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「エンジェル・ウォーズ」”Sucker Punch”(2011)

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sucker-punch-2011-movie 映画レビュー
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「エンジェル・ウォーズ」(2011)

  • 監督:ザック・シュナイダー
  • 脚本:ザック・シュナイダー、スティーヴ・シブヤ
  • 原案:ザック・スナイダー
  • 製作:ザック・スナイダー、デボラ・スナイダー
  • 製作総指揮:ウェスリー・カラー、クリストファー・デファリア、ジョン・ジャシュニ、トーマス・タル
  • 音楽:タイラー・ベイツ、マリウス・デ・ヴリース
  • 撮影:ラリー・フォン
  • 編集:ウィリアム・ホイ
  • 出演:エミリー・ブラウニング、アビー・コーニッシュ、ジェナ・マローン、バネッサ・ハジェンズ、ジェイミー・チャン、カーラ・グギノ、オスカー・アイザック 他

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ザック・シュナイダー監督による、女性キャストを揃えて送るファンタジーアクション映画であり、なかなかの珍作。

そもそものビジュアルが強い作品ですが、当時のワーナー的には応援していた作品ですね。

主演はエミリー・ブラウニング、その他、アビー・コーニッシュやジェナ・マローンが出演。また彼女らを監視する役でオスカー・アイザックが出ています。

公開当時はテレビとかで取り上げられていましたし、いわゆる日本のアニメを中心としたサブカルに大きく影響された作品と騒がれていたのですが、北米評価やあまり興味がなくスルー。

本当にかなり経ってからソフトで鑑賞しました。ちなみに原題の”Sucker Punch”は”不意打ち”の意味です。ボクシングとかの反則で、ブレイクタイムとかに急に殴る汚い行為ですね。

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母の死によって継父と残された姉妹。しかし継父は遺産を我が物にしようと、姉妹に手をかけようとする。妹を守ろうとした姉は銃を使うのだが、、誤って妹を死なせてしまった。

そこで継父は姉を精神疾患ということにし、精神病棟へと強制入院させ、ロボトミー手術により相続権利を失くそうとする。

手術までに、少女は脱出を試みる。

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まずザック・シュナイダー監督が追い求め、描こうとした世界とビジュアルですが、なんとも人を選びます。

というのも、今作がシュナイダー監督の思い入れの強いジャンルやカルチャーをとことんマイルドにも、万人受けにもせず思いのまま視覚再現したからかと思います。

ランジェリー、美少女たち、タクティカルな装備や銃器に、ジャンル映画のアイコンたち、モンスター。

日本刀を持ったセーラー服(セクシーすぎてもうそういう店のものにしか見えませんが)の金髪少女が、巨大な魔物侍、ゾンビ、ロボット、ドラゴンを斬り捨てる。

長回し風(おそらくカットありでCG処理)の撮影に、とめどないアクションとスローモーションの多様、外連味あふれるショットはハマるという人にはとにかくハマるのでしょう。

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この言い方でお分かりの通り、私にはハマりませんでした。

実際のところ、CG処理などの度合いが分からないのですが、大きなアクションやVFXよりも、キャストのアクションの動きに関してはカッコよくまた各動きの流れが見えて素晴らしいと思います。

特にWWI部隊のような塹壕と中央地帯での闘いでは、銃器と連携、突入などの動きが見やすく、とてもクールに感じました。

ビジュアルに対する力の入れように関しては「300」とかの監督らしいですね。しかし、私にとっては結局は自己満足的なルックだけの映画でした。

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主に、ストーリーテリングが良くないというか、もはや存在しません。

ベイビードールの妄想の、夢の世界というのは良いのですが、今回は2重にした意味がわかりません。

現実(精神病棟)、仮想世界(娼館)そしてバトルフィールド(戦闘シーン)と3段階構成で、主に後者2つで話しが進行するのですが、夢の中でさらに夢を見る意味が良くわかりません。

それに、ハードな現実をどうにか処理するために物語に頼るということなら、人物個人への接触と描写が重要なはずです。

でもこの映画、OPでベイビードールのバックストーリーを全て説明し、それ以後何もありません。スイートピーもロケットも、現実で患者として出てくることもなく、ドラマ性も思い入れも起きないんです。

アクションは派手ですが、感情がわかず間延びして見えてしまいました。

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現実での描写をなくしてしまうと、それに呼応する妄想世界での意味が失われます。

精神病患者を娼婦として与えるビジネスがあるのなら、娼館を見せる仮想現実は必要ないですから。そのまま精神病棟を舞台に、バトルフィールドへ移行すればいい。

後気になるのは、仮想現実内でのベイビードールのダンス。ダンスがすごくて無条件に男が行動不能になるという便利機能ですが、あれがなんなのか一切映さないですね。

総合的に見て、やりたいことはわかります。なら余計な設定を付けずに真正面からファンタジー全開でいけばよかったのに。

辛い現実を生きるための幻想というのは、ここでは言い訳であり卑怯な逃げです。その裏に見えてしまう加虐性と罪悪感への心酔すら私は少し不快でした。

本当にいろいろ見てきて思うんですが、ザック・シュナイダーってルック作りはいいけれど、ストーリーテリングはできない監督なのかもしれません。

今回はちょっと酷評という形になりましたが、映像だけでも好きな人にはハマるジャンルですから、試しに観るのもありでしょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた次の記事で。

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