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「カイマック」”Kaymak”(2022)

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映画レビュー
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「カイマック」(2022)

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作品概要

  • 監督:ミルチョ・マンチェフスキ
  • 脚本:ミルチョ・マンチェフスキ
  • 出演:カムカ・トシノヴスキ、サラ・クリモスカ、アレクサンデル・ミキッチ 他

東京国際映画祭のコンペに出品されたマケドニア映画。

北マケドニアの集合住宅を舞台に、様々な背景を持つ人物たちの群像劇を展開します。

監督は「ビフォア・ザ・レイン」でヴェネチア映画祭金獅子賞を受賞したミルチョ・マンチェフスキ監督。

出演は「本当の目的」などのカムカ・トシノヴスキ、また「Willow」などのサラ・クリモスカ。

マケドニア映画は全然見たことがなかったので興味もあって鑑賞してみました。

上映後には監督と俳優陣のQAもありました。

東京国際映画祭作品ページはこちら

作品公式サイトはこちら

〜あらすじ〜

北マケドニアの集合住宅。

エヴァはキャリアウーマンで、専業主夫の夫を家に残し仕事に専念しているが、夫は二人の子どもを持ちたいと願っていた。

一方でエヴァの階下に住むダンシェとカランバの夫婦は、マンネリな結婚生活に疲れていた。

カランバは警備員の仕事からの帰りにいつもカイマックを買ってくるが、それはその売り子の女性と不倫しているためだった。

妊娠を望まれながらも抵抗するエヴァは実家にいる軽度知的障害のあるいとこにある提案をする。

そして一方、浮気現場を発見されたカランバであったが、妻のダンシェは意外な行動に出るのであった。

感想/レビュー

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監督は上映後のQ&Aでも答えていましたが「大人のラブストーリー」を描きたかったと言います。

そこでもたらされたこの群像劇は、なるほど青春や甘酸っぱい色恋ではない、いってしまえば滑稽でカオスな愛情というか欲望の物語でした。

大人だからこそのハメ外し、滑稽なカオス

社会通念的なもの、義務や脅迫観念を受け止めていく大人たちだからこそ、ある意味で狂った醜さやハメを外したアホらしさが炸裂しているわけです。

コメディとして笑えて、ただ展開の予想はできないライド感もあり。映画体験としてとても楽しいものになっています。

みんな20代とかではなくて、本当にいい大人なのです。

だから、人生の行き詰まりだったり退屈さに悩む。エヴァは周囲からとにかく妊娠して子どもを産むことを期待され続けています。

女性として負わされるその責務のようなものに嫌気がさし、自分のキャリアこそを優先したい。

それ自体は非常に現代的ですこしフェミニズムも感じますが、しかしエヴァのとる選択は代理母を買うというもの。合理的も行き過ぎて頭がおかしい。

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さらに不倫から発展するまさかのポリアモリーというか3P状態。

まさかの展開からおかしくもある意味幸せな関係性が出来上がっていきますが、こちらはエヴァのウィンウィンと思った関係性と同じく崩壊していきますね。

象徴されるのがベッドでのエヴァ、カランバの孤独

エヴァと夫のベッドにはドスタがやってきて、夫に迫っていますし、カランバの寝ているベッドでは妻とヴィオレッタがセックスを始めます。

エヴァもカランバもその行為に背を向けて一人ただ茫然としているショットが印象的です。

それぞれが作り出した関係性ではありますが、それによって今は自分自身の居場所を失っていっているのです。

甘い人生はない

利己的な不倫、体裁を保つだけの虚栄としての代理母(しかもエヴァは妊娠と出産を手柄として周囲に自慢しています)。

人生とはままならず、キャリアと子ども、マンネリ化していても夫婦生活・・・と、ある意味妥協点を探るようなもの。

それでもこのエヴァとカランバの二人はもっと求めてしまった。

良いところどりをした甘い生活を求めていたものの、結局は寓話的な結末を迎えます。

上下に分かれて社会的な貧富の差が反映されている住宅だったり、女性に押し付けられる役目や搾取、セクシュアリティの在り方など、社会性を伴いつつも、基本的には緩く楽しむ方が強い作品。

気張っていない感覚が好きな作品でした。

今回の感想はこのくらいになります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた。

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