「切り離せないふたり」(2016)

  • 監督:エドアルド・デ・アンジェリス
  • 脚本:ニコラ・グアッリャノーネ、バーバラ・ペトロニオ、エドアルド・デ・アンジェリス
  • 原作:ニコラ・グアッリャノーネ
  • 製作:アッティロ・デ・ラッザ、ピエルパオロ・ヴェルガ
  • 音楽:エンツォ・アヴィタビル
  • 撮影:フェラン・パレーズ・ルビオ
  • 編集:チアラ・グリチオッチ
  • 出演:アンジェラ・フォンタナ、マリアーナ・フォンタナ、アントニア・トゥルッポ、マッシリミアーノ・ロッシ 他

indivisibili film-2016-italy

「堕ちた希望」などのイタリアの監督、エドアルド・デ・アンジェリスによる作品。

イタリアの貧困層が暮らす海辺の町で、身体がくっついたまま生まれたシャム双生児の姉妹の成長を描いた映画です。

主演の姉妹を演じるのは、実際に双子の姉妹であるアンジェラとマリアーナ・フォンタナ姉妹。

二人は演技経験の浅いキャストだったのですが、今作での演技は批評面で高い評価を得ています。

彼女たちの母親役で、「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」のアントニア・トゥルッポも出てました。

作品自体も高い評価を受け、ダヴィット・ディ・ドナテッロ賞の最多6部門で受賞を果たしました。

日本での一般公開こそないですが、2017年のイタリア映画祭にて上映されたようです。

私はこちらをニューヨークのシアターで観てきました。

まあ単館で平日で、人は全然いなかったですけれど。

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イタリアのナポリに暮らすデイジーとヴィオラは美しい姉妹で、天使のようなその歌声で、結婚式や洗礼に招かれては、歌を披露していた。

彼女たちは父にマネジメントされ、各地を巡ってお金を稼ぐ。貧しい一家にとっては姉妹は稼ぎ頭だった。

しかし、問題があった。

2人はシャム双生児であり、体が腰のあたりでくっついたまま生まれたのだ。もうすぐ18になろうというデイジーはいつまでも妹とくっついていたくなく不満を抱える。

そんなあるとき、姉妹を見た海外の医師が、手術さえ受ければ二人を離すことができると言い、そこから大きく事態が動き出す。

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エドアルド監督はイタリアの綺麗な部分ではなく、貧困にあえぐ世界を描きます。

ただ、監督はそこにも人の美しさがあるというように、とても美しい画面やショットを使い切り出して見せます。

色使いや光、艶。ルックの贅沢さは必見のところかと。

決してきらびやかではないですが、海沿いや姉妹が歩く道など、どれも綺麗です。

あと、あの海でのシーンとか結構撮影を頑張っているシーンなどもありますね。ビジュアル的にもすごくいい作品だと思います。

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作品全体としては、一言で言えば主演が輝く映画。

姉妹を演じたアンジェラとマリアーナが本当に素晴らしかったです。

二人ともその役柄とのルックの合致がスゴいです。

二人は実際のところ身体がくっついてはいないのですが、本当に何か一体となる、それは肉体だけではなくて精神的にもシンクロする感覚が見事です。

基本的には二人で一つである感覚が強いのですが、それがベースにあるからこそ、ちょっとの違いの表現に驚かされます。

見た目だけなら、造形なら近い二人なのに、アンジェラとマリアーナはそれぞれちゃんと別の人格である二人の女性を演じているんです。

その反応や声のトーン、アクションとリアクションに人物が見てとれます。

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映画が始まってすぐ、窓から部屋へとカメラが入るとデイジーが自慰行為をしているシーン。

窓からふとカメラが入ると、まさに身体を意識し、そして性と自我が強い場面で始まるのです。

しかし並んで寝ているとこで大胆な!と思うと、なるほどこの姉妹は身体が繋がっている。

ここでその身体的な感覚の共有により、自慰行為すらできないと分かります。

プライベートがないということ。

そして、二人のうちデイジーは我慢できないほど自分一人での空間や意識を求めているということです。

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この身体的な接着は観客の心にまで大きく働くと思います。

姉妹どちらかが何かを感じれば、自然ともう一人を考えてしまう。

1つのアクションでそれの主体と強制的な受動が起きるので、観てて推し量るたびに複雑な感情になります。

やはり姉妹に目をつけたマネージャーの、ナポリ郊外とは別世界の優雅な船上パーティは不快です。

あの男が二人個室へと連れ込むシーン。

デイジーは男と親密になりますが、ヴィオラは明らかに嫌がっていて、あの瞬間まるで私も姉妹にくっついたかのように、その居心地の悪さも怖さも感じました。

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逃げたい状況から逃げられない。

それは作品全体を包むテーマでもあると思います。

それは身体のくっついた相手だけではなく、貧困、両親、周囲からの期待や欲求まで含むのでしょう。

どうすれば家族は切り離されるのか。何を捨てれば、自由なのか。ここから逃げ出せるのか。

娘たちを利用して、でもそれしか生きるすべのない父も、それはわかっていてもやはりその身勝手さが情けなく苦しかった母も。

みんなどうにか抜け出したい。

非常に残酷な出来事のあとに、最後に再び寄り添う姉妹。

物理的な自分の居場所を変えても、自由にはなれないのかもしれません。

ただ心を解き放たなければ。

二人の心に届く自然体かつ真摯な演技。残酷で美しい画。もしも機会があればぜひ見てほしいと思うイタリア映画でした。

アンジェリス監督作はまだ一般公開は難しいのかもしれませんが、注目の監督であり映画祭だけでなくそのうちメジャーでやってくれるんじゃないかと思います。

感想はここまで。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

それではまた。

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