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「アメリカン・スナイパー」”American Sniper”(2014)

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映画レビュー
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「アメリカン・スナイパー」(2014)

  • 監督:クリント・イーストウッド
  • 脚本:ジェイソン・ホール
  • 原作:クリス・カイル 「ネイビー・シールズ 最強の狙撃手」
  • 製作:クリント・イーストウッド、ロバート・ロレンツ、ピーター・モーガン、アンドリュー・ラザール、ブラッドリー・クーパー
  • 撮影:トム・スターン
  • 編集:ジョエル・コックス、ゲイリー・D・ローチ
  • 出演:ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー 他

イーストウッド監督、ブラッドリー・クーパー主演の伝記映画。以前はディカプリオ主演で「J・エドガー」を伝記映画として撮っていますね。

今作はイーストウッド史上最高興業収入、戦争映画としても一番だそうです。様々なところで論争になったり、とにかく派閥の生まれる映画となりました。作品から何か考えるというのは大切なので良いでしょう。

劇場では、最新作で人の入りもなかなか、しかしシニアばっかりでした。若い人にも観てほしいです。

イラクの崩壊した建物の屋上。

スナイパーのクリス・カイルは銃のスコープを除き、付近を警戒していた。そのとき家屋から出てくる女性と子供を視認。女性が何かささやき、子供に対戦車爆弾を渡す。本部からは視認できず、自分の判断で撃てと命令が下り、クリスは引き金に指をかける。

色々思う前に、ブラッドリー・クーパーに感心です。ハングオーバーに出てるイケメンくらいの、おおげさな演技俳優が今やオスカーを獲ろうという俳優になってます。今作では軍人らしい綺麗でないごりごりの体に。クリス・カイル本人に会い役作りをしたとか。イーストウッドの早撮りゆえ、毎回これっきりの演技と考えすべてを出していますね。奥底で悩むさまが良く、もろに苦悩していますと押し付けっぽくなくて好きな演技でした。

戦争の英雄とは平和における悪魔と言いますね。

情けを捨て任務、国のため人を殺す。もし街中で人を一人殺せば冷酷な犯罪者、しかし戦場では殺せば殺すほどに偉大になる。クリス・カイルは伝説か悪魔か。見方は人によりますが、ここではあえてどちらと結論を出さず、観客にゆだねているように感じました。そのとき英雄でも後年の研究で殺戮者扱いされることはあります。その逆もですね。

 戦争映画・・・というよりは伝記映画と思います。国家や政治でなくクリス・カイルという男の物語。彼の人生にあったイラク戦争。

硫黄島や父親たち~でもそうだったように、今回もイーストウッドは戦争を直接的な表現を持って美化や批判をしないです。クリス・カイルを通して見て感じるほどに抑えています。こういういい意味での力の抜き具合が好きなところ。

スコープからのぞき、照準の先には子供がロケットランチャーを抱えている・・・そのとき感じるものがまさにイラクそしてすべての戦争において兵士が感じるものでしょう。スクリーンに映るそれは、たとえこちらに引き金がなくてもそらしたくなるものです。

音響賞も納得の銃声や特定の音。

おそらくわざとですが、戦闘時の位置関係がかなり分かりずらいです。それに重なって四方八方から聞こえる銃声。まさに地獄。どこへ行く、何をする。もうわからない。

その恐怖の音はクリスがそうであるように、安心できるはずの故郷にいてもずっとこだましています。私も劇場でてもくっきり思い出せますし、やはりドリル音なんかは聞くと・・・

いつ聞こえるかわからない緊張、戦時には鳴りやまず、強烈な印象を残す。そうまで蝕まれ、死ぬ思いをしてもなおなぜクリスは戦場へ戻るのでしょう。

疲弊し絶望した弟に対し、自ら戦いに行くクリス。

彼が愛国者だから?殺すことの間隔麻痺かそれとも欲求?父の教え、番犬であるため?

私はクリス自身生来の戦士であると思います。生まれながらに戦える人間。しかし狂っているとは言いません。苦しみながらも、彼の思う彼がすべきことをしたのでしょう。

結論としては、私には戦争批判と思えました。

クリスも少なかれ心を喰われているんです。色々な理由はあるにしても得るものより失うものの方が多いのが戦争。

今回は完全にアメリカ視点で、クリスにのみ焦点を。家族やら国、軍の話ではないですね。

正直スローモーション銃弾のシーンとかう~ん、と思うところもありますが、暴力についての変わらないスタンスや、偏らないように緊張するのでなく逆に力を入れないこと、イーストウッドのセンシティブな題材へのアプローチのうまさが引き立つ作品でした。

そんなわけで注目のアメリカン・スナイパーです。おすすめというか、イーストウッドですよ!観なきゃって感じで劇場へどうぞ。

それではまた。

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