそうなるべくして描かれているので、欠点ではなくて本当に好みの問題でしょう。

ミアは孤独に苛まれていて、自分には父親がいるのにまともに会話もしない。

自己の家族を拒絶をしている一方で彼女は母の喪失からの寂しさを埋めるように、ジェイドの家族の方に依存していきます。

そのくっつきっぷりが個人的にはちょっと無理な感じですが、彼女はそれだけ喪失に苛まれていて、拠り所が欲しいのです。

元カレとの関係とか、人気グループからのパーティでの反応とか見ていても、ミアの味方はかなり少ない。

同じようにちょっと行けてない感じのジェイドの弟ライリーの気持ちもわかります。

周囲に対して何か存在感を示して、承認欲求の表れのようにこの危険なゲームに飛び込む。

自分の居場所を得るために、何か行動を起こそうというのは確かに10代の頃はあるもんです。

この依存関係を、悪夢的に展開していった作品。

巧く利用されて最悪の形になっていくというコンセプトはすごく好きです。

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しかしここもまた好みの問題ですが、引き返せるポイントがいくつかあるのがちょっと物足りない。

話が始まった時点から詰んでいる「へレディタリー」とか「女神の継承」タイプがすさまじく好みなので、今作においてももっと前から詰み状態だとより後味悪くてよかったかもと思ってしまいます。

個人的には母の像は結局利用されたと解釈しています(水の音や濡れた触感、皮膚のただれは例のモノであり、母の死因には関与しない要素のため)が、むしろ母の死という映画開始前のイベントから終わっている状態だと最高です。

この辺は好みです。

しかし肉体的な接触が活かされているのはすごく好きなところ。

ミアがダニエルとジェイドのハグに交ざってハグするあの寂しがりの行き過ぎた感じもヤバいです。

そしてとにかく手です。

呪われた手の剝製を中心にする作品ですが、手を触れあうというシーンがいくつかあるのです。

そこに人間が根源的に持っている寂しさと安心、接触したいという願望が込められています。

伸ばした手をはねのけられるのは辛いものですね。

ミアの話していた鏡に映らない自分=世界に誰も自分の存在を認める人がいないという点も、この人との接点を強く求める現代の若者の願いが集約されています。

それを悪用したいやらしいホラーとして、フレッシュでありとても楽しめた作品。年末駆け込み作品の中でも結構お勧めの作品です。

今回の感想はここまで。

ではまた。

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