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「フォードVSフェラーリ」”Ford v Ferrari” aka “Le Mans 66″(2019)

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ford-v-ferrari-movie-2019 映画レビュー
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「フォードVSフェラーリ」(2019)

  • 監督:ジェームズ・マンゴールド
  • 脚本:ジェズ・バターワース、ジョン=ヘンリー・バターワース、ジェイソン・ケラー
  • 製作:ピーター・チャーニン、ジェンノ・トッピング、ジェームズ・マンゴールド
  • 製作総指揮:ダニ・バーンフェルド、ケヴィン・ハロラン、マイケル・マン、アダム・ソムナー
  • 音楽:マルコ・ベルトラミ
  • 撮影:フェドン・パパマイケル
  • 編集:マイケル・マカスカー、アンドリュー・バックランド
  • 出演:クリスチャン・ベール、マット・デイモン、カトリーナ・バルフ、ノア・ジュープ、ジョシュ・ルーカス、ジョン・バーンサル、レイ・マッキノン 他

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「ローガン」(2017)などのジェームズ・マンゴールド監督が、24時間の周回レースであるル・マン大会にて、打倒フェラーリに燃えるフォードと、それにかかわったエンジニア、レーサーの実話を描く作品。

実在のレーサー、ケン・マイルズはクリスチャン・ベール、そしてエンジニアで親友のキャロル・シェルビーをマット・デイモンが演じています。

今作は批評家にも観客にも非常に高く評価されていて、ゴールデングローブ賞ではベールが助演男優賞にノミネートしていました。

昨年の東京国際映画祭にても上映がありましたが予定が合わず。でも早めに日本公開してくれてうれしいですね。

自分はル・マンとかスポーツカーとかにはあまり詳しくないのですが、俳優目当てとやはりマンゴールド監督の新作というのもあり楽しみにしていた作品。

公開週末に見ましたが、人の入りは良かったですね。以外に若い人がいなかったですが。

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1963年。アメリカの巨大自動車会社フォードは、新たにスポーツカーとレース分野への進出を画策し、イタリアのフェラーリを買収しようとするも失敗。

自社のプライドを大きく傷つけられコケにされたことに、社長のフォード2世は激怒した。

フォードは巨額の資金をつぎ込み、このレース分野におけるフェラーリの玉座、ル・マン24時間大会へ出場しフェラーリを叩きのめすことを誓う。

そこで声がかかったのは、元レーサーであり歴史上唯一アメリカ車でル・マンを制覇した男キャロル・シェルビー。

そして、扱いにくいが腕は確かな、キャロルの親友のイギリス人レーサー、ケン・マイルズがチームに入る。

しかしル・マンそのものに加え、理解のない上層部や企業としてのマーケティングなどがシェルビーとマイルズに立ちふさがる。

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マンゴールド監督は150分もの作品の長さを全く感じさせませんね。まさにブレーキなしでぶっ飛んでいくような作品。

過剰にアクションがあるわけではなく、レースを配置する関係でも人物のドラマを描く点でもしっかりと流れていく物語がありますが、各パーツをうまくまとめていると感じます。

まるで車そのもののように美しく組み立てられた映画だと思います。

ここでは実話の経緯から、シェルビーとマイルズの友情、マイルズの家族の物語、チーム、会社と経営やマーケティング、レースのルールやら車の改良についてまで描かなくてはいけないことが多いはず。

それらすべてを順序良く並べているからこそ、ギアのチェンジのようにシーンごとにそれぞれの部品が活躍し、スーツ男に頭にきていれば、すぐに奥さんや息子の心に寄り添い、そしてレース向けスポーツカーの改良について学んだり。

飽きないラインで次の切り替えがなされ、最後までずっとダレないんです。

序盤のマイルズの言うとり、マンゴールド監督は映画の扱い方を心得ているんだと思います。

どこで飛ばし、どこで緩めるか知り、キビキビと運ぶ。職人ですね。

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なかでもやはりメインを張っているマット・デイモンとクリスチャン・ベールの二人がすごく良いですね。

お互いの歴史とか、罵倒しあえる関係性とか、少年に戻れるような間柄が素敵でした。

今作では自由な立場ではなく二人ともしがらみを抱えますが、それを理解して気遣うところもまた、気にかけている様子が良い。

地味な部分ですが、ゴミ捨て場でケンカになるシーン。

一瞬シェルビーが缶詰かビールの缶かをつかむんですが、それをすぐ捨ててパンの袋を拾ってマイルズを叩くんですよ。

この本気で相手を傷つけない感じ、小さいけど好きなところ。

あとこんな二人を椅子用意して見守る奥さんのカトリーナ・バルフも良いですね。ケンとの夫婦関係も、長々しないでも深さが分かりました。

役者がみんな良いのかもしれません。ベールの風変わりかつカッコいい男。情に厚くてここぞで芯の強さを見せ、繊細な目をするマット・デイモン。

憎たらしさの素晴らしいジョシュ・ルーカスも、商売よりだんだん芸術としてのレースに惹かれるジョン・バーンサルも。

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色々とドラマチックな作品と思いますが、とにかく楽しいっていうのが大きいです。エンターテイメントとして、本当に万人受けするタイプです。

レースの臨場感はすさまじく、社内のベールをとらえる撮影に、地面ギリギリの低さでぶっ飛んでいくカメラワーク。

車の各動きが意外に分かりやすかったり、前半のテクを後半でも見せてくれて自分の中に落とし込む部分があったり。

またエンジン音にギアチェンジなどの徹底したサウンドデザインも素晴らしい。

「ラッシュ/プライドと友情」を見たときを思い出しました。すごい迫力なので、是非大きなスクリーン、劇場の圧倒的な音響で楽しんでほしいです。

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芸術と商業。この両方にて成功をつかんだシェルビーとマイルズ。

それが作品自体とオーバーラップして感じます。最高にアドレナリンの出るエンタメであり、偉大な挑戦と人生における緩急、友情を描く芸術。

強いて嫌だったのは、シェルビーの妨害行為。事実なのかもしれませんし、コメディ要素かもしれませんが、正々堂々な感じを削いでいて残念だったかな。

いずれにせよ劇場の座席でスクリーンに見入って息を忘れてレースを観戦できたので大満足。

間違いなく映画館での鑑賞がおススメですし、名優による素敵なバディ感が見れますので是非公開期間中にどうぞ。

感想はこのくらいになります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

それではまた次の記事で。

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