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「国際市場で逢いましょう」”Ode to My Father”aka”국제시장”(2014)

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「国際市場で逢いましょう」(2014)

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作品概要

  • 監督:ユン・ジェギュン
  • 脚本:ユン・ジェギュン
  • 音楽:イ・ビョンウ
  • 撮影:チェ・ヨンファン
  • 美術:リュ・ソンヒ
  • 衣装:クォン・ユジン
  • 出演:ファン・ジョンミン、キム・ユンジン、オ・ダルス、キム・スルギ 他

「TSUNAMI -ツナミ-」などのユン・ジェギュン監督が「アシュラ」「工作 黒金星と呼ばれた男」などのファン・ジョンミンを主演に迎え、朝鮮戦争からベトナム戦争と激動の時代を生き抜きぬいたある男性のドラマを描く映画。

ファン・ジョンミン演じる主人公ドクスの妻となるのは、アメリカドラマ「LOST」で人気を博したキム・ユンジン。

今作は韓国で歴代観客動員数で記録を打ち立てるなどかなりのヒットとなったようです。日本でも2015年には一般公開されていたようなのですが、自分は当時はあまり韓国映画を見ておらず。

しかし以前から評判は聞いていたため、配信されているのを見つけて初めて鑑賞しました。

 

~あらすじ~

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ドクスは釜山にある国際市場で、昔からの商店を経営している。高齢になりまた継ぎ手もいないから店を早めに売るように言われるも、ドクスは頑なに店を手放さない。

彼は過去を振り返る。

朝鮮戦争の最中、興南では中国人民義勇軍が攻勢を強め、駐留していたアメリカ軍は撤退を余儀なくされる。

中国軍の侵攻を恐れる市民を、アメリカ軍はビクトリー号に乗せて脱出させることにした。

そんな中、幼い妹と両親とともに船に乗り込もうとしていたドクスは、妹とはぐれてしまう。

父は妹を探しに船を降り、その際に「ドクス、お前が家長だ。何があっても家を守れ。」と言い残した。

その後厳しい時代を生きてきたドクス。ドイツの炭鉱に努め、ベトナム戦争への従軍、そして妹の捜索。

ドクスは半生を振り返りながら、父との約束に想いを馳せる。

感想/レビュー

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人生を2時間に凝縮する映画の力

映画とはおおよそ2時間くらいの時間しか持たず、しかしそれでいてその中に持つ時間の幅はとても広いものです。

そして不可思議なことに、そこに凝縮された人の人生を見るとき、2時間前に出会った人物ですら、長い時の流れをその苦難とともに過ごした気にさせてくれるのです。

今作にはその大きな力があります。

往年の大河ドラマとしての時間と物量の厚み、ドラマ、そして人の記憶。

ドラマチックに寄りまくっているからこそ、人によってはあまりに人情ものくさいというか、仰々しいとも感じてしまうかもしれません。

しかし私は悔しいくらいに涙を流しました。

ドクスがそこにいて、彼とともに苦労し、だからこそその抱えてきた想いを共有することができたのです。

ファン・ジョンミンはすごい

自分自身が生まれてもいない時代に少年として父と妹と別れ、幼くして大人にならざるを得なかったドクス。

この役どころを見事に演じきって見せたのは、ファン・ジョンミン。

ファン・ジョンミン目当てで見ても良いでしょう。本当に彼が主演で良かったのだと思いますし、素晴らしい俳優であることを存分に実感できます。

老けメイクなどにはもちろんやや無理があるのは否めませんが、しかし陽気にふるまいつつも大きな責任を背負いただ実直に努力し続けるドクスを、すごく魅力的な人物にできているのは、ファン・ジョンミンの力あってこそだと思います。

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彼の持っていき具合はすごいです。

ドクスが一見すればすごくまっすぐで気丈で、ともすれば簡単な人間にも見えながら、その孤独な戦いをふと感じさせる表情をします。

「アシュラ」のパク・ソンベ市長と同一俳優と思うと本当にすごかったです。

これはある世代の歩んだ道

朝鮮戦争での興南の撤退、クリスマスの奇跡。

さらに貧しい身でに逃げた先での扱い。古き良きロマンスのような展開の恋愛パートだったり、胸の裂けそうな家族の再会だったり。

時代の流れを追っていく様には、ドクスの人生を越えて韓国のある世代の在り方、歩んだ道が見えます。

ドクス個人の物語でありながらも、今作は韓国の歴史。

豊かになっていく国は国際市場に象徴するように、その変わり行く様が見えています。

父へ、父たちの世代への想い

メインストーリーとしてはドクスが店を譲らなかった理由が明かされていくというもの。妹を探し出すという約束、そして父を待つこと。

家族みんなに言わず、気丈にふるまいながらも、一人部屋にいって泣く。

幸せな3世代の家族がそろう隣の部屋でむせび泣くドクスを映すショットがなんとも胸を打ちます。

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私は今作にはドクスから父への想い以上に、現代の韓国の世代から一つ上の世代への想いが込められていると思います。

ドクスのような過酷な生を送り、子どもたちが辛い思いをしないようにと頑張った人たちがいる。

彼らのおかげで韓国の今があるということ。

その意味で、この映画はドクスの世代に捧げられるものでもあるということです。

英語の方のタイトル”Ode to My Father”における父というのは、ドクスの父でありまたドクス彼自身でもあると思いました。

感動ドラマとして王道的にもおもえ、その点でなにか斬新なものを期待するとそこには沿っていないと思います。

それでもファン・ジョンミンはじめとした演者の力や、各時代ごとのプロダクションデザインなどは大きな力となり、想いが込められた脚本を素晴らしい映像作品にしました。

スクリーンで観ていたら、まちがいなく妹との会話シーンで号泣していたでしょう。配信でも実際の映像など含めてぽろぽろ涙が出ましたから。

かなり満足のいく作品でした。

感想はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた。

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