「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」(2018)

  • 監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
  • 脚本:クリストファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー
  • 原作:スタン・リー、ジャック・カービー
  • 製作:ケヴィン・ファイギ
  • 音楽:アラン・シルベストリ
  • 撮影:トレント・オパロック
  • 編集:ジェフリー・フォード、マシュー・シュミット
  • 出演:ロバート・ダウニー・Jr、クリス・エヴァンス、クリス・ヘムズワース、チャドウィック・ボーズマン、ベネディクト・カンバーバッチ、トム・ホランド、クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、エリザベス・オルセン、ポール・ベタニー、ブラッドリー・クーパー、デイブ・バウティスタ、マーク・ラファロ、スカーレット・ヨハンソン、セバスチャン・スタン、ジョシュ・ブローリン 他

2008年、ジョン・ファブロー監督の「アイアンマン」によって始まった、映画のヒーローが同じ世界を共有し、集結するという試み、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)。

その後2012年にジョス・ウェドン監督が「アベンジャーズ」を成功させ、さらなるヒーローを追加しながら、今年ライアン・クーグラー監督が送り出した「ブラックパンサー」で18作を製作。

数多くのヒーローとヴィランの対決の中で、密かに暗躍していた存在であるサノス、そして各作品で確認されていたインフィニティ・ストーン。ついにそれがメインとなるときが来ました。

これまでのマーベル作品の全てが、この作品のための準備であったのです。

監督は「キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー」(2014)から、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(2016)に続いてMCU3作目の担当となるルッソ兄弟。キャストは・・・もうキリがないw

メインの悪玉サノスを演じるのが、「ボーダーライン」(2015)などのジョシュ・ブローリンです。

ずっと待っていて、全世界が注目し、間違いなくこの歴史に刻まれる今作。残念ながら前夜祭や公開日には行けなかったのですが、公開週の土曜日にIMAX3Dにて鑑賞。やはりかなり混んでいましたし、よく考えると、フェイズ1の頃に比べて、マーベルが好きであろうファンの人がすごく増えていましたね。

アスガルドの崩壊より生き延びていたソーの前に、狂人サノスが襲来する。配下のブラックオーダーはじめ、圧倒的なサノスの力になすすべもなく、ソーやハルクはねじ伏せられてしまう。

サノスの目的は、世界に散らばったインフィニティ・ストーンをすべてそろえること。そうすれば全宇宙を自在にコントロールできるほどの強大なパワーが手に入るのだ。

そのインフィニティ・ストーンのうち、2つは今地球にある。確実に迫るサノスを前に、ソコヴィア協定後散り散りになっているアベンジャーズ。

アイアンマンやドクター・ストレンジが合流し、一つの石の保護にあたる。そしてヴィジョンの持つ石を守るため、キャプテン・アメリカらが集結。宇宙ではサノスへのリベンジをかけたソーがガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと出会う。

彼らの結集はサノス襲来に間に合うか?そして、ヒーローたちがまとめてかかっても、この恐ろしいサノスに勝つことは可能なのだろうか?

まず一言。ルッソ兄弟、そしてMCUというシリーズ、すごすぎる。

歴史的であり事件ですねこの作品。本当に素晴らしいです。

もはやシリーズというのはそれこそ70年代とかから当たり前ですが、昨今の長シリーズそしてクロスオーバーの火付け役としてMCUが今回みせてきたものは真に革新的であり、また新しいフランチャイズの形でもあると思います。

単純にそれぞれの映画キャラを入れ込んだと言うだけではなくなっているのです。

もちろん、もはや映画業界においてもすさまじい人間を巻き込んでいる作品です。出てくるキャスト上げるだけでも、さまざまな俳優が関わっており、それぞれがMCU入りしたタイミング、成長を反映したキャラクター同士の会話やアクションが盛り込まれています。

完全にファン向けと割り切った分、おそらくあまり観てない人が観てもよくわからないということになりますが、振り切った分の楽しさも増しています。

あのキャラがあのキャラと?!という画面内のマジックを観ているだけでも楽しく、そしてその調和を成し遂げている衣装面や色彩面での統一、またそれでいてまさに色彩豊かに個性を守るバランスも、さすがルッソ兄弟と言ったところです。

キャラクター個別の活躍、画面上での時間は確かに減っています。

しかし印象付けと言うところが巧いのですよね。

個人的にはオリジナル「アベンジャーズ」(2012)の、このMCUの根幹をなす、キャプテン・アメリカ、ソー、アイアンマンの扱いは感激でした。

粒子を纏い変身するトニー、シルエットから登場するキャップ、そして伝説の武器をひっさげ戦場に舞い降りるソー。この非常に重要かつ一番の先輩たちには、あのアベンジャーズのテーマが流れる印象深い登場シーンが用意されているんですよね。

