「アラジン」(2019)
- 監督:ガイ・リッチー
- 脚本:ジョン・オーガスト
- 原作:『アラジンと魔法のランプ』
- 製作:ダン・リン、ジョナサン・アイリヒ
- 製作総指揮:マーク・プラット、ケヴィン・デラノイ
- 音楽:アラン・メンケン
- 撮影:アラン・スチュワート
- 編集:ジェームズ・ハーバード
- 出演:メナ・マスード、ナオミ・スコット、ウィル・スミス、マーワン・ケンザリ、ナヴィド・ネガーバン、ナシム・ペドラド 他
「コードネーム U.N.C.L.E」などのガイ・リッチー監督が、ディズニーアニメーションのクラシックである「アラジン」を実写化した作品。
主人公アラジンはまだまだ演技経験も浅いメナ・マスードが演じ、一躍大作起用の大抜擢。
またジャスミン王女は「パワーレンジャー」のナオミ・スコットが演じ、邪悪な大臣ジャファーはマーワン・ケンザリが、さらにランプの魔人ジーニーをウィル・スミスが演じています。
昨今ディズニーがやっている自社アニメ作品の実写化プロジェクトのつづきになりますけれど、まあ個人的にディズニーアニメに思い入れがなかったため劇場鑑賞は島戦でした。
今回はディズニーシアターにて鑑賞しました。
アグラバーの街で、相棒の猿アブーと共に盗みをして生計を立てているアラジン。
あるとき彼はジャスミンという王女の侍女に街ででくわし、心を通わせるのだが、アブーが彼女の腕輪を盗んでしまったことでジャスミンは怒って城へ帰ってしまう。
アラジンはジャスミンへ腕輪を返すため城に忍び込み、ジャスミンこそが王女その人であると知るが、同時にあまりの身分の差に彼女にアプローチすることに絶望してしまう。
一方、国を乗っ取ろうと画策する大臣ジャファーは、アラジンの純真さに付け入り、強力な魔法のランプを取りに行かせる任務を与えるのだった。
ディズニー実写映画化作品としては、まず実写に落とし込むこと、その上で現代アップデートをかけること、この2点だけは外せないのかと思います。
その上で根本的な部分を見出すと、実写化する意味であると考えられます。
実写に落とし込むという意味では、まあ巨額の投資とCGIの技術や役者がグリーンバックやキャプチャーの中奮闘しているので十分かと思います。
個人的にはCGでのジーニーや彼の魔法の表現、有名な夜の魔法の絨毯のシーンなど、視覚的には楽しめると思います。
しかし、やはり現実世界の制約に強く縛られてしまうゆえに、アニメーションという無限の世界に比べるとまあ落ち着いたものになってしまうと感じます。
なんとなくスケールが小さくなってしまっているように感じてしまう部分もありました。
それに比べれば、アラビアの世界を堪能する豪華な舞台や装飾、衣装の面での楽しさがかなりありました。
俳優陣特にメナ・マスード演じるアラジンとナオミ・スコットのジャスミンのケミストリーは最高に良かったと思います。
一応男女の中でありながらも、性的な部分は抑えられて、よりこの二人のキャラクターの芯の部分でのつながりにフォーカスしたものを感じることができました。
メナ・マスードも好青年で少し弱気になったアラジンを好演しています。少し弱気だったりすることで、アラジンの権力への揺れ動きもすんなりしていました。
またナオミ・スコットはかわいらしくあり、作品に重ねられたフェミニズムの体現としての力強さも感じられます。
ワンカットでのアニメにはなかった歌唱シーンの強さがとても良かったです。
ジーニー含めて、アラジンもジャスミンも、言ってしまえばジャファーも枷を嵌められて生きた存在として描かれます。
誰もが解放されたいと思うお話ですね。今回はジャファーに関してもその出自を見せてきましたが、個人的には逆にしこりが残る形に。
まあ力を求めていくことや階級などにこだわり自分のままで踏み出すこととの対比もあるにせよ、ちょっとバックグラウンドを与えたことで複雑に。
もっともっとアラジンと対比、鏡像となる描かれ方でも良いでしょうに。
映像技術は見事で、スペクタクルも魔法も表現され、ジャスミンに乗せられているフェミニズムなど現代のアップデートもあります。
その上であえて言うとすれば、なぜ実写映画化をこのタイミングでしたのかに明確な理由を見出せませんでした。
アップデートするのは分かるとして、実写にする意味とは。
アニメーションを再度デジタルや3Dで製作するわけでもなく、実写映画としたところ、そのフィジカルに訴える部分や強い制限に落とし込んだ意味が分かりませんでした。
ノスタルジーと強コンテンツとしてのマネーメイキングに思えてしまうのは残念なところです。
しかしアニメーションに触れていない方などにとって、新しく更新されたお気に入りの寓話となる可能性を持っているとすれば、特にジャスミンの歌などは好きなのでいい面もあるかと思います。
ディズニー実写映画はほとんど見ていないのですが、「ダンボ」や「ライオンキング」も観てみようかなと思います。
実写化の連続性になにか意味を見出すかもしれませんので。
こんなところで感想は終わります。
最後まで読んでいただきどうもありがとうございました。
それではまた次の記事で。
コメント