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「アイアンマン2」”Iron Man 2″(2010)

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映画レビュー
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「アイアンマン2」(2010)

  • 監督:ジョン・ファブロー
  • 脚本:ジャスティン・セロウ
  • 原作:スタン・リー、ドン・ヘック、ラリー・リーバー、ジャック・カービー
  • 製作:ケビン・ファイギ
  • 製作総指揮:スーザン・ダウニー、ジョン・ファブロー、アラン・ファイン、スタン・リー、デイヴィッド・メイゼル、デニス・L・スチュワート、ルイス・デスポジート
  • 音楽:ジョン・デブニー
  • 撮影:マシュー・リバティーク
  • 編集:ダン・リーベンタール、リチャード・ピアソン
  • 衣装:メアリー・ゾフレス
  • 出演:ロバート・ダウニー・Jr、グウィネス・パルトロー、スカーレット・ヨハンソン、ドン・チードル、ミッキー・ローク、サム・ロックウェル、サミュエル・L・ジャクソン 他

1作目の「アイアンマン」(2008)のヒットはMCUにとってかなり良い上昇気流となりました。一大企画である「アベンジャーズ」(2012)に向けての世界拡張のため、ここにアイアンマンが戻ってきました。

監督は前作に引き続いてのジョン・ファブロー。ハッピー役としての出演もまたありますね。

また今作では、ローディ役がテレンス・ハワードから、ドン・チードルに変更されています。

MCU内ではそこまで人気じゃなく、特にアイアンマンは1作目の良さが中々越えがたいですが、こちらもそこそこ好きではあります。

ちなみに、今作はアカデミー賞視覚効果賞にノミネートしており、その点においてはたしかにアップグレードされたメカ描写が良い感じ。

アイアンマンスーツを作り出し、世間にその活動を公表したトニー・スターク。彼はそのスーツを身にまとい、様々な紛争地帯に繰り出しては沈静化をしていた。

しかし、アメリカ政府はその個人による介入や、スーツという兵器の私有に対し疑問を持ち、トニーにスーツやリアクター技術の政府への引き渡しを要求する。

兵器開発をやめ、自身の技術が組織や間違った手に渡り悪用されることを嫌うトニーはそれをはねのけ、自分で平和維持をすると言い張った。

そんなころ、かつてトニーの父と共に研究をしていたロシアの科学者が死去し、その息子イワンが残った。スターク一族に対し恨みを持つ彼は、自身の研究でリアクターに似た装置を作り出し、モナコのカーレース場でトニーを襲撃するのだった。

始めのスーツケース型のマーク5、あれカッコいいですよね。どんだけ拡大すんだって感じもありますが、シルバーとレッドのボディもステキ。

2作目として、やはりRDJのトニーは安定して面白いキャラクターです。彼はハマってる。パルトローのポッツや新たなローディのチードルらとの掛け合いも良い感じで楽しんでみることができます。

ミッキー・ロークはまあ天才技師にはちょいきつい気もしましたけど。廃れた感じはかなりに合っていましたね。そしてサム・ロックウェルのハマーがけっこう好き。うざい奴なんですけど、何しても胡散臭くてダメなやつ。あの出来損ない感が良いですね。

前作が兵器を捨てるために兵器を作り戦う話だったとすると、今回はその戦う資格やトニー本人の人間としての性格をかなり問われています。

そもそも武力介入して平和を守るというのがまあアメリカ的ですが、それがトニーに投影されて議論の的となるわけです。

いわゆる世界の警察になる資格とは?そもそもヒーローって?こんなことを問われるトニーですが、まあすごい自暴自棄。今まで以上にダメ人間ですが、リアクターの影響で死が近いのもあって、より醜態をさらしまくることに。

これがトニーらしくて好きならOK。そうでなければかなり下品。

ローディはそういう点で、ドン・チードルの真面目そうなルックもあって正反対の相手となりますね。またポッツとのやり取りにはなんというかダダをこねる子供感が出ていますし、会話という意味では台詞も面白く感じました。

話はちょっとやることが多すぎた印象。

スーツの軍による管理、トニーのリアクターとメンタル修理、そしてハマーの暗躍。それに付随して今回はスカーレット・ヨハンソン演じるブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフの登場。

彼女はマーベルユニバースの中に今後関わる人物ということで今回潜入してきます。まあホットな彼女でして、活躍シーンもあるんですが、もう少しスパイらしさが欲しかったりも。

トニーの子守的には良い感じですが。ま、あえて言ってしまえば、世界拡張とセクシー担当に落ち着いた印象ですが。

しかし、MCUの役割っていうのを意識するためか、そういった複数の要素が各自分裂していて散漫な印象になってしまっているのも事実かと。トニーの技術問題と革新に父との確執、ハマーの暗躍、イワンの復讐・・・もう多すぎです。

最後までそれらが相互的な作用を持たない気がして、惜しいところかなと。

父の軍事産業を受け継いだことそれ自体、トニーの強みでありまたイワンのような罪を受け継ぐことでもあります。父からもらった技術はトニーをアイアンマンにしつつ、また命の危険ももたらした。

それを乗り越えるのも父の助けを得てでしたね。ここは微妙な部分で、トニー自身の力でやってほしいような、でもそうすると父子の確執が残りまくるし・・・というバランス。

ハマーのスタークになれなかった男という話や、トニーの負の面の体現であるイワンなど、なんか掘り下げや着地がぼんやりとしていて悔しい感じが残りました。

ウォーマシンとアイアンマンタッグの戦闘とか相変わらず見やすいですし、メカアクションの熱さはあります。

ただアイアンマンの2番目の物語というよりは、いろいろなサイドストーリーの寄せ集め、MCUのフェイズ1、アベンジャーズへの布石のお話という印象が強い作品でした。

連続する映画世界のひとつの作品の悪い面が強いのかなと思います。一つの映画作品でなく、大きな流れの中の一部であること。それゆえの歯切れの悪さが目立ってしまっているのかと。

決してダメダメな映画ではないんですが、やはり1のすっきりとした完成度と比べれば、ちょっと霞んで消化不良な作品です。そんなかんじで終わります。それでは、また~

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