その他、なんだかんだでやはり命を優先するストレンジ先生、どっか話の通じないドラックスに、今回ブラック・ウィドウ、オコエそしてスカーレット・ウィッチの女性ヒーロートリオの活躍など何かとキャラのジャグリングとドラマ構成が巧みです。

例えばスター・ロードは、子供じみた性格とガモーラへの想いをギャグとしてみせておき、後のある行動が不可解にならずむしろ彼らしくてとても良いものに仕上がっているのですよね。

みんなの個性が手際よく伝えられつつ、しっかり新たな出会いへのリアクションもみせていますね。

また、相変わらず各シーンでの目的や進行状況が綺麗に整理されているのも良いですね。

武器を創るための工程やワカンダでの戦いにおける戦況操作の思惑など、観ていて、”これがこうなったらヤバいから、このキャラはこう考えてこうしている。”というのがすぐに分かり、これだけ多くの要素を操りながらも、観やすく作られています。

しかし、それだけだとすれば、1作目の「アベンジャーズ」やルッソ兄弟の手腕を証明した「シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ」(2016)と違いはないようにも思えますよね。

今作で大きく変えてきたのは、視点なのかなと私は思うのです。

今回はヴィランであるサノスを集約点として上手く使い、彼の視点とドラマを大きく盛り込むことによって、ヒーロー側ではない部分に手とつもなく大きな柱を打ちたてています。

彼の強大さを意識するようにすることで、いかに分岐しようと、場所が違おうと、それぞれのヒーローのドラマが散漫にならないのです。

サノスはジョシュ・ブローリンのどっしりした演技はかなり重要なポイントでした。

そして実はサノス側の考えも意外に納得のいくもので、狂ってはいるのですが、魔王的な悪よりさらに人間臭さのある悪人になっています。

彼の通る、インフィニティ・ストーン集めの旅を視点とし、彼の心に迫ることでよりその歪んだ考えや恐ろしいパワーが伝わって、MCUの中でも本当に特別な悪役なのだと思わせてくれます。

加えて、サノスとヒーローたちが全く同じ試練に向き合っているのもポイント。

今回は英雄として避けられない”大義と犠牲”についての話でした。

トニーはペッパーとの私生活を犠牲に宇宙へ、ストレンジは石を守るという大義を捨ててトニーの命を救います。また、ワンダとヴィジョンも愛や個人を犠牲に、世界を救う事を選ぶ。そしてキャプテン・アメリカはそうしたすべての犠牲を避けようと戦っているのです。

思えばソーも、劇中で語られるように犠牲を出し過ぎていますし、ロケットは逆に払いたくない犠牲のためにちょっと逃避すらしてしまう。

そしてもちろん、愛する娘を犠牲にしてまでも、全宇宙の救済のために突き進むサノスも。サノスの視点では、彼は家族を犠牲にして、愛を犠牲にしてまでも世界を救うヒーローですからね。

こうして非常に綺麗にまとめ上げているのは立派です。

この作品が革新的だというのは、もちろんそうやって悪役側の視点をじっくりと見せて、全体のバランスをとったことももちろんですが、やはり一つの作品としてのスタンスが非常に面白いと思うからです。

MCU10年の歴史によりかかった、思い切りのいい作品です。しかし、築き上げてきたものの力は十分に使うものの、未来へ頼ってはいませんね。そこがスゴイ。

この後続くから、続編があるから。

そういった甘えのようなものが感じられないのです。

なぜなら、今作が打ち上げた命題、

「サノスがインフィニティ・ストーンを揃え、全宇宙の声明を半分に減らすという野望を、アベンジャーズたちヒーローが阻止できるか」

に関しては、作品の中でしっかり決着をつけているからです。

あとに何も残っておらず、ある意味これでシリーズを終えたって、何も中途半端なことはありません。

もちろん、続編が気になりますよ。この後私の大好きなヒーローたちが帰ってくるのか、どうなるのか気になって仕方がないですよ。そう思わせているだけで、今作は大成功なのです。

ここまで肥大化したクロスオーバー映画をどう見せるのかと言うことに対して、ルッソ兄弟が見せつけてきた、衝撃的な一本。

大きなサーガの一部なのに、単体としてもしっかり完結していて、もう19作品目だというのにいままでで一番続きが気になるという奇跡。とにかくスケールが大きく、盛り上がり続けてあっという間に過ぎていった150分。

衝撃の大事件となっている本作。MCUを追い続けたこの10年が詰まっている部分がとても楽しく、しかし全く新しい展開をもたらし革命を起こします。是非劇場でアベンジャーズの活躍を観てほしいです。

今回はこんな感じで終わります。それでは、また。

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