「マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クローム エディション」

本公開バージョンのレビューはこちらから。

2015年に公開された「マッドマックス 怒りのデス・ロード」。公開時から圧倒的な高評価を批評家、観客両方から得ており、アカデミー賞では6冠に輝いた作品です。

そもそもはジョージ・ミラー監督が始めた「マッドマックス」(1979)なんですが、長く空いての復活どころか、ぶっ飛ぶ勢いで映画史を更新してしまったと思っています。

今回はそんな作品が、ミラー監督待望のモノクロバージョンになりました。ブルーレイが発売されるのに合わせて、今回限定上映。私もさっそく観てきました。

さて、モノクロになったことでもちろん失われたものはあります。イモータンを象徴する赤と黒、青い空や狼煙。特に大きいかなと思うのは、シタデルで映る緑。あの緑は作中でも数少ない生命であるので、モノクロになると分かりにくくはなってしまっていますね。

しかし今回、結果的にはこの作品の魅力を一番に引き出す形になっているのではないかと思います。

まずは今作が持っていた素晴らしい要素である、圧倒的なディテールです。美術、プロップや画面設計に至るまで、プロットはすごく突き詰めてシンプルなのに、全てがすさまじい情報に彩られています。

今回はそれがさらに純化した形で白と黒の媒体に落とし込まれます。

しかしだからこそ、各情報に対する注意を引き、そのコントラストや光と闇のバランスを意識させることで、より情報量が増えているのです。

またジョージ・ミラー監督が常に持っているように思える、神話的なテーマ性にも力が与えられていきます。

あえて色を排していると、逆に全時代性だったり普遍性を帯びる気がします。もちろん自分の中でどんな色合いか想像しても良いのですが、太古より伝わる英雄の伝説のような風格が強くなった気がしましたね。

特に砂嵐の場面では、元々で感じていた色合いのすごさはない物の、あの巨大さとどうしようもなさが比較にならないほど増した気がします。あれこそ神の領域というべきか。数多くの神話には怪物の住む洞窟や荒れ狂う大海などが登場しますが、今バージョンではあの砂嵐こそ、英雄たちと悪役両方を迎える試練ですね。

ナイトシーンは元々美しかったのですが、今回はそれにあわせて少し青みがかったモノクロに調整されており、また元のバージョンに比べると光と闇のコントラストが強くなったと思います。闇はより深く、しかし、それは光がより輝きを増したことでもあるわけです。

そう。今回はブラック&クローム。単にホワイトではない。クロームですよ。

It’s so shiny and so chrome!

キラキラしてやがるとはよく言ったものですね。今作は輝きにより注目できます。

車のたたき上げられた表面の反射、イモータンのマスクや銃器、フュリオサの腕、ホイールにギターにハンドルに・・・

しかしそれ以上に輝きを増したのは、このデス・ロードを走り自らを探し求めるものたちの眼です。そう、眼。

フュリオサが初めてハンドルを切るシーン、マックスが彼女を見つめる場面、ニュークスと妻。

なんて美しい瞳だ。生きている、その証である眼がとにかく美しいです。モノクロの純化された中で、その色合いとは異なり、輝いているのです。

元々人間賛歌であり生きることの美しさ、生きている限り人は美しく、美しいものを生み出せるというテーマ性も含んでいたのですが、それがここまでダイレクトに伝わってくるなんて。

正直に言いますが、このブラック&クロームバージョンを観ていて、あらためてアクションやそれによる語りに感動しました。なによりこの映画の美しさがより真っ直ぐに伝わってきたのです。

泣きました。嬉しいんだか何だか分かりませんが、あまりに綺麗なものを観て涙が出たような感じですw

ジョージ・ミラー監督、ありがとう。

ブルーレイ早く出てくれー!

というわけで、大好きな作品がその魅力をギュッと抽出したようなもの。もし見ていないなら観てほしい。

映画館で観れるのだから。

今回はこれでおわりにします。それでは、また。

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