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「スター・ウォーズ フォースの覚醒」”STARWARS The Force Awakens”(2015)

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映画レビュー
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「スター・ウォーズ フォースの覚醒」(2015)

  • 監督:J・J・エイブラムス
  • 脚本:ローレンス・カスダン、J・J・エイブラムス、マイケル・アーント
  • 原案:ジョージ・ルーカス
  • 製作:キャスリーン・ケネディ、J・J・エイブラムス、ブライアン・バーク
  • 製作総指揮:トミー・ハーパー、ジェイソン・マクガトリン
  • 音楽:ジョン・ウィリアムス
  • 撮影:ダン・ミンデル
  • 編集:メリアン・ブランドン、メアリー・ジョー・マーキー
  • プロダクション・デザイン:リック・カーター、ダーレン・ギルフォード
  • サウンドデザイン:ベン・バート
  • 特殊効果:クリス・コーボールド
  • 出演:かつての英雄たち、デイジー・リドリー、ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック、アダム・ドライバー、アンディ・サーキス、ルピタ・ニョンゴ、マックス・フォン・シドー 他

1977年に第1作が公開された大ヒットシリーズ「スター・ウォーズ」。そこから2つの続編が作られ、話は83年に完結。その後99~05にかけてプリクエルである新3部作も公開されました。

そして10年ぶりに、話の終わりからは32年ぶりに待望の新作が公開されました。

もう祭り、楽しすぎる。各所のコラボ、商品展開にトレーラーで泣いたりゲームしたり。チケット争奪して劇場で拍手喝采。ついにその日を迎えたとき、ソワソワして震えが止まりませんでしたw

さて、レビューは完全ネタバレで書きますので、まだ観ていない方は注意!

警告もしましたので、この圧倒的に難しく不可能に近い、スター・ウォーズの新作という映画がどのような結果だったのか私の感想を書いていきますね。あ、長くなりますw

遠い昔、はるか彼方の銀河系で・・・

ルーク・スカイウォーカーが消えた。

銀河帝国の残党から興ったファースト・オーダーは、その不在に乗じて勢力を拡大し、銀河系に再び影を落としていた。

その圧政に対抗するのは、共和国から密かに支援を受けているレジスタンス。彼らはルークの所在の手がかりである地図を求めていた。

エースパイロットのポー・ダメロンが、砂漠の惑星ジャクーにて手がかりを持つロー・サン・テッカーを訪れる。しかしそれもファースト・オーダーに探知され、ポーは地図をドロイドのBB-8に託した。

突撃部隊がジャクーの村を襲い、彼らを指揮するマスクの男にポーは捕えられてしまう。

 

始めにいなくなってしまうので、ここで。今回オープニングにマックス・フォン・シドーが出ていますね。「宇宙の中で多くの絶望を見てきた。」と言っていますが、まあ死とチェスをしたり悪魔と戦ったりした彼を考えると、なかなか面白い位置ですね。

お帰り。寂しかったよ。

今作への期待のほとんどは、いわゆるオリジナル、旧3部作ファンのノスタルジー。ハン・ソロとチューイの二人が帰ってくる。レイアがいる。ルークがいる。その他ファルコンやX-ウイングのマシン。そして惑星や酒場、お決まりの台詞など。ファンサービスがすさまじい。

数々のオマージュがふんだんに入れ込まれていました。観ているだけで泣けてきますね。

直接で嬉しかったのはやはりハンとチューイコンビの登場、「悪い予感がする。」とかアクバー提督とかルークのセーバーとか。キリのないほどに出ています。絶対にファンは泣けますよw

というと、ファンサービスの映画なのか?と思いますが、そうではないです。その点は私が公開前に一番心配していたところだっただけに、安心と感激がありました。

まずもって、しっかり30年の時を各旧キャラが経ている。ソロとレイア、そしてルークでさえ惨事から目を背け逃げた罪悪感が感じ取れますし、自分の経験ゆえの責任を覚悟と共に持っている。

新たな世代となっていく3人の主人公。レイ、フィン、ポー。

それぞれが全く新しいキャラであり、とても良い。

芯が強く正しいことができるレイ。ダメ男ながら葛藤し成長する、そしてコメディも入れてくれるフィン。超絶ナイスガイなポーは彼がいると何とかなりそうというような頼れる感じが素敵です。

