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「ロスト・キング 500年越しの運命」”The Lost King”(2022)

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the-lost-king-movie-2022 映画レビュー
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「ロスト・キング 500年越しの運命」(2022)

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作品概要

  • 監督:スティーヴン・フリアーズ
  • 脚本:スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ
  • 原作:フィリッパ・ラングレー、マイケル・ジョーンズ
  • 製作:スティーヴ・クーガン、クリスティーン・ランガン、ダン・ウィンチ
  • 製作総指揮:キャメロン・マクラッケン、ジェニー・ボーガーズ、ローズ・ガーネット、アンドレア・スカルソ、ジェフ・ポープ、フィリッパ・ラングレー
  • 音楽:アレクサンドル・デスプラ
  • 撮影:ザック・ニコルソン
  • 編集:ピア・ディ・キアウラ
  • 出演:サリー・ホーキンス、ハリー・ロイド、スティーヴ・クーガン 他

2012年、リチャード三世の遺骨が500年以上にわたる行方不明の謎から解き放たれ、英国レスターの一つの駐車場から発掘された。

この驚くべき出来事の調査を指揮したのは、アマチュア歴史家であり主婦でもあるフィリッパ・ラングレー。

この驚くべき実話をもとに、名匠スティーヴン・フリアーズ監督が、「シェイプ・オブ・ウォーター」で主演女優賞を受賞したサリー・ホーキンスを主演に迎えて、小さな人物が偉大な運命と闘うサクセスストーリーを、スリリングかつユーモラスに描きます。

また主人公の夫役には「僕たちのラストステージ」などのスティーヴ・クーガン。

今作の脚本にもスティーヴ・クーガンは参加していますね。

遺骨発見のこととか、当時ニュースにはなってるはずですが全然知りませんでした。今作はその無知を何とかしたいのと、サリー・ホーキンスが好きなので鑑賞してきました。

「ロスト・キング 500年越しの運命」の公式サイトはこちら

~あらすじ~

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フィリッパ・ラングレーは、職場で不当な評価を受けながらも、生活費のために仕事を続ける苦しい日々を送っている。

ある日、息子を連れて舞台「リチャード三世」を観劇したことが、彼女の人生に大きな変化をもたらす。

シェイクスピアの史劇に触れ、リチャード三世という冷酷非情な王の描写に疑問を抱くようになったのだ。

そこから、彼女の前にリチャード3世が現れるようになり、フィリッパは彼の真実の姿を明らかにしようと、遺骨探しに情熱を傾けていくことになる。

感想/レビュー

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正当な評価をされず、虐げられ、声を持たぬ者たち。

そんな人たちに対しての救済であり癒しの物語。

スティーヴン・フリアーズ監督が実際にイギリスの主婦が500年も前の国王の遺骨を見つけ出すという驚異的な話を映画化するにあたり、主眼に置いたのはそういう点です。

今作は実話ベースの物語ではありますが、決して単純に成功の話でも歴史の話でもなくて、あるべき人があるべきところに行くまでの、そして受けるべき称賛を受けるまでの闘いであります。

全体に漂っている、歴史、過去の声を掘り起こしていく過程とそこにあるフィリッパの境遇と運命は、サイモン・ストーン監督による「時の面影」にも似たような感覚がありました。

今作ではハリー・ロイドが演じているリチャード3世が、フィリッパにだけ見える幻想であり友のようにスクリーンに出てくると言った、ファンタジックな映画マジックもあります。

しんみりとしすぎずに可愛らしさもあり、そしてやはり主人公フィリッパには強さも感じる。素敵にまとまった作品。

正しい認識を

フィリッパは自身の病気を抱えていて、それがキャリアにも影響を与えています。しょっぱなに新規プロジェクトのチームメンバー発表で、まさかのズブの新人に負けてしまう始末。

悪態を放って部屋を後にするフィリッパには強さも感じますが、偏見的な面も含め不遇な扱いを受けています。

その点において、リチャード3世に共通点を見出す形になっています。

シェイクスピアの「リチャード3世」によるイメージの固定化。醜悪さが身体と精神両面に現れた稀代の悪王。

この造形について、フィリッパは彼もまた誤った認識と評価が固まってしまっていると感じる。

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特に、チームメンバー発表では一応は声を上げることのできたフィリッパに比べて、リチャード3世はすでに亡くなり声すらも失っている。

発掘というのは過去からの声を確かめることでしょう。

また声という意味では、一人で抱え込み熱中していくフィリッパの考えを、実際に観客に伝えていく仕組みが良いですね。

リチャード3世の幻影との会話を演出に組み込んだのはやはり面白いところです。

率直に、無言で考え込むよりも思考が伝わりやすく、また彼女の情熱についても視覚的に見せていて良いと思いました。

かすめ取られる栄誉と事実の大切さ

運命の物語として、駐車場の「R」が補助の必要な方専用(ここにも身体的な特徴を持つリチャードの臭わせがみせます)ではなくて、リチャードのイニシャルにも思えるような興味深さがあります。

直感というものをどのように説明するのか。

事実に基づき検証を重ね、調査をしていくというこの考古学的な領域において、フィリッパは大学側を無視してでも自分の直感に従う。

ここにファンタジックな力強さが秘められています。

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最終的にフィリッパの功績は、横からしゃしゃり出てきたレスター大学にかすめ取られていき、彼女はぽつんと取り残されてしまう。

正しい評価のない王を見出したら、今度はその点について正しい評価がされないという皮肉な展開。

これは事実だったそうで、それを変にいじくらずに事実として描きこんだようです。

ただ、映画の終盤を見ていくとそのあっさりさを感じはします。それでも重要なのは、自分の信じることを貫く、もしくは自分自身を信じ続けるということなのでしょう。

この作品自体が、フィリッパの顛末に対してのもう一つの究明にもなっていますしね。

映画を観ることによって、リチャード3世の遺体発見の最大の貢献者を知り、フィリッパ・ラングレーを知ることになりますから。

2重構造によってまた面白いところでした。

サリー・ホーキンスがなんだかよく分からないけれど、とにかく主婦にハマるし一般人としての落ち着きを持ちつつも人に好かれる雰囲気を出せるのが大きい。

もっとも、この事実について知っていたりするともう少し楽しさも増すのかもしれないのですが、知らないことであったからこそ映画を通して知ることができたのも良かったです。

公開規模自体はそこまでではないですが、気になる方は是非。

今回の感想はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた。

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