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「ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~」”Shaun the sheep Movie”(2015)

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映画レビュー
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「ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~」(2015)

  • 監督:マーク・バードン、リチャード・スターザック
  • 原案:ニック・パーク
  • 脚本:マーク・バードン、リチャード・スターザック
  • 製作:ポール・キューリー、ジュリー・ロックハート
  • 編集:シム・エヴァン・ジョーンズ
  • 音楽:イラン・エスケリ
  • 撮影:チャールズ・コッピング、デイブ・アレックス・リディット
  • プロダクションデザイン・マット・ペリー
  • 出演:ジャスティン・フレッチャー、ジョン・スパークス、オミッド・ジャリリ、リチャード・ウェバー 他

アードマン・アニメーションズが贈る「ひつじのショーン」シリーズの映画化です。

ショーンは普段Eテレにて土曜の朝に放送していますね。ショーンはもともと、同社の「ウォレスとグルミット、危機一発」に登場した羊です。

あの作品結構好きで、子供のころ録画を何度も観ていました。当初ショーンはプルプルと呼ばれていた気がします。

さて、今回は長編映画としてやってきたショーン。相変わらずのギャグセンスに、普段は見えないドラマが盛り込まれたものとなっています。

繰り返される牧場での毎日。毛刈りを終えて、朝起きてスケジュールをこなし夜寝る。

その日々に疲れてきたショーンは、ある日お休みを取ろうと考える。犬のビッツァーをやり過ごし、牧場主を寝かしつけてワゴンに入れ、さぁたっぷり遊ぼう。

しかしそう長くは続かず、ビッツァーにバレてしまった。しょうがなく牧場主を起こしに行くが、なんとワゴンが動き出してしまう。

牧場主を乗せたワゴンは街まで一直線。ビッツァー、ショーンたちは牧場主を連れ帰るため大都会へ行くことになる。

相変わらずのギャグ。この映画はしっかりとした台詞がなく、声は何語でもない音でしかないですから、挙動やそこからくる意味の食い違いなどにとても面白さが込められています。

スラップスティック、スタンドアップのコメディという部類でしょうか?

もともとデザインのかわいいショーンたちが、繰り出す面白さは所々に下品なネタがあってもかなりたのしく見れますね。

闇取引みたいな鶏とのやり取り、ピザをトースターに突っ込んだり、レストランでのシークエンス、逃走劇含めテンポよく笑いが飛び出してきます。

水飲み場でまるでおしっこしているように見えたり、牧場主のケツ、作り物とはいえ馬の尻の穴に頭を突っ込んだり(しかもぐるぐる回転w)はなかなかキツメのギャグでした。

こういった笑要素、とにかく好印象なのはそこでくるアイテムなんかが、後にも繰り返されたり活きている点です。無駄がない。

例えば冒頭でビッツァーが釣られてしまう骨、あとで病院でのオチとしてしっかり再利用されます。同じ音楽も使われていますし、意図して組んでいますね。

ショーンが絵がうまいという要素は、運びが早くなるのと、ワゴンでのギャグ、そして回収センターでの逃亡の決め手にもなっています。

無駄の無さは人物にもありますね。登場する新たな仲間である野良犬もそうですし、動物回収人のトランパー、スーパースターもちゃんと役目があります。

しかし、トランパー。こいつはすごい。

今回の悪役ポジションですが、頭の悪い中学生みたいで、出てくるたびになんか残念な奴で笑ってしまう。大したことしていないのに、まるでなにかのエージェントみたいになりきっています。

トランパーの待機室の場面があるんですが、あそこはかなりおもしろかったですね。映画オマージュが多いです。

映画オマージュは子供には難しいですが、ある程度映画を見ている人にはツボなものでした。

トランパーの部屋では「ターミネーター2」にて、シュワちゃん演じるターミネーターが酒場から出てくるときのBGMが流れています。

彼はターミネーター気分なんでしょう。そして鏡に向かって銃をパッと構える姿、そのナルシストな感じも実に「タクシードライバー」のトラビス。

映画オマージュの応酬だったのは動物回収センターでのシーン。ほとんど刑務所のように描かれたあそこの動物たちがすごく面白かった。ガン付け、壁に日にちをつける、筋トレする。刑務所あるあるばかりです。

そしてオマージュには、左右の手に”BARK”(ほえる)、”BITE”(噛みつく)の入れ墨のある犬。これは「狩人の夜」(’55)のオマージュですし、体を舐めたりしないように白い器具をハメられた猫。「羊たちの沈黙」(’91)のレクター博士そのままでした。そりゃショーンは沈黙しますね笑

主題はそういったギャグの中でしっかり進んでいき、記憶を失ってウルヴァリンになった牧場主(バリカン毛刈りがここで活きています)をなんとか取り戻そうとするわけです。

そこで思い出の歌、懐かしの我が家にいた蜘蛛を思い出したりしていく。ここでも前半部で見せたものが、その意味を持ってきます。

再び羊数え眠らせ作戦をおこなうのは、始まりと終わりの呼応として綺麗ではないでしょうか。

窓からのぞく牧場主そしてそこからずっと流れてショーンたちのいるスクラップ置き場。

ミニチュアでよくあそこまで作りこんだなぁ・・・カメラも良い感じ。そういえば今回の水の表現すさまじいですね。CG?それともゼリー状のものでのストップモーション?

ハラハラの追走劇に最後は牧場でバトル!大ピンチのなか働くのは思い出でした。

オープニングのクレジットのバックで流れた思い出。昔の写真と同じ構図を窓に映されて、牧場主は帰ってきます。普段はいるだけの感じの牧場主が、今回しっかりショーンを助けてくれるのは感動的。

言葉のないバカ騒ぎに見えて、しっかりと要素を大事に処理し、ウィットに富んだ笑をくれる。

仲良くチームプレイをし、退屈な毎日にしっかりと昔からの愛があったことを再確認したショーンたち。新たな仲間にも新しい生活が始まります。こういうとこちゃんと最後に見せてくれるのは後味良くハッピーです。

楽しくかわいいショーンたちの冒険にはこれでもかと考え抜いた構成とギャグが詰まっていました。これはなかなかの傑作です。誰でも楽しめるあったかいアニメですので、是非劇場へ。

それではまた次の記事でェ~~~!

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