みんな新たなタイプの人物としてしっかり描写され、それぞれの掛け合いも熱くまた台詞なし、台詞ありでの深い切り込みもとても良いと思います。

レイはポツンと遠くから撮影され、背景にある旧作からの懐かしいマシンを観れると共に、孤独さが増しています。あそこのレイのテーマも素敵ですよね。さらに家にある反乱軍パイロット風の縫い物、飛び立つ宇宙船を見つめる、ヘルメットを被る。もうルークのように、外への想いが見て取れます。

BB-8を助けるだけでなく、アンテナを直してあげる。その時、彼女の大事な役割が見えた気がしますね。

デイジー・リドリーは本当に様々な表情ができ、それだけで表現の巧みな方。美しく儚げで強くまた可愛らしい。フィンを追いかけるときの怖い顔もナイス。

フィンはおもしろくありながら、一番等身大かもしれませんね。見栄を張っている感じも楽しく、ポーに逃げ出したいだけなのを見破られたり、レイに恋人いるのと聞いたり、BB-8との絡みも、ファズマへの仕返しの調子こいた感じも良いw

ただのストームトルーパーだった彼が、巻き込まれながらも大事なことを学び正しいことをする。結構現代的な青年に仕上がっていて、そこが一番今までにない感覚をもたらしているのかもしれません。

ポーは既に出来上がったヒーローです。「声がこもってて聞こえない」の時点で最高な彼ですが、とにかく安心できるキャラ。良く褒め、励まし、また他のレジスタンスとの交信からも信頼が分かりますよね。レジスタンスのマーチの盛り上がりも含めて、オスカー・アイザック最高や!

そんな3人の真っ直ぐな人物のカウンター。それがカイロ・レン。

ハンとレイアの息子ながら、スノークに誘惑され暗黒面に。冷酷でありながら、かなり不安定な悪役です。キレ芸は周りの反応含め最高でしたw Uターンするトルーパー良いよね。

不安定さはライトセーバーに表れ、揺れ動いているようにも、激しくほとばしっているようにも見える光刃は、今まで聞いたことのない音を発しています。

なんかショボイとかいう声も聞きますが、私はとても素晴らしい悪役だと思いました。アダム・ドライバーの顔自体がどこか歪んだ感じもあり、純粋さも複雑な心も、残酷さもしゃべらずに出せる俳優ですね。

強くなくて魅力ないと言われてもいますが、弱く不安定であるべきなのです。今回はある事を経て、必ず悪として成長していくはずですから。完璧では、ベイダーの焼回しというつまらないものになっていたでしょう。

ブラスター空中止めはフォースの表現として斬新で、引き込みが素晴らしい。

今作は4人の若き新世代にとても魅力があり、旧作ファンへの感謝祭に終わっていないのが素晴らしいのです。

また、その新たな流れの中で旧3部の大事な要素や嬉しい部分をしっかり押さえながらも、それを使ってしっかり新しいことをしていることも良いですね。今回セットはちゃんと本物を作って望んでいるので、フィジカルに訴える部分があります。重みも感じられて、ここが旧3部の頃の空気を感じさせてくれるんだと思います。

始めが夜というのもなかなか斬新。

また、フィンのおかげでストームトルーパーに焦点があるのも面白い。人気はあれど劇中で視点が置かれなかった彼らですが、フィンの見る冷酷な軍隊としての彼らや、裏切者への怒りが描写されています。

それぞれが生きた人間である感じ、素敵です。

それはポーとフィンの意気投合であるタイ・ファイター飛行にもあり、やられ役の宇宙船に主人公が乗ることで、ファンはタイ・ファイターの活躍が観れますし、それでいて今までなかった描写になっていました。

そして出撃シーンや襲来シーン。

ずっとおもっていたあの独特のタイ・ファイターの飛行音。あれをしっかり演出に取り入れてくれてとても嬉しかった。水上を飛ぶX-ウィング、夕陽にうつるタイ・ファイター。ファルコンの飛行シーン。

今まではカットを割ってのドッグファイトでしたが、今回はポーの活躍シーンなんかで特徴的な、長めの撮影に一連の戦闘を見せてくれていたり。BB-8越しにとんでもない数のタイ・ファイターがこっちに来るのが見える構図もとても好きです。トンファートルーパーもナイス。

デス・スターみたいなのは観たい。なら見せましょう、ただし今回は新しいやり方をするよ!

