「ザ・コンサルタント」(2016)

  • 監督:ギャビン・オコナー
  • 脚本:ビル・ドゥビューク
  • 製作:マーク・ウィリアムズ、リネット・ハウエル・テイラー
  • 製作総指揮:ギャビン・オコナー、ジェイミー・パトリコフ、マーティ・P・ユーイング
  • 音楽:マーク・アイシャム
  • 撮影:シェイマス・マクガーヴェイ
  • 編集:リチャード・ピアソン
  • プロダクションデザイン:キース・P・カニンガム
  • 美術:ジョン・コリンス
  • 衣装:ナンシー・スタイナー
  • 出演:ベン・アフレック、アナ・ケンドリック、ジョン・バーンサル、J・K・シモンズ、ジョン・リスゴー 他

「ウォーリアー」(2011)、「ジェーン」(2016)の監督、ギャビン・オコナーが主演にベン・アフレックを迎えて送るクライム・スリラー。

北米では夏ごろに劇場で予告を観ましたね。公開はかなり遅れましたが、やはりベン・アフレック主演なのでやってくれました。監督も少しづつ日本での知名度を上げてもらいたいものです。

助演にいまやパニッシャーとして有名なジョン・バーンサル、さらにアナ・ケンドリックやJ・K・シモンズも出ていまして、なかなか豪華な演者がそろっているのではないでしょうか。

公開日、休みの日の良い感じのお昼の時間でったからか、かなりの人がいましたよ。男性客多めかな。

クリス・ウルフは小さな会計事務所を経営する男で、人との関わり合いが少ないが、その仕事っぷりは見事なものだった。

ある時ウルフのもとに、大企業からの会計監査の依頼が舞い込む。ここ十数年間の財務諸表に、社内の女性がおかしな点を見つけたというのだ。

天才的な頭脳を駆使し、たった一晩で15年分ものすべての資料をくまなく調べ上げるウルフ。彼の脅威的な仕事で、誰かが金を外に流したことが分かるのだった。

だがその直後に会社の重役が不審死し、会計監査事態も中止される。さらにはウルフの元に殺し屋が現れるのだ。

しかし、ウルフもただの会計士ではなかった。

主演のベン・アフレックが演じるのは、非常に多層的な設定がなされた男ですね。その設定故に彼はあまりしゃべらないのですが、所作や何よりその目で色々と演技をしていると感じます。

彼は表は小さな会計士、しかし裏では世界中の闇社会でも会計士として働く男です。ただし、今作では彼が会計士として有能であるシーンは少なめです。それだけ少なくとも、周囲の繰り返すアカウンタント(会計士)という言葉や、なによりベン・アフレックが醸し出す何か力を内側に抑え込むような雰囲気が、十分に彼を会計士としてみるベースを作っています。

アクションの面でもやはりバットマン。特段ユニークなアクションは無いにしても、死んだような目で黙々と障害を倒していく様は楽しめます。プロフェッショナルとしてしっかり頭に撃ち込んでいく姿が清々しいものです。

ウルフとデイナの関係は、今作の中で最も好きなものでしたね。お互いに影の存在。誰にもよくわかってもらえないし、伝えるのも下手な2人です。アナ・ケンドリックのどことないクラスカースト底辺感がなんか可愛らしい。

会計監査の結果を興奮しながら説明するウルフに、同じように物を見て同じ発見をするデイナ。あの時だけは、同じく世界を見れる人と一緒に、その嬉しさを共有しています。だからこそ、あそこでのウルフはそれまでの愛想笑いではなく、目も笑っているんですね。

で、今作に関してはオコナー監督らしさが良い面でも悪い面でも出ている気がします。

それはプロットの多さ。もしくはサブプロットの多さかもしれません。

今作は整理すると、

ウルフが本筋の事件で黒幕を追う話、ウルフとデイナのロマンス、ウルフと父と兄の話、ウルフ始め理解されないものの物語、ウルフを追うJ・K・シモンズらの捜査話。

とにかくいろいろありますね。一応は全てウルフという集約点をもっていますので、まあ何とかなってはいますが、それでも散漫としております。

正直言って絞り切れていないため、どの話も唐突に感じてしまうところがありますよ。ウルフのみいつもセンターにおいてくれているので、彼にしがみつけば何とか理解していけるのですけど。

やはりJ・K・シモンズら捜査官の話はまるっと無くても良いでしょう、尺を伸ばし主題への注意をそいでしまいますし、あの中盤でのナレーションで説明しちゃうところとか正直頭を抱えます。

以前の「ウォーリアー」でもサブプロットが少し多く消化不良でしたが、今作は多すぎて散らかり、それぞれを喰ってしまったような気がします。

そんなゴチャゴチャな話しながらも、監督はエモーションを構築するのは非常にうまいと思うのです。

デイナに対してウルフなりの伝え方をしていくあたりとか、バットマンVSパニッシャーするところとか。今回も兄弟のぶつかり合いかよ!と思いつつも、やはり熱いものです。唐突でもね。父と葬式に行った時のシーンとか、普通に取ってつけたタイミングなのに、なぜかドラマチック。

やたらに多い回想とかそういうのもまあ許せちゃう。

上手く世界と向き合えない男が、彼なりの方法で正しいことをしようとしていく。

オコナー監督は少し目移りする各物語に対し、それぞれしっかりと愛を向けています。結果的にはあちこちに手が伸び、理解や納得には程遠いにしても、少しの時間でも感情的な揺さぶりをかけることに成功していると思います。よりどれかのプロットに絞り込み、さらに濃厚に描いたら・・・と思ってしまいますよ。

散らばったピースが多く、正直やりたいことが多くてこの映画が何についての映画なのかはうやむやになった印象です。それでも各要素を投げることなく観客を楽しませる点では良いほうでした。

気になる方はご鑑賞を。

そんなところで終わります。それでは、また。

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