「ティーンスピリット」(2018)
- 監督:マックス・ミンゲラ
- 脚本:マックス・ミンゲラ
- 製作:フレド・バーガー
- 製作総指揮:マックス・ミンゲラ、ジェイミー・ベル、スティーヴ・バーマン、ダン・フィッシャー、デヴィッド・ギャレット、フィル・ハント、ジョン・ジャニック、ブライアン・カヴァナー=ジョーンズ、ミッキー・リデル、アンドリュー・C・ロビンソン、コンプトン・ロス、アンソニー・セイラー、ピート・シレイモン、ジャレッド・アンダーウッド
- 音楽:マリウス・デ・ヴリーズ
- 撮影:オータム・シャイエン・デュラルド
- 編集:カム・マクローリン
- 出演:エル・ファニング、ズラッコ・ブリッチ、アグニェシュカ・グロホフスカ、レベッカ・ホール 他
俳優・脚本家であるマックス・ミンゲラが、「ネオン・デーモン」などのエル・ファニングを主演に迎え、ポップスターへの夢に挑戦する少女を描くドラマ映画。
エル・ファニング演じる主人公と奇妙な友好関係を築く人物として、「プッシャー」シリーズのズラッコ・ブリッチが出演。
また母親役にはアグニェシュカ・グロホフスカ、エージェント役にはレベッカ・ホールも出ています。
作品は2018年のTIFF(トロント国際映画祭)にてプレミア上映、その後2019年に入ってから北米でも公開されました。
日本公開はまだ決まってはいないようですが、エル・ファニングの新作ですし、ニュース自体には取り上げられていましたし時間の問題でしょう。
海外にて観る機会があったので鑑賞。
2020年1月10日(金)日本公開。
ヴァイオレットは音楽と歌うことが好きな10代の少女。
いつか歌手になりたいというポップ界への想いとは裏腹に、家は保守的で、田舎町で退屈な毎日を過ごしている。
母の店を手伝っては、夜になると町のバーで歌を披露し小銭を稼いでいた。あるとき、彼女の歌をよく聞きに来ている男と知り合うことに。
ちょうどTV番組の企画で、ポップスターを夢見るティーンを対象にコンテストの開催が予定されており、ヴァイオレットはそのヴラドという男に保護者役を依頼し、母に無断でコンテストへ出場する。
マックス・ミンゲラ初監督作品としては、安定しているというのが第一印象です。
プロットは既視感がありますし、行き着く先まで含めてティーンのドリームカムトゥルー物語。
そこにネオンライトのスタイルが織り交ぜられてはいるのですが、やけに整っている作品。言ってしまえば面白みがあまり感じられませんでした。
話におけるロジックにはおかしさなく進み、描きたいことはしっかりと描いている作品だとは思います。
ですが初監督作品として見るとすれば、クセやスタイルが正直確立されているとも思えず、それこそ題材になるヴァイオレットが審査員に言われるような”ポテンシャル”が感じられなかったと思っています。
ティーンのがむしゃらな感じとか、一本勝負で目立つところとかあっても良かったなと。
ただ、ちょっと作りに独自性がないのをカバーするように、主演のエル・ファニングを光らせている点は見事です。
彼女自身がボーカルトレーニングをし、実際に歌う臨場感が大きいのももちろん大きなポイントです。
実際お姉さんのダコタにうるさいと言われるくらい歌が好きで、日ごろから歌いっぱなしだとか。これまでにもミュージカルがやりたかったそうで。
歌唱に、ダンスや今回は濃厚キスシーンもあり、まさに全身全霊な彼女の姿勢とそれをうまく題材にはめ込む点では良かったです。
地味にファッションショーっぽく、Reebokのユニセックスジャケット?着こなしててカッコいいですし。
センターが輝いている点では十分満足できる作品ではあります。
周囲のキャラクターのドラマは必要以上に描かれておらず、誰を見ればいいかも明白です。
ただ、オーソドックスな話を無茶せず着実にまとめ上げる点は、安定であり退屈でもあるというか。
どこかに歪さや、とがったスタイルがあると楽しめたのかもしれません。
ティーン・スピリットと言うわりには、若々しい力技というよりも、むしろ大人の丁寧な仕事を見た気がします。
音楽面に向けての才能を披露するということで、エル・ファニングに注目の方ならおススメの作品です。あとはお馴染みでいいから、十代の子が苦悩しつつ夢に挑戦する話が好きなら、間違いはないかと。
個人的には仕事人かなとは思えど、監督デビューにしては落ち着きすぎた印象を持つ作品でした。
感想はこのくらいになります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは、また次の記事で。
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