「300<スリーハンドレッド>」(2006)
- 監督:ザック・スナイダー
- 脚本:ザック・スナイダー、マイケル・E・ゴードン、カート・ジョンスタッド
- 原作:フランク・ミラー
- 製作:ジャンニ・ヌナリ、マーク・キャントン、バーニー・ゴールドマン、ジェフリー・シルバー
- 製作総指揮:フランク・ミラー、デボラ・スナイダー、クレイグ・J・フローレス、トーマス・タル、ウィリアム・フェイ、スコット・メドニック、ベンジャミン・ワイスブレン
- 音楽:タイラー・ベイツ
- 撮影:ラリー・フォン
- 編集:ウィリアム・ホイ
- プロダクションデザイン:ジェームズ・D・ビゼル
- 衣装:マイケル・ウィルキンソン
- 出演:ジェラルド・バトラー、レナ・ヘディ、ロドリゴ・サントロ、デビッド・ウェナム、マイケル・ファスベンダー 他
フランク・ミラーのグラフィックノベル「300」を実写映画化した作品。監督にはザック・スナイダー、そしてスパルタ王を演じるのはジェラルド・バトラー。
一応元となっているのはペルシア戦争におけるテルモピュライの戦い。スパルタ教育なんて言葉で有名な、ギリシアのスパルタ人、そのレオニダス王を主人公にしています。
ただし、あくまでファンタジー的な解釈をしたグラフィックノベルが元です。なので歴史映画でもないですし、舞台を借りたアクションファンタジー映画という姿勢で見ましょう。
なかなかカルト的な人気もある作品で、筋トレを始める人、台詞を真似する人など愛され系映画。ハマる人ならハマるという感じでしょう。
紀元前480年、ペルシア帝国はその勢力を拡大し、世界を飲み込もうとしていた。
その力はついにレオニダス王の治めるスパルタにまで及び、王に対しペルシア皇帝クセルクセスへの服従を命じる。
しかしスパルタに服従の文字は無い。「これがスパルタだ!」の雄たけびと共に、レオニダス王はペルシアの使者を一蹴した。
ペルシアは必ずスパルタへと進軍する。レオニダス王はこれを迎え撃たんとするが、議会は因習を信じ、腐りきった政治家は耳を貸さない。
王は戦わずしての降伏を好まず、自身の精鋭300人を集め自らペルシア軍100万を食い止めに旅立つ。
筋肉モリモリの男どもが、これ見よがしなパンツ衣装で戦う。はい。そういう映画です。
マッチョ好きさんは是非。皆戦うために絞られた体ですよ!
この作品でザック・スナイダーが目指したのはコミックの映像化と思えます。
原作は見開き2ページで展開する横に広々とした一枚画。
それをそのまま映画のスクリーンに落とし込んで見せていこうという部分では、今作はかなりの画作りをし、グラフィックノベルの世界観を展開できていますね。
随所に使われるスローモーションは、静と動のコンビネーションで、アクションシーンではワンアクションごとにそのスローモーションが使われ、決め画を見てはページをめくり、またカッコいい決め画が展開されていくのです。
そういった意味では、ビジュアルの素晴らしい作品であります。
スクリーンショットを並べるだけでも十分にカッコいいわけです。
さて、ファンタジー映画であることをしっかり認識していないといけません。
びっくりするようなペルシア側の描写。というか造形。なんでもありかといわんばかりに、この映画での悪役として登場。異形、残忍で狡猾。
今作ではレオニダスら英雄のスパルタ人以外はことごとくどこかしら醜い。自国スパルタですら、聖職者は古い豚ということでシスの暗黒卿のようですw
まあコミックだから分かりやすくということもあるでしょうが、古代における容姿と精神の関連性をそのまま(皮肉的にも)使っている気がします。
レオニダスら主人公、今作の中での精神の高潔なものは、理想的な雄々しさと肉体を称えています。その一方で、主人公の考えと逆、今作での悪役らは皆卑怯で肉体的に異形。
「お前らは精神が腐ってるから体もキモイのさ。」という態度w
歴史映画であればまあ嫌なものですが、ファンタジーですから飲み込めます。中立的な態度とか公正な歴史観を期待すると辛いものがあるでしょう。
まあそんな風に見た目には誇張しまくりですが、それは歴史そのものがそうなので。
ただスパルタが全軍出陣できなかったことや、灼熱の門、ファランクスによる戦法など戦いの大事な部分は分かりやすく抑えてくれていますね。
なぜ300なの?どうしてその数で頑張れたの?そういった部分にノイズを感じずに、マッチョたちの活躍を観ていられます。
ビジュアルの完成度は気持ちよく、ページがめくられるように緩急を使ったショットでアクションが展開される。血しぶきすらエフェクトのように使われる筋肉ヒーローの活躍を、純粋に楽しんでみるのがいいのでしょう。
これを観て筋トレをしたくなり、うるさいやつは”This is Sparta!!!”の雄たけびと共に蹴り飛ばしたくなる。そんな映画です。
そんなわけでザック監督のやりたいことはこれだろ、という作品の感想でした。やはり見た目の部分を監修するのが一番いいのでは?監督の作家性が良い感じに発揮されたものですね。
それでは、おしまい。また。
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