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「グランド・ブダペスト・ホテル」”Grand Budapest Hotel”(2014)

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映画レビュー
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「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014)

  • 監督:ウェス・アンダーソン
  • 脚本:ウェス・アンダーソン
  • 原案:ウェス・アンダーソン、ヒューゴ・ギネス
  • 製作:ウェス・アンダーソン、スコット・ルーディン、ジェレミー・ドーソン、スティーヴン・レイルズ
  • 音楽:アレクサンドル・デスプラ
  • 撮影:ロバート・D・イェーマン
  • 編集:バーニー・ピリング
  • プロダクションデザイン:アダム・ストックハウセン
  • 衣装:ミレーナ・カノネロ
  • 出演:レイフ・ファインズ、F・マーリー・エイブラハム、マチュー・アルマリック、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー 他

ウェス・アンダーソン監督によるミステリーコメディ。

「ムーンライズ・キングダム」(2012)を見ましたが、独特の雰囲気を映画に持たせる監督ですね。作品を見れば監督がわかるくらいです。

俳優陣はもう紹介しきれないほどに豪華で、小さなところに色々な方が出演しています。

ウィレム・デフォーやらエドワード・ノートン、ビル・マーレイ、ジェフ・ゴールドブラム、ジュード・ロウ・・・

とにかくすごい。作品自体もコメディベースで楽しめます!

仮想の国にある有名ホテルのコンシェルジュ、グスタヴはいつもご婦人方を喜ばせていた。

そのなかのマダム・Dと一夜を過ごすが、なんと翌日殺害されてしまう。

彼女の遺書には名画「リンゴを持つ少年」をグスタヴに譲るとある。

しかしマダムの息子ドミトリーはその絵を手に入れるべく、殺人の罪をグスタヴに着せる。絵を渡さないため、そして真実を突き止めるため、グスタヴはベルボーイのゼロと飛び出していく。

うーん、この映画はとんでもなくビョーキです。

お話が現在、複数の過去を通すので構造も少し層がありますし、その時間軸ごとに画面の明日ペスト比を変えているという遊びっぷり。

それに加えて各時代での衣装やらセットやら細かく凝っているようで、パッと見てわかる色合い含め非常に綺麗です。

何といいますか、少し色調を整えているのではなく、こだわりにこだわって若干行き過ぎのお部屋のような画面ですね。

さらにさらにカメラでも面白さを感じました。

横に長ーく動いたり、かなりの速さで90度回転したり。コロコロ動かしてます。それでもアクション映画なんかより全然うっとおしくないので観ていて楽しめます。

私は途中でのチェイスシーンがお気に入り。

もうあからさまなミニチュアです。どう見てもちゃっちいですし、合成もバレバレで早送り感のある動きも笑 しかしそれがなんともかわいらしく感じるのは業ですね。

あれはその時代にこういうシーンを撮影するとこうなるという意味もあるのでしょうか?実は時代考証のようなもの?

追いかけっこ含め、エグイ描写も多々あります。この世界観にしてビクッとする残酷さ。完全にビョーキです、はい。

話としては遺産争いや謎解きがベースなのですが、戦争前の騒がしさや異常性を描いているとも思えました。

国境あたりの列車でのシーンなど、許可証やら不当な制圧やら、普段は融和されている国々もあっさり変貌してしまうようです。

そして出てくる時代へのノスタルジーとあこがれも感じました。

もうその時に戻ることはできず、ただ思い出したり調べてみたりしかできません。それでも意志を受け継ぎ守ろうとするものがいて、またこんな映画を作って時代を残そうとする人もいる。

ピンクのかわいらしい包み紙の中に、大切な思い出と時代、それがつまったものが入っているんでしょう。その包み紙を取っていき、中を覗いてみるのは良い体験でした。

日本でも興行成績は初週10位に入る健闘。

ウェス・アンダーソン監督最高成績のようです。見ていない方は是非。

そんなところでおしまいです。それでは次の記事で。

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