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「ダークナイト ライジング」”The Dark Knight Rises”(2012)

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映画レビュー
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「ダークナイト ライジング」(2012)

  • 監督:クリストファー・ノーラン
  • 脚本:ジョナサン・ノーラン、クリストファー・ノーラン
  • 原案:デヴィッド・S・ゴイヤー、クリストファー・ノーラン
  • 原作:ボブ・ケイン
  • 製作:エマ・トーマス、クリストファー・ノーラン、チャールズ・ローヴェン
  • 製作総指揮:ケヴィン・デ・ラ・ノイ、ベンジャミン・メルニカー、マイケル・E・ウスラン
  • 音楽:ハンス・ジマー
  • 撮影:ウォーリー・フィスター
  • 編集:リー・スミス
  • プロダクションデザイン:ネイサン・クロウリー、ケビン・カバナ
  • 出演:クリスチャン・ベール、トム・ハーディ、アン・ハサウェイ、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール 他

「バットマン ビギンズ」(2005)「ダークナイト」(2008)と続いてきたクリス・ノーラン監督のバットマンシリーズ。

前作がすさまじい衝撃をもたらし、アメコミ映画の歴史に残る傑作とされる中、満を持して製作されたのが本作です。

今作ではバットマンのヴィランの中でも、”コウモリを壊した男”として悪名高いべインが登場。公開前からトム・ハーディの肉体に不気味なマスクが話題でした。

またキャットウーマンをアン・ハサウェイが演じていまして、こちらもバットマン界で人気のキャラの登場という事で盛り上がっていました。

先行上映に行ってさっさと観ましたね。やはり熱狂というのはありましたが、しかし・・・うん?という感覚が込み上げて、まあそれはこれから書きますw

バットマンがデント殺しの罪を被ったことで、ハービー・デントは英雄としてゴッサムの犯罪撲滅へのシンボルとなった。犯罪率は減少し、バットマンも現れない。

しかし不穏な影が暗躍しはじめる。

ブルースの自宅にはセリーナ・カイルという女性が紛れ込み、彼の指紋を盗んでいくのだが、その裏には謎の傭兵、マスクの男べインの存在が見えてくる。ブルースと同じく影の同盟にいながらも、破門された男。

ゴッサムに嵐が迫っていた。

さっくりいうと、長い。

今までも説明やら設定やら長い感覚の在ったノーラン監督バットマンですが、今作は完全にいろいろなノイズが出てしまっていますね。なので上映中に長く感じてしまったのだと思います。

バットマンが出てくるまで45分くらい映画を観ているわけですが、そっからコミック通りにべインに叩きのめされて背骨をやられるとまたブルースパート。あまりバットマンの活躍を見ることはできない映画です。

まあ今作はビギンズとの関連性を強く出し、バットマンというよりもブルース・ウェインの物語に注目しているからでしょう。

とりあえず、不可解な点もありつつもバットマンVSべインまではなかなか楽しんでみていました。

べインの圧倒的な存在感はジョーカーとは違う方向で楽しむことができましたし(トム・ハーディが好きというのもありますw)、ベン・メンデルソンの雑魚ワルっぷりも好きでした。べインが襟元掴んでいるあの仕草、意味は分からないですがカッコいいですね。

バットマンVSべインは強い光の中、水や殴り合う音のみが響くという不気味なものでした。

で、背骨の件からはちょっとノイズが多くなりすぎる気がします。

そもそも骨がずれてるだけだから叩けば治るとか、あのピットと呼ばれる監獄が全然過酷そうじゃないとか。

とにもかくにも不必要に複雑化している脚本。ベインの計画はじめものすごく回りくどいような気がして、どうしてそうなるのか納得いかず、そしてまんまと乗っかってるバットマンがバカっぽい。

あまりにこねくり回しているようなものは、返ってどうでもよくなりがちです。

さて、ノイズが多くなるといいましたが、リアリティライン関係の問題ではないのかなと感じました。もちろんコミック原作でしかも映画なんですから、なんでも現実的じゃなくていいです。派手なところは派手にやった方がカッコいい。

しかしこのノーラン監督のバットマンでは、映画の世界での現実的な解釈をしてきたと思います。少なくともこのダークナイト3部作の世界では不可解にならないような設定の共有。

それが今作ではかなり破られているように思え、それだからこそこの映画ではこういうのはダメじゃない?と疑問や不満が沸いてしまうのだと感じました。

本当は喜ぶべきことなのかもしれません。なんだか精神分析的で派手さに欠けていたバットマンが、けっこうコミック的な、画を大事にするようなことをし始めるわけですから。

ピット、警官隊とベインらの正面衝突、そして燃え盛るバットサインなど。画的には良いものですからね。

ただ全体の作りはそれでも小難しく論理を振りかざすものですから、いまいち整合性が取れず、行動も発言も的を射てないようになってきてしまいます。

自分で線引きしたリアルのラインを、自分で踏み越えたり戻ったりして制作している感覚です。

たえずすんなりと受け入れられない行動や理論が出てくるので、やはり疲れるし長く感じちゃいますね。

ピットからゴッサムまでどう戻ったか。民衆はどこへいったのか。なぜ警官たちは全員下水道へ導入されたか、またなぜ正面からベインの軍団と戦うのか・・・キリの無い不明点。

今まで、そして今作でも何かとステップを大切に説明があった分、ジャンプカットなど不親切かつ雑に見えてきてしまいます。

マリオンの死に演技がとか、そもそも彼女のキャラ、タリアは必要だったのか。

ベインは肉体的な強さでバットマンを叩きのめし、その弱った精神をもへし折りました。

ブルースは役割が終わって、あとは自分の死を待っていたのでしょうか?それ故に生きる力を取り戻すのが今作の目標?

巧く解釈して、死への恐怖を得たことでバットマンがべインに勝ったのかな?と思いましたが、それにしてもやはりリベンジを為しえた勝因がはっきりしないように思えます。

最後の最後でべインが小物になり下がった感覚。初めての鑑賞の時からがっかりでした。

色々とやって、最後にはバットマンは象徴として昇華されていきます。手のひら返しがひどすぎることには目を瞑って、バットマンは市民の中に正義のシンボルとして生き続けますね。

このシンボルというのが今作が目指しているところだったと思います。バットマン、べイン、警官隊に軍勢。どの要素もシンボル的に使われて善悪の対決を見せていく形です。ただ、そのシンボライズなアプローチは、今までシリーズが少なくとも観客に与えてきた印象と食い違います。

そして全体を覆っている小難しげなベールに対し、若干愛想を尽かしてしまうのだと感じました。

ちょっと投げてる感じもありますが、まあ細かいことを考えずに観るにはかなりおもしろいです。映画内でどんなに台詞で言おうと、今作は細部なんかシャットアウトして観ましょう。

そんなわけで、ノーラン監督による新バットマンの最終作をレビューでした。誰もが批判していないのは、アン・ハサウェイのお尻。バットポッドに乗るキャットウーマンのお尻を撮るのはすごくうまいです。

それでは、また。

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