「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」(2015)

監督:レベッカ・ミラー

脚本:レベッカ・ミラー

原作:カレン・リナルディ

製作:レイチェル・ホロビッツ、レベッカ・ミラー

音楽:マイケル・ロハティン

撮影:サム・レビ

編集:サビーヌ・ホフマン

出演:グレタ・ガーウィグ、イーサン・ホーク、ジュリアン・ムーア、ビル・ヘイダー、トラヴィス・フィメル 他

「50歳の恋愛白書」(2009)等で知られるレベッカ・ミラー監督が描く、ニューヨークを舞台にした三角関係のロマンティック・コメディ。主演には「フランシス・ハ」(2012)のグレタ・ガーウィグ。さらにイーサン・ホーク、ジュリアン・ムーアが夫婦役で出演。

結構遅れての日本公開ではありますが、まあやってくれたので良いでしょう。公開規模は良くわかりませんが、よくいく映画館でやっていたのでラッキー。公開初日でしたが、朝早くの回だったので10人ほどしかいなかったな。

ニューヨークの大学に努めるマギーは男性との交際が上手くいかず、それでも子供が欲しいと考えていた。母になりたいマギーは、精液のドナーを探し、自分で受精させようと考えている。

そんな時、同じ大学に講演で訪れていたジョンと出会う。彼は研究の傍ら小説を書いていて、マギーはそれを読み感想を伝える。彼と親しくなるうちに、マギーはジョンの妻が支配的で、彼を助けてあげたいと感じ始める。

レベッカ・ミラー監督の描く三角関係。映画はマギーがジョンを元妻であるジョーゼットに返そうというところが本来のスタート地点と言えます。そしてそこに到達させるまで、完全なセットアップまでが非常に巧みでした。

無駄がなくテキパキとしているのです。マギーとジョンの愛が始まって次のカットではもう子供がいて、2人の関係が厳しくなっているという、思い切りのカット。しかし急いでいるようには思えず、後に後半に行けばいかにこのセットアップ内で必要な描写を済ませているかがわかり、感嘆せずにはいられませんでした。

マギーのどうしようもないお人よしな性格は、OPすぐの老人を助けるところで印象付けられますし、ビル・ヘイダー演じるトニーとの会話などでは、実はマギーという女性が持っている、少し自己中心的なイヤな部分もしっかり描いています。トニーの未練たっぷりな性格、そしてジョンの自由になればダメになってしまう、誰かしっかりした人がリードを持っていないといけないという設定も誰かに説明させることなく下地に敷いています。何とも職人的なセットアップですね。

時間がかなり流れる今作ですが、急すぎずかつ遅くもないテンポの心地よさも感じますね。

人物たちが止められないまま動いていくように、行き先を先に映す撮影。場所の印象付けとしても効果的に思えました。

人物関係の撮影でも、枠や画面内に一緒にいるかいないなど細やかなところで徹底しています。

描かれているのは、人の夫をとった女、不倫夫、支配的で家庭はないがしろの妻。正直人物説明だけ並べれば、かなり嫌悪感を持つキャラばかりなはずです。

しかし、グレタ・ガーウィグの角のないやさしい(時にドジな)感覚、イーサン・ホークの輝く情けなさw、ジュリアンの堅物っぽさと脆さなど、どの人物もすごく好意をもって見ていられるのです。これは非常に稀な、この手の泥沼劇になりえる題材として素敵なバランス感覚であると思います。

私はグレタ・ガーウィグの歩き方とか所作が好きで、ちょっと女性らしさがないというか、もそもそした感じ含めて可愛らしい印象です。

全体に服も部屋もカラフルで、ニューヨークの街並みが明るく撮られているのもあり、軽やかであったかい雰囲気で包まれていますね。

人はみんな泡を持っていると、お風呂でマギーはリリーと話します。

ちょうどマギーの顔と泡が重なりますが、確かに人間はみんな泡を持っているんですね。自分を覆うその領域。泡は時に境界線を残してくっついたり、完全にひとつの泡になる。そして再びふたつに分かれたりもする。空気に流され漂う泡たちが、フワフワといろいろなドラマを織りなしていきます。

「愛なんて熱くなって冷めてを行ったり来たり。」

美化も何もせず、人と人との関わり合いと愛を真っ直ぐ描いている監督。

しかし、そこにはかかわって、愛し合ったらそれだけ何か残るものですね。今作では子供たちがその象徴的に置かれるほか、ジョーゼットやジョンの本も愛やその崩壊の産物です。

普遍とか永遠とかはなくとも、愛し合うことの本質的な素晴らしさを描いていますね。

マギーのもともとのプランは、人に与えずに貰おうというものでした。子供は欲しいけど、旦那はいらない。人を何か目的のための機能としてみている。考えてみれば、結構酷い話です。

それがジョンとの愛は、少なくとも半年以上は続いたし、終わったとしても何かしら与え合ったものがあります。マギーは関わりあって何かを築いていく人に成長しましたね。

レベッカ・ミラー監督は人物全員の欠陥含め好きになれるバランスを保ち、なんとも素敵な三角関係を見せています。苦い部分も涙も、身勝手ささえ入れつつもそれを否定せず、非常に色彩豊かで暖かな人の交流を作っています。おススメ。

というところでね、今回はおしまい。イーサン・ホークってどうしてこうダメな男が似合うのかwでもなんか守ってあげたくなる情けなさなんですよね~

それでは、また。

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