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「誰よりも狙われた男」”A Most Wanted Man”(2014)

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映画レビュー
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「誰よりも狙われた男」(2014)

  • 監督:アントン・コルベイン
  • 脚本:アンドリュー・ボーヴェル
  • 原作:ジョン・ル・カレ 「誰よりも狙われた男」
  • 製作:スティーブン・コーンウェル、ゲイル・イーガン、マルテ・グルナート、サイモン・コーンウェル、アンドレア・カルダーウッド
  • 製作総指揮:ジョン・ル・カレ、テッサ・ロス、サム・イングルバート、ウィリアム・D・ジョンソン
  • 音楽:ヘルバート・グリューネマイヤー
  • 撮影:ブノワ・ドゥローム
  • 編集:クレア・シンプソン
  • 出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、レイチェル・マクアダムス、ウィレム・デフォー 他

ジョン・ル・カレの小説をアントン・コルベイン監督が映画化したスリラー作品。主演はフィリップ・シーモア・ホフマン。

レイチェル・マクアダムス、ウィレム・デフォーも出演しています。私はTOHOシネマズシャンテにて観てまいりました。平日の昼狙いですいているかと思いきや、なかなかの入りでしたね。

とにかくフィリップの遺作になるわけで観ないわけにはいかないんです。

チェチェン出身のイスラム過激派の男がハンブルグに不法入国。

現地でテロ対策担当のギュンターは、もともとのターゲットであるアブドゥラを捕まえるため、この過激派の青年イッサを利用しようと計画する。すべてはこの世界を平和にするため。

ドイツ、ロシア、アメリカ、そして世界に暮らすイスラムの人々。

昨今のイスラム国の台頭、元はアルカイダなどテロ組織による世界への脅威まで遡りますが、すごく今観る映画です。

国を渡ること、受け入れることの緊張というのはやはり常にあるのですね。

全編ゆっくりと地味な緊張を持ちつつ話が進みます。クライマックスにすべてを集約することは、このテロ対策計画そのものの息遣いと合致しているのでしょう。

平和のためには、弱みをにぎり、利用する。

その人間をつかってより重要な人間へアクセスする。そしてその先にはさらにキーとなる人物が待っているのです。その過程において非憲法的であろうとなんであろうとかまわない。

この映画から透けて見えるのは私たちの現在の平和のカタチに思えます。

監視カメラに見守られ、安全になる。

人を操り騙し、売り渡す。

こういったことの連続、そしてそれを担う存在しない人々によって私たちの平和な生活が成り立っています。そういう風にしか今は平和を作れないと言えるかもしれませんね。

この映画でも良い演技を見せてくれたフィリップ。

もう観ることのできない彼。最後は私たちを安全な場所に置いてどこかへ行ってしまいます。

彼がくれた多くのものはいまでも心に残っている。

ありがとう。そしてさようなら。R.I.P. Philip Seymour Hoffman.

もし今映画館で観るものに迷っているならおススメの映画です。

派手でなく、じっくり楽しむものなのでご了承を。

今回はこれで。ではまた。

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