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「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」”The Apprentice”(2024)

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「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」(2024)

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作品解説

  • 監督: アリ・アッバシ
  • 製作: アリ・アッバシ、ルイス・ティスネ、ルース・トレイシー、ジュリアン・フォード、ヤコブ・ヤレク、ダニエル・ベーカーマン
  • 製作総指揮: リー・ブローダ、ニール・マシソン、アンディ・コーエン、ヌーア・アルファラー、グレッグ・デニー、ガブリエル・シャーマン、ニーブ・ファガン、レビ・ウッドワード、トーステン・シューマッハー、コンプトン・ロス、フィル・ハント、フレッド・ベネンソン、ジェームズ・シャニ、エイミー・ベアー
  • 脚本: ガブリエル・シャーマン
  • 撮影: キャスパー・タクセン
  • 美術: アレクサンドラ・マリンコビッチ
  • 衣装: ローラ・モンゴメリー
  • 編集: オリビア・ニーアガート=ホルム、オリビエ・ブッゲ・クエット
  • 音楽: マーティン・ディルコフ
  • 出演:セバスチャン・スタン、ジェレミー・ストロング、マリア・バカローヴァ、マーティン・ドノヴァン 他

「ボーダー 二つの世界」、「聖地には蜘蛛が巣を張る」のアリ・アッバシ監督が、「キャプテン・アメリカ」シリーズで知られるセバスチャン・スタンを主演に迎え、実業家として成功を収め、第45代アメリカ合衆国大統領となったドナルド・トランプの若き日を描いたドラマ。

20代のトランプが、伝説の弁護士ロイ・コーンとの出会いをきっかけに驚異的な変貌を遂げ、権力の頂点を目指して突き進む姿を描きます。

冷酷な弁護士コーンを「ジェントルメン」のジェレミー・ストロングが熱演。2024年の第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されました。

アメリカでは2024年の作品。大統領選を控えるなかでの結構話題の作品でした。正直トランプについてみたいわけではなく、アリ・アッバシ監督の作品だから見たというモノ。公開週末に早速観に行ってきましたが、なぜだろうか、ものすごく混んでいました。

「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」の公式サイトはこちら

~あらすじ~

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1980年代、気弱で繊細な青年実業家ドナルド・トランプは、不動産業を営む父親の会社が政府に訴えられ、破産の危機に直面していた。

そんな中、トランプは上流社会のエリートたちが集う高級クラブで、冷酷無比な弁護士ロイ・コーンと運命的な出会いを果たす。

手段を選ばず勝利を追求するコーンはトランプを気に入り、「成功するための3つのルール」を伝授。コーンの助言を受け、見た目から振る舞いまで変貌を遂げたトランプは、不動産界で次々と成功を収める。

しかし、その成功と共に彼の野心と傲慢さは膨れ上がり、コーンさえも予想し得なかった怪物的な存在へと進化していく。

感想レビュー/考察

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大統領選1か月前に公開されたタイムリーな作品

有名人の実録映画の中で、こんなにも興味深い作品はあまりない。

今作はアメリカ国内では大統領選の前に公開。大統領選の投票日が2024年11月5日であったのに対しておおよそ1か月前の10月11日に北米公開されています。

かなりタイムリーな作品ではありますね。もちろん選挙戦に向けたドナルド・トランプ応援プロパガンダではない。

アリ・アッバシ監督が、議論の余地のある形で描き出したのは彼がいま皆に認識されているあの”ドナルド・トランプ”にいかにして変貌したのかの経緯です。

怪物の誕生を描くオリジンのようなモンスター映画。

ジェレミー・ストロングの圧倒的な存在感

主人公はセバスチャン・スタン演じるドナルド・トランプ。しかしスクリーンに登場する最初の彼は、何とも貧弱です。

業界の権威や政界の強者が集うクラブの中で、入会こそできたもののポツリと座るトランプ。

一緒にいる女性は、彼の権力者たちの話に飽きてお手洗いという名の出口へ向かう始末。

そんな彼が彼を見つめる強い眼差しに気づくとそこにいたのがジェレミー・ストロング演じるロイ・コーンでした。

覗き込む隙間にフレームが狭くなり、怪しく照らされるライトで見えるロイの顔は、トランプを助ける天使ではなく、地獄の門の間から生者を狙う悪魔のようです。

のっぺりとした顔立ちに力ないようで屈強な態度。抜群の存在感でこの映画を引っ張っていくのが、ジェレミー・ストロングです。

出てくると場を支配してしまう彼の怪物としての演技には注目ですが、映画のラストの方になれば、彼自身がエイズに罹患してしまうことからかなり弱っていく変化も。その際には何処か哀れみすらも感じさせてしまう、その大きな振れ幅も素晴らしかったです。

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弱い男としてのドナルド・トランプ

ただし、ジェレミー・ストロングに負けていないと感じたのは主役のセバスチャン・スタン。

もともと気弱でダメな青年である時代もしっかり演じていながら、ロイに影響されて肥大化するエゴと欲求をうまく演じています。

また、もともと題材になるトランプが物まねされていることもあるわけですが、彼のトランプは本人っぽいところがありながらも抑えていてやりすぎていない。その演出はかなり好印象でした。

ロイから受けた3つのルールを軸に、忠実に人まねしかできない想像力のない男が、権力を得ていく。女慣れしなさ過ぎて、金での実行以外に行動できず、コンプレックスの塊で指摘されると以上に反撃する。

ちっぽけな存在であり、そして多くの犯罪的な行為を行いながら自分が正しいと主張し続ける姿は、確かに現実に忠実です。

周知の事実を並べる

しかしそれを込みで考えたときに、アリ・アッバシ監督は失敗しているとも感じてしまいました。

なぜなら、そんなことは世界中多くの人が知っていることだからです。

ドナルド・トランプは州法では30以上で重罪判決を受けており、刑事事件も複数の被告人です。元アメリカ合衆国大統領としては重罪での有罪を受けているのは彼がただ一人。

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でも、そういった事ってあまりにニュースで報道されている。そして彼の人柄であるとか、セックススキャンダル、身体的なこともみんな知っているのです。

この作品ではむしろロイ・コーンの部分が強烈であり、トランプが薄い人間である点が見えます。

新しい側面の発掘はなかったというのは残念に思いました。

実際のところ、市民や国、法制度がこの男のやり方をまかり通してしまっているところが最も恐ろしいですが、その辺への切込みはなかったですね。

怪物の誕生で締めくくる秀逸な終わり方

物足りない気もしますが、終幕の構成は最高でした。

トランプがハゲ隠しのための皮膚切除、また肥満を解消するための脂肪吸引手術を受けるシーンで終わる。さながらフランケンシュタインの怪物誕生というしめくくりです。

しかも、さんざん妻に豊胸手術のおっぱいは偽物でクソだとか言っておきながら、自分も改造手術です。さすが、恩師に偽物のダイヤを送る薄っぺらい男らしい。

ジェレミー・ストロングの存在感と演技は楽しめますし、一見の価値はあるかと思いました。

今回の感想はここまで。ではまた。

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