「ダンガル きっと強くなる」(2016)

  • 監督:ニテーシュ・ティーワリー
  • 脚本:ニテーシュ・ティーワリー、ピユス・グプタ、シュヤレース・ジャイン、ニキール・メハロトラ
  • 製作:アーミル・カーン、キラン・ラオ、シャッダース・ロイ・カプール
  • 音楽:プリータム・チャクラボルティー
  • 撮影:サタジット・パンデ
  • 編集:バッル・サルジャ
  • 出演:アーミル・カーン、ファーティマ―・サナー、サニヤー・マルホートラ、ザワラー・ワシーム、スハーニー・バトナーガル、サークシー・タンワル 他

ニテーシュ・ティーワリー監督による、インドの実在のレスリング姉妹の伝記映画。

姉妹を指導した父マハヴィル・シン・フォーガットを大スターアーミル・カーンが演じ、姉妹をそれぞれ、ファーティマー・サナー、サニヤー・マルホートラが演じています。

インド国内でも、そして海外でも人気を誇り、多くの映画祭でも高い評価を得た今作。私も劇場予告で初めて知ったのに、なにかパワフルで気になっていました。

公開週に観に行って、お客さんは年齢層高めではありましたが、なかなかの入りでした。

笑いもありながら感動的な部分もあり、終わった後に、良かったね。と言う声が聞こえてきましたよ。

かつて有望なレスリング選手であったマハヴィル。

彼の夢は国際大会にて、インド初の金メダルを獲ることだったが、親の理解を得られずに生活のためレスリングを続けることはできなかった。

結婚したマハヴィルは、自分の息子こそ、自分の果たせなかった夢をかなえてくれると信じていたのだが、生まれてくるのは女の子ばかりだった。

もはや夢は夢。諦めかけたマハヴィルがある日家に帰ると、そこにはズタボロになった少年たちがいた。彼らをコテンパンにのしたのは、誰であろうマハヴィルの娘、ギータとバビータ。

その瞬間マハヴィルは悟った。この娘たちこそ、インドにレスリング金メダルをもたらすと。

そしてそこから、マハヴィルによる鬼のもう特訓が始まるのだった。

実は初めてだったインド映画。

さすがにアーミル・カーンは有名なので知っていたのですが、「PK」も未鑑賞。

 

最近カルトだった「バーフバリ」も見たことのない私のはじめてのインド映画体験ですが、結果から言いますと最高でした。

ダンガル、熱い!

エモーショナルな部分も後で書きたいですが、まず個人的に感心してしまったのが、今作の構成、多くの要素の統合とつながりです。

ダンスはなく、しかしポップミュージックによってそれぞれのシーンに人物心情を重ね掛けする語りは、テキパキしていて好きでした。

また、今作はインド女子レスリングの親子の物語としても感動的なのですが、ひとつスポーツ映画としても、インドのお国柄紹介としても、そして女性の活躍として、果てには少女の成長記としても素晴らしかったです。

それぞれがしっかり呼応して大きなうねりを持って力強く進んでいったと思います。

こんなに素敵なバランス、見事ですよ。

まずスポーツ映画として、今作ではしっかりとレスリングの基本ルールを教えてくれるんです。

どうすれば何ポイントで、勝ち負けはどう決まるか、しかも最後はコイントスルールまで紹介。

それが、姉妹に対する教育と、最終バトルでの盛り上げにしっかり組み込まれていて、主人公たちのドラマからは分離せず、なおかつ観客が試合を見ながらしっかり状況を飲み込めるように作られています。

もちろん、その迫力もすごかった。人間こんなに素早く動けるのかと言うような攻撃と防御は熱いですよ!

細やかな技や動きに関しても、お父さんの教えや対立が試合にもやはり活きています。

その対立というのも、まるで師匠とのバトルという王道スポーツもので熱いのですが、親子であるからこそ、今度は成長という要素も見えてきます。

子供はどんどん大きくなって、いつかは親を超えて一人で歩んでいく。

ギータは初めて外の世界を知り、そこで一人の女性としても色々なものを経験します。キラキラとした世界に羽ばたく姉に、カットバックで入るのが、ルーツであるバビータの練習風景。

華やかで国際的なギータの成長を見ているときに、父からの別離もありながら同時に思い出されるのが、序盤で結婚した同級生の女の子のセリフでした。

「知らない男に引き渡される。料理をして子供を産んでそれで一生を終える。」

もしも父がレスリングをさせていなければ、そして才能を信じなかったら、ギータも料理をして子供を産んで、一生外のことなんて知らずに過ごしていたでしょう。

ですから、単に広い世界へ出た以上に、ギータが成し遂げたことのインドの少女にとっての大きさが際立ちますね。

アーミル・カーンの圧倒的な肉体改造によるしっかりとした月日の流れの感覚。

親子を追ったドラマは最終局番でかなりのフィクションをみせてきて、ちょっとやりすぎじゃないか?とも思ったのですが、あそこでギータを完全に一人にしたことはスゴく重要なのではないかと、試合後の部分で感じました。

最後まで「父がそばにいたから勝てた」ではいけないのです。一人での生き方を教わり、世界に送り出してもらった。

そこで戦うのはギータ一人であり、そうして勝つからこそ、真の意味で女性が自立する。そういう意味であの仕掛けは必然であったのかと思います。

まあ細かい構成だのは置いておいて、ただ画面で繰り出される白熱の試合を観て、思わず握りこぶしを作りながら、前のめりにさせてくれるだけで、今作は大成功です。

村から出てきたアンダードッグ。

自分の力で勝ち上がってきた姉妹。

何よりもそうして自分で道を切り開かせ、才能を信じた父。

かつて父もその環境と習慣によって夢を閉ざされたのですが、同じように環境によって娘たちの運命までも決められることを防ごうとする。

さまざまな面で独立して面白く、それらを相互的に作用させる見事な完成度を誇る作品でした。コメディで包んでいるからあまり暗くなるわけでなく、そこもバランス良いです。

おススメのインド映画。そしてインド映画に興味がすごく出てきたという意味でかなり感謝しています。

あと、姉妹役のファーティマー・サナーとサニヤー・マルホートラ。めちゃくちゃ美人!短髪が似合う女性は芯から美しい。

最後は余計なこと言いましたが、おすすめの作品ですので、是非映画館で!こんなところでおしまいです。それでは~

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