「バリー・シール アメリカをはめた男」(2017)

  • 監督:ダグ・リーマン
  • 脚本:ゲイリー・スピネッリ
  • 製作:ブライアン・グレイザー、ブライアン・オリヴァー、タイラー・トンプソン、ダグ・デイヴィソン、キム・ロス、レイ・アンジェリク
  • 製作総指揮:パリス・ラトシス、エリック・グリーンフェルド、マイケル・フィンリー、マイケル・ベイシック、レイ・チェン
  • 音楽:クリストフ・ベック
  • 撮影:セザール・シャローン
  • 編集:サー・クライン、アンドリュー・モンドシェイン
  • 出演:トム・クルーズ、ドーナル・グリーソン、サラ・ライト、ジェシー・プレモンス、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ 他

「バリー・シール アメリカをはめた男」"American Made"(2017)

「ミッション・インポッシブル」シリーズや、最近ではワーナーのダークユニバース「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」(2017)にも出演のトム・クルーズ主演の伝記映画。

監督は「ボーン・アイデンティティ」(2002)のダグ・リーマン。彼とトムは「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(2014)でもコンビを組んでいますね。

今作はアメリカに実在したパイロット、バリー・シールの人生を、アメリカ史の裏側と共に追いかけていく伝記映画になっています。

助演には「スター・ウォーズ フォースの覚醒」(2015)などのドーナル・グリーソン、「ブリッジ・オブ・スパイ」(2016)のジェシー・プレモンスなど。

公開日に観に行ったのですが、日本では知名度のない人物のしかも伝記映画ながら、やはりトム・クルーズという力は強いようで、ほぼ満員になっていました。結構上映期間自体長かった気がしますね。

「バリー・シール アメリカをはめた男」"American Made"(2017)

1970年代後半。アメリカ航空会社でパイロットとして働いていたバリー・シールは、その仕事を利用して、個人的な密輸行を営み、金を稼いでいた。

その秘密のビジネスはCIAの目に留まり、彼の元にエージェントが現れた。その男はシールに架空の会社を与え、さらに専用機を用意し、中米や近隣諸国の空からの偵察任務を依頼したのだった。シールは見事な飛行技術に加え、持ち前の機転を利かせることで、この偵察任務をこなすのだが、それだけでは止まらなかった。

偵察先の独裁者の仲介のほか、麻薬カルテルのコカインの密輸に武器の密輸まで、シールは金の手に入るビジネスなら何でも請け負っていった。

しかし、様々なビジネスに深々と入りすぎたシールは、どの方面を向いても必ずいずれかの組織に背を向ける状況に陥ってしまうのだった。

「バリー・シール アメリカをはめた男」"American Made"(2017)

トム・クルーズ主演映画と言うと、大きくはMIシリーズ的な無敵ヒーローものか、もしくは「レインマン」等のようなどちらかと言えば軽薄なダメ男系に分かれていると思います。

今作は後者の方で、かなり彼の魅力が輝いている作品だと思います。「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」がダメなトム・クルーズ映画だとすれば、今作は良いトム・クルーズ映画という事です。

バリー・シールは確かに犯罪者ではありますが、極悪人と言うよりは、ノリで冒険のように密輸を楽しむ人物でした。その行動力やジョーク交じりな感じは、トム・クルーズのもつエネルギーの溢れるような感覚にぴったりと合っているようでした。根っからのワルではないけど、バレなきゃOKみたいな。彼はゲーム感覚にお金を稼いでいて、殺人はせず思想的なものや支配欲もありません。

スキルなどはすごいのに、ちょっと軽薄でアホな感じがかなり良いですね。

状況に合わせてその時に一番メリットになる行動を選んでいく様は、その転がっていく危ない感じも含めてスリルがあります。実際、伝記映画にしては、そしてある程度の年数や多くの人物を描く作品としては、非常にライド感がありテンポが良い作品であります。

複雑になっているバリー・シール周りの関係を、謎な人物は上手くベールに包んだままに、しかし簡潔に説明してくれるので、そういった面でも難しい映画ではなく、ストレートに観ていけました。

「バリー・シール アメリカをはめた男」"American Made"(2017)

また、トムのおかげで、かなりコメディチックな部分もあります。

実話としての描写と考えると本当にぶっ飛んだ話ですが、お金を稼ぎ過ぎてしまい場所に困っている描写は笑ってしまいます。奥さんが靴を探そうにも、靴箱には札束が入っているだけで何箱もあけても肝心の靴が見当たらない。庭に金を埋めようと掘っていると、そこには以前に埋めたお金が既にあったり、納屋にしまおうと戸を開けると、札束袋の雪崩でバリーが埋まってしまったり。

ほぼコントですよ。

それでも、エネルギッシュかつ軽快なスタイルの中に、ダグ・リーマン監督はしっかりと重々しく狂気的であった当時のアメリカを忍ばせてもいますね。

オープニングでも言われるように、当時はまさにアメリカのカオスの時代です。長引くベトナム戦争の果てに国内は疲弊しきっていたのですし、まあ当時の事情はそこまで詳しくないですが、カーター政権って経済的にも厳しかったと認識してますので、アメリカの実情とバリーの周りのギャップはスゴイです。

私は、バリーが各方面と連絡を取るために使っていた公衆電話が印象的でした。あそこで、おそらく帰還兵であろう男性が、公衆電話のおつり口を覗いて歩いているんですよね。あのシーンに全てが詰まっていたように思えます。

苦しみと暗さの詰まっていた国の裏で、表面ばかりで実は政治も思想もなく、ただ金のために渦巻くおかしなシステム。そこに巧く乗っかったシールも、最後にはただの駒でしかなかったのですね。アメリカを騙していたように、彼も最終的にはただ切り捨てられる。CIAへの協力など霧の中です。

総合的には楽しくはありました。

トム・クルーズがハマっている映画でありますし、活発で騒がしくも最後までサクッと観れます。そして、その超絶カオスでただ銃、麻薬、金に溢れまくって最後に死ぬ様は、なんとも虚しいのでした。

ホント、アメリカって何なんでしょうね・・・

そんなわけで、良いトム・クルーズ映画のレビューでした。今更の紹介にはなってしまいましたが、結構おススメですよ。それでは、また~

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