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「ジャングル・ブック」”The Jungle Book”(2016)

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映画レビュー
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「ジャングル・ブック」(2016)

  • 監督:ジョン・ファブロー
  • 脚本:ジャスティン・マークス
  • 原作:ラドヤード・キプリング 「ジャングルブック」
  • 製作:グリングハム・テイラー、ジョン・ファブロー
  • 製作総指揮:モリー・アレン、カレン・ギルティリスト、ピーター・M・トビヤンセン
  • 音楽:ジョン・デブニー
  • 撮影:ビル・ポープ
  • 編集:マーク・リヴォルシ
  • 出演:ニール・セディ、ベン・キングスレー、ビル・マーレイ、イドリス・エルバ、ルピタ・ニョンゴ、クリストファー・ウォーケン、スカーレット・ヨハンソン、ジャンカルロ・エスポジート 他

ヤドラード・キプリング原作の「ジャングルブック」。ディズニーは1967年に同小説をアニメーション映画にしていますが、今作はそちらを元に実写化した作品になっています。

監督は「アイアンマン」(2008)、(2010)シリーズや「シェフ 三つ星フードトラック始めました」(2014)で有名なジョン・ファブロー。

動物たちは全てCGで、声の出演も豪華です。そして主人公のモーグリ役には、2000人もの中からオーディションで選ばれた、新人のニール・セディ。

懐かしの映画でありまた新たな挑戦でもあり。映画館では歌を覚えている大人の人が、画面に合わせて口ずさむような場面も。

ちなみに今作の成功を機に、より古典作品の実写化を念頭にディズニーは製作をしていくことを示唆しています。

ジャングルの奥深く。様々な動物たちが暮らす場所。

そこに人間の子供がいた。モーグリと名付けられた彼は、黒ヒョウのバギーラに拾われ、オオカミのラクシャに育てられた。

しかしある時危機が訪れる。獰猛なトラのシア・カーンが、モーグリを差し出すように迫ってきたのだった。

ラクシャやバギーラ、そしてオオカミの長であるアキーラも、モーグリは家族であると守ろうとする。だが人間を憎むシア・カーンは、あくまでモーグリをその手で殺す気でいたのだ。

元の小説をアニメーションにし、今回それを実写にしたわけですが、その手法はやはりこの2016年ならではのものです。

今回は全てスタジオ撮影。ブルーバックでニール・セディ君が演じているんですが、まずもってこのCGで作られたジャングルや動物たちの生命力の素晴らしさ。

本当に感動ですね。生き生きとしてかわいらしく、それでいて見た目におけるデフォルメはなくしっかり現実の動物。この絶妙なキャラクタライズのバランス、観ていて楽しいですよ。

それ以上にやはりニール君の素晴らしい演技力には拍手ですね。彼に支えられる形で、ジャングルが活気あふれ、観客はどのキャラクターにも感情的に寄り添うことができると思います。

ホント、ブルーバックに全身タイツの大人たち、妙な人形に囲まれてよくここまで演技できたなぁ。

作品内で特に動物がしゃべれることに説明はありませんが、モーグリ以外の人間を一切出さずにいることがすっきりと飲み込める理由かも?そういった客観性を取り除いて、より描きたいものに注視している姿勢と感じました。

“The Bare Necessities”や”I Wanna Be Like You”などの懐かしの曲もかかりつつ、しかしミュージカル感はかなり抑えられていた印象です。

まあキング・ルーイの歌は急に入ってきたように感じてしまうかもしれませんが。クリストファー・ウォーケンの歌が聞けたので良かった。

さて、今作が描こうとしているのは、未開の地ジャングルの中で育った少年の冒険記・・・というよりは彼のアイデンティティ確立でしょうか。

実は大幅な改変が、64年のアニメーション版からは為されています。このアップデートをどう見るか、という点に関しては私は大満足。大好きな着地であると言いますね。

シア・カーンとモーグリ。他の動物と違って人間を内包している存在同士。

シア・カーンは憎悪や復讐心に囚われ、人間のような業を背負っています。

それに対してモーグリは、もちろん彼自身が人間という、ジャングルに属さないものである事実を抱えています。私にはシア・カーンの目的はモーグリを殺すこと以上に、彼に原罪を侵させ、自ら憎むべき人間という存在に堕とすことだと思えました。

人間の証であり、ジャングルには属さないものである赤い花。

モーグリはアキーラの事で彼自身が復讐鬼となりかけますね。あのシア・カーンの、待ってました顔が素敵だった!しかしそれでも仲間のおかげで自分がどうありたいかを思い出したモーグリ。掟をみんなで声を揃えて言うシーンは感動の涙が・・・

人間である本質を捨てることはせずに、それでもジャングルが故郷であると証明してみせるモーグリの姿には、どんな苦難や絶対に覆ることのない障壁があろうとも、自分がありたい自分になれるという力強さが見えます。

この少年の葛藤とその答えに、観客は心を揺さぶられ励まされると思いますね。アニメ版よりもより現代的というか、現代に必要な着地とも感じました。

驚くべきCG表現で映し出されるジャングルをニール・セディ君の演技が完璧なものにして観客を案内してくれます。

その未開の地には驚きも怖さも、楽しさも切なさも詰まっている。モーグリが成長する姿は力強く、彼に影響を受ける仲間たちの絆は熱く。寓話を通して自己実現の無限の可能性を輝かせる作品でした。

うん、ジョン・ファブローはすごい。色々撮ってほしいですね~

感想はこれでおしまいです。ペットとかゴジラに押されてたみたいですが、子供たちに観てほしい映画でもありますね。それでは、また。

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