って感じで、スターキラーなんて嬉しい名前の惑星兵器を出してくれて、あの惑星破壊の恐ろしいこと。ナチス的な集会に始まって、今回はビームが届く側の視点、またその光景を他の惑星から見る視点が加わります。

この世の終わりを見せられ、また遠くで恐ろしいことが起きているのも目撃させられる作りです。非常に旧を大切にしながら、新たな表現をみせてくれました。

そして旧作キャラも、ただの顔見せでない、というかいままで以上に感情的に。

ハンとレイアの掛け合い、チューイの叫び。

今回は家族の物語であるゆえに、一層感動的なものになっています。チューバッカがここまで感情豊かにそして重要な叫びをしたことはなかったかもです。

やはりスター・ウォーズは光と闇の戦い。

ファースト・オーダーは銀河を照らしてくれる光を奪い、禍々しい血の光に変えて破滅と死をもたします。ですからタイ・ファイターは闇の音連れの前である夕陽をバックに飛んでくる。

息子ベンを取り戻そうと、橋の上で対峙するハン。

スター・ウォーズにとっての橋は、ベイダーが父であるということを知る場所であり、ルークがベイダーを説得する場所。そして橋にはあちらとこちらの二つの方向しかない。

その上で一歩も動かないカイロ・レンに、ハンは歩み寄っていきます。レイとフィンの後ろから差す光がハンを通りベンの顔にも当たりますが、やがて消えてしまう。

暖かな太陽光の代わりにベンの顔に映るのは、赤い照明。そして自らを悩ませていた光である父を殺し、ベンはマスクをつけなくとも完全にカイロ・レンになってしまいました。

思えばレイアが見送るシーンで、ハンはほとんど画面の端に、眩くて体が見えないくらいの光に包まれていましたね。

「去り際はいつもそっけなくて、寂しかったろ?」

「ええ、寂しかったわ。」

私も寂しい。

ここは純粋な驚きと、唐突な別れでした。ルークにばかり注目が行っていた公開前ゆえに余計に喪失が。その準備はできていなかったよ・・・

光の失われた森の中、真っ赤な光がフィンとレイを照らします。

それに対して、希望の光である青いライトセーバーを手に戦う。十字のセーバー、しっかり十字であるという特徴を活かしていて、もう最高w飾りじゃないぜ!

カイロ・レンが体をバンバン叩き、痛みと怒りを力に変えようとする姿は、暗黒面の教えを初めて体現している表現ではないでしょうか?

レイとカイロ・レンの戦いはとても象徴的ですね。

エピソード5のオマージュかと思えば、善の光を取るのはレイでした。

そして激しくぶつかり合うセーバーと二人。つかみ合った時の演出の素晴らしさ、ここでまた涙が・・・ 暗黒を示す真っ赤なセーバーを下に、希望の光である青いセーバーを上に、という構図になるんです。悪は堕ちろ!善が大きく掲げられる印象的なショットでした。

そうして善悪は文字通りに隔絶し、レイには白い光が当たるんです。

デス・スターのように大きな球体が爆発して終わりではありますが、今回はそのまま太陽の様に輝き、ポーたちを照らして見送ってくれています。

最後の最後、一切台詞を持たずに終わっていくのもスター・ウォーズらしく、また今回はマークとデイジーの眼と表情だけですべての感情が伝わってくる。

待つんじゃない、自ら探し求めろ。

人々を熱狂させたスター・ウォーズの大切な部分を残し、ファンへの愛を伝えます。話は歴史を繰り返しながら、しっかりと新しいやり方で次の時代を作りました。

この先のヒーローたちの活躍が楽しみで仕方ない。もうここからは、レイたちの物語。

ここまでに見事に継承と感謝、創造を詰め込んだJ・J・エイブラムスに感謝です。彼はスター・ウォーズにユーモアとフレッシュなエネルギーを再び吹き込んでくれたんです。

ということで、もう書きたいことが多すぎてごちゃごちゃなんですが、ここらで感想を終わります。まだまだ言いたいことは多いですし、この先何度も観てまだ発見もするでしょう。

とにかく映画の歴史的な瞬間であることに違いないこの2015年末。観ないという選択肢はない。

フォースが呼んでいる、あなたの覚醒を!

それでは~

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