「キリング・ビューティー あどけない殺人者」(2018)
作品概要
- 監督:クレイグ・ゴールドスミス
- 脚本:サンドラ・ベイリー、スジュ・アブラハム、デイヴ・ヒッキー
- 製作:スタン・スプリー、エリック・スコット・ウッズ
- 音楽:マクシミリアン・エベール、コーリー・アレン・ジャクソン
- 撮影:ポール・マーシャル
- 編集:ウェンディ・エルフォード=アルジェント
- 出演:ヘイリー・ウェッブ、ヘイリー・プロス 他
アマゾンプライムで配信されているのを見つけたサスペンススリラー映画。というか実際にはTV映画であり劇場公開向けではありません。
親切心から保護した少女にある女性が執着され、ゆがんだ愛情から少女が暴走していく様を描きます。
主演はヘイリー・ウェッブ、ヘイリー・プロスの二人。監督はクレイグ・ゴールドスミス。
クレイグ・ゴールドスミス監督はこれで映画は2作品目の監督、前作もまたTV向け映画でした(The Wrong Nanny(2017))。
プロット上親切で信頼できる人間が、裏の顔と目的を持っているという話を得意としているのかもですね。まだ2作品なので分かりませんけれど。
アメリカのいわゆるソープオペラ(昼ドラ)に出演している有名な俳優がそろっているようですが、あまりに疎すぎて出演者を誰も知らないです。
アマプラ見放題あたりを散策中に偶然見つけただけで、TV映画ということも知らずに見ました。
そのあたりサイト上に記載があるといいんですが、逆に考えれば出会うはずのない作品をみれる機会になってるので良いでしょうか。
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~あらすじ~
スパを経営するアヤは、ある日偶然一人の少女とぶつかってしまう。
その子は彼女の店の前で荷物を抱えたままずっと何かを持っているようで、不憫に思ったアヤは改めて話しかけてみた。
タリンという少女はNYCから単身恋人に会いに来たようで、サプライズで訪れたはいいものの連絡が取れなくて困っていると言う。
身の上話を聞くうちに、どうやらタリンは遊ばれていただけであり、男は本気ではないとアヤは考えた。
行き場のない彼女を放っても置けず、旅行中のルームメイトの部屋をタリンに貸すことに決めたアヤ。
二人はまるで姉妹のように仲良くなり、タリンはアヤの職場にもよく来るようになった。
少しおせっかいが過ぎるタリンに対してアヤの友人や同僚は不信感を示すが、アヤには気にならない。
しかし、タリンの行動はエスカレートし、アヤを独占したい気持ちが強く邪魔な人間には危害を加えるようになる。
感想/レビュー
探しづらい
はじめに映画の内容とは全く関係ないことを言いますが、今作のタイトルが全く分かりません。
放題ではなく原題の方です。
便宜上IMDbの記載をとって”Good Deed”にしていますが、そのほかにも
- Lethal Beauty
- No Good Deed
- Sorority Stalker
がありました。どれが正解でしょうか。
いずれでもいいでしょうけれど、こんなに別名を(英語圏とそれ以外とかではなく)持っている作品はあまり見たことなかったので。
間違いを犯さない
今回はサクッと見たのでサクッと感想を書いておきます。
まずこの作品は毒ではないです。
間違ったことはしておらず、これまでに何度も語られてきたようなプロットをそのままに丁寧に展開しています。
なので正解であり間違いではありません。そしてエンタメとしての成立もその間違いを犯さないことによって成し遂げているため、あまりに退屈であるということもないです。
ただし、だからと言って必見の作品であるとは言えません。
古くはヒッチコックの「見知らぬ乗客」にあるような、勝手に執着されるパターンであったりしますが、勝手に行為を抱かれて殺し含めた行動をとる。
イカれた少女に付きまとわれるお話として、挑戦はしていませんがストレートに話になってます。
脚本上の穴も見受けられません。それはひとえに、そもそも穴が開くような広がりも緊張も挑戦もないからです。
ちょっと見え隠れする可能性
今作はシスターフッドを感じさせます。
アヤは自立した女性であり自身の店を持つ。店員も全員が女性です。
連帯を持って生活し、もちろんパートナー探しとして男性は存在するものの、大した役ではなく彼らに多様こともない。
事件の解決にあたってヒーローみたいな男が出てこなかったするのも、割と時代にはあっているのかと思います。
そのあたりもう少し深堀できたかもしれません。
男性性の被害者として、タリンが狂っていったことは説明されますので。性愛を除いた執着という観点があったはずです。
しかし問題だったのはアヤの方の設定でしょうか。
彼女は仕事詰めでパートナーがいないことが設定されますが、そもそも探す必要がないのか本当に時間がないのかよくわからないですね。
女性が一人でいることに対しての外部からの強迫観念があるなどすればまたおもしろかったでしょう。
加えて、根幹になるアヤがなぜタリンを助けるのかが弱いです。
はじめはそれこそ親切心でもいいですが、のちに疑惑が出てからもまずはかばおうとするのはなぜでしょうか。優しいだけというなら少し退屈です。
それぞれもう一歩広げたら、ベースの取り方や演出はしっかりしているため崩れることなくおもしろい展開を見せたかもしれません。
俳優たちがキュート
総じて好意的に見ました。
TV映画っぽいと感じてからすぐにその体で見ていましたし、イラつくことも支離滅裂なこともなくコンパクトに締めているのは好印象です。
また何にしても画がいいのかもしれません。
主演のアヤを演じたヘイリー・ウェッブがかなり大人な女性でキャプテン・アメリカ並みの純粋高潔な姿勢もいいです。
ヘイリー・プロスは単純にかわいらしい。こんな子が困っていたら誰でも保護するでしょうね。
アヤを見ているときの瞳は輝いてるのに、アヤと仲良くしてる人が出てくると急にチンピラみたいになる。
個人的にはもっと気味悪さや汚らしさがあっても良かった気もしますが、俳優がキュートすぎたのかも。
その他舞台こそは少ないものの、セットや衣装関連もきれいなものが多くて、目から得る部分は多いです。
映画館の大きなスクリーンではなく、緩い気持ちで家で週末に観るようなジャンル、それがTV映画。
であるならばその時間つぶしのような体験をしっかりと与えてくれ、損したとか腹立たしい思いはさせずに見終わったら寝れる感じなので十分かと。
感動もしたくないし緊張もしたくない、ただちょっとの時間を過ごすお供を求めているなら、PCタブレットからこちらをどうぞ。
そんなところで感想はおしまいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ではまた。
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