「ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り」（2023）

作品概要

• 監督： ジョン・フランシス・デイリー、 ジョナサン・ゴールドスタイン
• 脚本：ジョナサン・ゴールドスタイン、ジョン・フランシス・デイリー、マイケル・ジリオ
• 原案：クリス・マッケイ、マイケル・ジリオ
• 原作：ハズブロ『ダンジョンズ&ドラゴンズ』
• 製作：ジェレミー・ラッチャム、ブライアン・ゴールドナー、ニック・メイヤー
• 音楽：ローン・バルフ
• 撮影：バリー・ピーターソン
• 編集：ダン・レベンタール
• 出演：クリス・パイン、ミシェル・ロドリゲス、ジャスティス・スミス、ソフィア・リリス、レジ＝ジーン・ペイジ、ヒュー・グラント、デイジー・ヘッド　他

アメリカ生まれのテーブルトークRPGであるダンジョンズ&ドラゴンズを原作とした実写映画。

監督はジョン・フランシス・デイリー、 ジョナサン・ゴールドスタインで、二人は今作の脚本も執筆しています。

主演は「ワンダーウーマン」シリーズのクリス・パイン、「ワイルド・スピード」シリーズのミシェル・ロドリゲス。また、「名探偵ピカチュウ」のジャスティス・スミス、「IT/イット　それが見えたら終わり」のソフィア・リリスら。

また「グレイ・マン」のレジ＝ジーン・ペイジが主人公たちを手助けする聖剣士として登場しています。

製作にはカードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」で知られ、D&Dを97年から主導しているメインウィザーズ・オブ・ザ・コースト社も参加しています。

実は今作の前にD&Dを題材にした映画は3つあるようですね。アメリカ製作が2つにイギリス政策のものが。

今作はそのうちの一番最初の2001年の作品のリブートらしいですが、正直位置づけはどうでもいいかもしれません。

2021年には撮影をしていった作品ですが、コロナの影響や他の作品の公開スケジューリングから公開まで結構空くことになりました。

もともと原作も知らずにはいたのですが、海外での前評判の良さや気軽に見れるタイプの映画に見えたことから鑑賞。

ファースト・デイだったこともあるのでしょうけど、朝早くの回でも結構人が入っていました。

IMAX上映もあるらしいですが、私は通常字幕で観てきました。

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～あらすじ～

義賊ハーパーのメンバーであったエドガンは、仲間のホルガとともに刑務所から脱獄した。

かつて彼らの仲間であったフォージと、エドガンの娘キーラに会いに行くためだ。

しかしフォージこそが、魔術師のソフィーナと結託し、エドガンとホルガを罠にはめた調本に出会った。

娘のキーラを奪われてしまったエドガンたちは、かつての他の仲間である魔法使いのサイモン、また変身能力を持つドーリックを新たに仲間に加え、フォージとその陰にいる魔術師ソフィーナの陰謀を暴くべく冒険の旅に出発する。

旅の中でソフィーナと同じくサーイ出身の聖剣士ゼンクに出会うが、彼からソフィーナの狙いが暗黒の魔法による世界の支配であることを聞かされる。

感想/レビュー

シンプルに楽しめる世界

原作のゲームについては微塵もわからないため、細かなネタや目くばせというのものは気づけていないと思います。

しかしそれでも、この映画はすっごく素直な楽しさと冒険を与えてくれると思います。

すっきりとまとまっているストーリーに魅力的なキャラクターとそれを演じる俳優陣。

かなり念入りに作りこまれた世界観。

完成度の高い世界に、馴染んでいるキャラクターとともに放り込まれていく感覚が、ベースの部分で安心をくれるためにのめりこみやすいのだと思います。

程よい塩梅

世界観に関して、CGレンダリングで作られたビジュアルというモノはやはり圧巻ではあります。

雪山から草原、溶岩たぎる洞窟など背景とはいえロケーション的な見ごたえもあるでしょう。

話運びに関しては人の伝手をあたっていくものではあるのですが、無駄にそれぞれを説明し続けるということもなくて、ある程度は観客に思考を任せるという良いバランスであったと思います。

別れたくないNPC

バランスというと、キャラクターの扱いがツボでした。

今回レジ＝ジーン・ペイジが聖剣士ゼンクを演じているのですが、パーフェクトすぎる存在なんですよね。

剣技も強くて知性がありカリスマで頼もしい。ですが旅の助けになるシーンの後にはあっさりと退場する。ここからは君らの旅だと。

この加減が良いなと思います。よくRPGで、ストーリー信仰のために一時的にパーティに加わってくれたり、共闘するキャラがいますよね。

すごく強くてこのままパーティメンバーにしたいのに、ストーリーの区切りで強制離脱する。ゼンクはあの感じがありました。

意識しているのか分かりませんが、RPG的な扱いを映画脚本にうまく練りこんだ印象。

ゼンクからみのシーンでは、エドガンが「何があってもお前の手は取らない」というセリフがありました。

でもその後、ふとっちょドラゴンに喰われそうなところを助けられ、そこでゼンクの手を取ってる。

こういった細かい描写も良かったなと思いました。

キャストがみんなはまってる

クリス・パインはちょっとダメな子犬感が寄り添いたくなるし、大きなスクリーンに映るブルーの瞳が最高です。

またリアルに妖精みたいなソフィア・リリスは彼女自身がファンタジー世界になじんでいます。

やるときはやる男としてのジャスティス・スミスも良いですね。ほんとにいろいろな大作に出るようになりました。

おまけにヒュー・グラントも「パディントン2」のフェニックス・ブキャナンに続いてなんとも人当たりの良いクズを陽気に演じています。

やはり最後にヒュー・グラントが刑務所送りになる映画は良いぞ・・・

不適合者の熱い絆

もともとはかなり個人的な欲求から動いていたエドガンやホルガ。はぐれ者のサイモンとドーリック。

エドガンが自分の非を認め、そして逃げるためではなく真に英雄的な行動のために船のかじを取る。

徐々にアクションの中でチームワークを見せていき、最後には「ミッション：インポッシブル」ばりの作戦に次ぐ作戦で魅せる。

そして最後は観客すらもあっと驚かせてくれます。

合間合間にユーモアを挟み、スピーディな展開と広がる世界を前にライドしていきながら、きっとラストには思わぬ涙をくれるでしょう。

映画館で映画を楽しむことが息抜きなら、かなりいいバランスで現実と違う世界に連れて行って楽しませてくれるうってつけの作品でした。

今回の感想は以上。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた。