「ドクター・スリープ」(2019)

  • 監督:マイク・フラナガン
  • 脚本:マイク・フラナガン
  • 原作:スティーブン・キング『ドクター・スリープ』
  • 製作:トレヴァー・メイシー、ジョン・バーグ
  • 製作総指揮:ロイ・リー、スコット・ランプキン、アキヴァ・ゴールズマン、ケヴィン・マコーミック
  • 音楽:ザ・ニュートン・ブラザーズ
  • 撮影:マイケル・フィモナリ
  • 編集:マイク・フラナガン
  • 出演:ユアン・マクレガー、レベッカ・ファーガソン、カイリー・カラン、クリフ・カーティス、エミリー・アリン・リンド、ブルース・グリーンウッド 他

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スティーブン・キング原作の、「シャイニング」40年後を描く小説を映画化。

スタンリー・キューブリックによるホラー映画の伝説的作品「シャイニング」(1980)の続編ともなる今作は、「ウィジャ ビギニング 〜呪い襲い殺す〜」(2016)のマイク・フラナガンが監督を務めます。

また、主人公は「シャイニング」で生き残った少年ダニーであり、大人になった彼をユアン・マクレガーが演じます。

そして、特殊な能力を持つ者たちを狙う悪しき存在を「ミッション:インポッシブル」シリーズのレベッカ・ファーガソン、またダニーが出会う強力な能力をもつ少女を、新人女優のカイリー・カランが演じています。

ある意味挑戦するのも怖い「シャイニング」続編。前作にあたるあれも、キング原作とは異なるものになっていますし。

正直シャイニングの大ファンではないですが、キューブリック版とキングの原作と、バランスをどうとるのかに興味があって鑑賞しました。

まあ劇場としてはそんなに混んではなかったかな。やはりあの姉妹のアニメがすごい入りで。

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オーバールックホテルでの惨劇から40年。

発狂した父に殺されかけるという体験をし、自身の特殊能力”輝き”に悩まされていたダニーは、皮肉にも父と同じくアルコール依存症を患っていた。

心身ともに廃れ、彼は心機一転を図ろうと新たな街で生活を始める。

一方でダニーと同じ、そして彼以上に強力な”輝き”を持つ少女が現れ、ダニーに交信してくる。

彼女は、自分たちのような”輝き”を持つ人間を襲い食らう悪しき集団がいると言い、ダニーに助けを求めてきたのだ。

力を隠し生きてきたダニーは少女アブラの頼みを一度は断るが、その”輝き”を正しいことに使うべきではないかと思い直し、悪と戦うことにする。

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率直に言えば思った以上に楽しめた作品でした。

全体に配慮しなきゃいけなかったり、満足させなきゃいけない方面が多い中でよくまとまっていると感じます。

まとめ上げるだけでなく、一つの娯楽映画としてもしっかり楽しませてくるまで行き、単純に役割だけの映画でもないのには感心です。

マイク・フラナガン監督ですが、大変ではなかったでしょうかね。

まず前作となっているキューブリック版の「シャイニング」はファンも多く、その続編を作る上ではリスペクトやテイスト合わせがあるでしょう。

今回も特にホテルに入ってからのショットが気遣いに溢れていますし、階段でのカットトレースは見事です。

そして、原作者であるスティーブン・キングへの配慮もあるでしょう。キングの小説ファンにも応えなければいけないですし。

大分改編された前編を、キューブリックの遺産は残しながら、しっかりと後編は続編として原作リスペクト。

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本当にバランスの良い作品です。

それだけではなく、現代のビジュアルや映像技術による超能力バトル作品としてしっかり味を出しているのですからすごいです。

ホラーという点ではそこまで身構えるべきでもないと思います。怖いというか楽しいです。

ジャック”ニコルソンに比べれば何でも怖くないのもありますが、レベッカ・ファーガソンは良い魔女感でした。

実際のところ、アブラが強すぎて悪役の力不足になるかとも思いましたが、なるほど前作からの引き継ぎとして、ホテルの特別感を増すためだったわけです。

結局は善と悪、被害者と加害者の関係。

世界に悪しきものは存在します。ダニーと母は人生を壊されてしまいましたが、アンディもそうですね。

ふとした台詞にマイノリティを入れ込む点など弱者側にたつ姿勢が見えますが、これはキングの世界に共通する点でしょうか。

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特別な才能、力ゆえに本来は触れなくてもいい悪に接触してしまう。それがずっとダニーを悩ませ続けてきたわけです。

だから、いかに素晴らしい力だとしても、ひた隠しにして生きてきた。

ただ世界には悪意と同じく必ず善意があるものです。善きことをしようという魂が、邪悪な存在と対になって存在する。

アルコールでも虐待でも、飲み込まれそうになることはあります。人は弱いものですから。

今作では飲み込もうとする死者たちが出てきますが、同時に飲み込まれそうな人を支え導いてくれるのも死者です。

酒と悪霊に飲まれた父を想い、そして自分を救った師を想い、全を成すためにダニーは再び輝く。重要なのはどう生きるかなのかと思います。

人から奪い永遠に生きたり、死してなお生者に群がるよりも、自分を信じてくれる人のため正しいことをする。

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大小はあれど”輝き”を持つ人は多い。ダニーはアブラに語ります。

私たちもみな何か輝くものを持っているはず、それは人のために力になろうとする行為それ自体かもしれません。そしてそうした行為がまた、自分自身を救うことにもなりえます。

ホラー映画ですが死者を導き手にとらえ、そして生者には、人は弱いものであることを肯定しながら、批判せず世界には必ず善があると感じさせてくれる。

観終わるとけっこうしんみりと優しい作品に思えました。

フラナガン監督、難しい役回りが来たのをしっかりとこなした上で前作と合わせ見事に輪を閉じました。

個人的には気に入った作品になりました。

感想としてはこのくらいになります。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

ではまた次の映画の感想で。

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