「バーニング・オーシャン」(2016)

  • 監督:ピーター・バーグ
  • 脚本:マシュー・マイケル・カーナハン、マシュー・サンド
  • 原案:マシュー・サンド
  • 製作:ロレンツォ・ディ・ボナヴェチュラ、マーク・バーラディアン、マーク・ウォールバーグ、スティーヴン・レヴィンソン、デヴィッド・ウォマーク
  • 製作総指揮:ジェフ・スコール、ジョナサン・キング
  • 音楽:スティーブ・ジャブロンスキー
  • 撮影:エンリケ・シャディアック
  • 編集:コルビー・パーカー・Jr、ガブリエル・フレミング
  • プロダクションデザイン:クリス・シーガーズ
  • 出演:マーク・ウォールバーグ、カート・ラッセル、ジョン・マルコビッチ、ケイト・ハドソン、ディラン・オブライエン、ジーナ・ロドリゲス 他

俺たちの「バトルシップ」(2012)を撮った最高な監督、ピーター・バーグによる実話を基にした最新作。主演にはマーク・ウォールバーグということで、「ローン・サバイバー」(2013)でも組んでいたタッグになりますね。これまた生き残ろうとするサバイバル的な、実話ベースのお話です。

もうすぐGOTGVol.2も公開のカート・ラッセルや、名優ジョン・マルコビッチも出演。

2010年に起きた、アメリカ史上最悪の原油流出事故を描いた作品となっていますが、とりあえず言っておくとドキュメンタリーでもなければ、誰かに搾った伝記とかでもなく、おもしろいバランスで作られていますよ。

公開日の夜に観てきましたが、題材にしては人が入っていたのかな。まあ同日公開の「美女と野獣」に他の映画同様押されているんですけど。

メキシコ湾沖にある石油採掘施設”ディープウォーター・ホライゾン”。

技師のマイク・ウィリアムズは、監督のジミーや他の作業員たちと共にこの施設へとやってくる。そこでは彼ら採掘技師たちの上に立つBP社の役員たちもやってきていた。

彼らはスケジュールの遅れとそれによる損失を懸念しており、セメントチェックなど採掘に必要な準備作業を飛ばし、早く原油の吸い上げをするように指示していた。

現場監督のジミーらは反発するが、テストでの以上圧力と無圧力の矛盾などを説明できず、やむなくドリルの可動を許可するのだった。

最近あまり見かけなかった気もしますが、これは往年の名作である「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)や「タワーリング・インフェルノ」(1974)などと同系統のディザスター・ムービーでした。

大災害の中で生き残ろうとする人間を描き、ドラマ性などはある程度抑えたような作り。

しかし、それでも私は今作で監督が与えたバランスにとても感心して観ていました。

ピーター・バーグ監督はカオスと秩序を非常に巧くコントロールしたように思えます。

序盤からある程度登場人物の家庭や関係性を見せていきますが、親しいからこそのふざけた会話やくだらない世間話を通して、しっかり人物の新密度などを見せています。最初は次から次へと出てくる専門用語についていけませんが、実は本質的な理論の部分は大変分かりやすく置いてあり、後々大混乱が起こった際に、序盤で印象付けられたものが再び登場することで、何が起きているもしくは起きそうなのか、そしてどうすべきか、はしっかり観客が理解できるのです。

何度も映る、開閉部のあるパイプの内部ショット、海底、スクリュー。

それぞれの状況が観客に示されることで、その時の目的地と現在地というのは常に視覚的に分かりやすい印象でした。

それでいながらも、いったんこの抗井が文字通りの”地獄”と化せば、計り知れないカオスが観ている側を包みますね。視覚効果満載の炎に爆発に飛び散る鉄片。

人物が何が起きているかわからないのと同じように、次のカットでどうなってしまうかわからない。混沌とした恐怖がしっかりと感じられました。

直接見ることはできずとも、感じるという怖さが、個人的には際立ったものと思えました。

確実に異常な音を立てるパイプ、そこにはなにか惨事につながるものが着々と流れている。あふれ出てくる泥。ゆっくりとしかし確実にマズい何かが迫っている。

こういう部分は音に包まれる劇場で、ドキドキしながら体感して観るのが一番ですね。

ドラマ部分は確かにあり、演出がなされる分やはり伝記映画やドキュメンタリックなものというよりは、災害映画であると感じます。本来わからないであろう、人物の最期の瞬間の行動なども描かれますし。しかし、監視室が吹き飛ぶ前に、なんとかパイプの離脱をしようとボタンに手を伸ばすなど、後々のセッティングを印象的なシーンに持ってくるのは、やはり巧いなと思いました。

過剰には英雄的行動や善悪描写をせず、仕事のプロがなすべきことを的確にしようとする姿を魅せますね。救援のヘリのあるくだりが、その到着時に経過時間の短さを伝えるのも素晴らしい。

最終的には人物とすごく繋がるような、エモーショナルさは出さずとも、この事故を経た人々と失われた命を身に染みて感じます。気丈で、励まそうと冗談を言っていた彼が、本当に怖かったのでしょう、泣き崩れる姿は胸を打ちますね。

一言で言えば、バランスが優れた作品。ピーター・バーグ監督とマーク・ウォールバーグの実話ベース映画は期待できるものですね。ディザスタームービーでありつつ、整理され、生き延びた人たちへの想いもある作品。映画館での鑑賞がおススメされる作品です。

今年もう一つ、監督とウォールバーグが組んでボストンマラソンの爆破テロを描く「パトリオット・デイ」がありますが、そちらも俄然楽しみになったのでした。

そんなところで感想はおしまいです。それでは、また~

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