「007 スペクター」(2015)

  • 監督:サム・メンデス
  • 脚本:ジョン・ローガン
  • 原案:イアン・フレミング
  • 製作:バーバラ・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン
  • 音楽:トーマス・ニューマン
  • 撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
  • 編集:リー・スミス
  • 主題歌:サム・スミス “Writing’s on the wall”
  • 出演:ダニエル・クレイグ、レア・セドゥ、クリストフ・ヴァルツ、デイヴ・バウティスタ 他

2012年の「スカイフォール」から3年、「慰めの報酬」(2008)以来の、007としては珍しい続編として公開された本作。タイトルには歴代のボンドシリーズにて悪の組織として登場のスペクターが冠されています。

前作から多くのキャストが続投し、これまた豪華な面々となっていまして、個人的にかなりの期待を持って鑑賞。

今やスター・ウォーズ旋風が吹き始めていて、映画館他ジョン・ウィリアムスの音楽が響きっぱなしですが、さすがボンド最新作。先行とは言えなかなか多くの人が入っていましたね。

スカイフォールの一件以来、ジェームズ・ボンドは自身の過去への旅を続けていた。

メキシコの”死者の祭り”の喧騒の中、ボンドは爆発テロを防ぐべく標的を攻撃。逃走する標的とヘリコプター内で戦闘、その男の持つ指輪を奪還する。

そこには謎の紋章が掘られており、それは彼を生涯苦しめ続けてきた巨大な裏組織へとつながるものだった。

今回はガンバレルショットはオープニングでした。スカイフォールでラストだったことと何かしら意味が?

とりあえず、オープニング前のシークエンスは、前作同様すさまじいですね。アクションもですが、特筆はやはりカメラ。「バードマン」(2014)よろしくワンカット風超長回し撮影の圧倒的な引きつけに感服です。どこまで?どうやってるの?と大通りからホテルへ、その窓際から建物屋上まで、観進めていて興奮が止まりません。息をのむ撮影とスマートな編集、素晴らしい。

今回カメラは特にフォーカス?ピント?が気になりました。モニカ・ベルッチを殺そうとする刺客、そして彼らを片付けるボンド、そこから彼女に歩み寄る。あの辺りはずっとモニカにフォーカスが合って、ボンドたちはぼやけています。

しかもほぼ横並びになってボンドがしゃべってもピントが合わない。二人いるところで両方にしっかりフォーカスしなかったと思うんですが、これは同現場にいつつ、生きる世界が異なるからかと思うんです。

そんなかんじで、画面内で前後に対象があり、フォーカスが切り替わるのが多く感じました。

今作はある意味クレイグボンドシリーズの最終話のような立ち位置でして、「スカイフォール」だけでなく、「カジノ・ロワイヤル」など彼の007作品すべてが絡んでくるようになっています。

観ておく方がもちろん良いですが、観ていないからと言って完全に置いていかれるわけではないと思います。

ですのでお約束事もしっかりあります。アストン・マーチン、敵側の人妻(未亡人)、Qのおもちゃに寡黙な殺し屋。

しかも今回は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(2014)でドラックスを演じていたデイヴ・バウティスタが、過去のボンドで言うジョーズのような大柄な敵を演じていますね。列車でのアンストッパブルっぷりが惚れ惚れする、パワー押しなヴィランが素敵でした。

アクション面に関して、そのものの迫力は良かったと思います。ボンドのエイムが神がかっていますがw 冒頭のヘリ宙返りで戦闘や、高級車のカーチェイス、翼のない飛行機での無理やり体当たりなどいろいろな舞台と乗り物であまり飽きません。

ただ笑どころとロジックに関してイマイチな印象を受けました。

一番嫌だったのは隠し部屋発見シーン。ネズミがヒントとなって次の展開へというのがどうも・・・もともとこういうのは苦手で、運よく何か発見するのがあまり好きではないです。アメスパ2とか。

またブロフェルドのヘリへ射撃するシーンも、何発か撃っていますがイマイチしっくりこない撃墜でした。ビシッとした決め手じゃないからかと思います。

笑どころに関しては、カーチェイスのおっちゃん。外しが過ぎる感じがしました。まぁ無理やり押し込むところがボンドらしくてそこは良いですが。冒頭で落下したらソファにジャストで落ちる感じはかなり好きですね。

ボンドガールにはレア・セドゥ。日本でも人気の女優さんで、今作ではただのボンドガールでなく、「カジノ・ロワイヤル」でのヴェスパーのようにボンドにとって任務外の個人として大切なものになるのが彼女。

家族のせいで自分自身を捨て、選ぶこともできないまま生きているところ、やはりボンドと似た境遇の女性。それゆえかボンドにとっては救いたい存在なんでしょう。

スペクターのトップであり、幼きボンドにとって兄であったフランツ。クリストフ・ヴァルツが正体不明の不気味さで演じていますね。オマージュとしてのスカーフェイスもナイス。

ただ、スペクターという組織との対決というよりは、ボンドの個人の闘いであることは確実で、大組織のわりに小規模だったり。

湧き出てくる、遍在するというホワイトの言うような恐ろしさがそこまで感じられなかったかと。監視システムが・・・と言いつつも、それは諜報員の常ですし。

そういうわけで今作もボンドの地獄めぐり。今までの人物が並び、過去の中もがく。

今度こそ大切なものを守りたい。そして自分の手で人生を選ぶ。「カジノ・ロワイヤル」での任務と個人、捨てる愛にリベンジの意味で挑むボンドは良いドラマでした。

ラスト近く、M側でなくマドレーヌの方へ歩いていくのは良いですね。

が、拷問はマッツ・ミケルセンのお玉叩き+ヴェスパーの悲鳴の方が辛そうでしたし、今回のフランツの方がより個人的なはずが、私にはシルヴァの方がとても個人的に思えました。

Mの喪失とスカイフォールの家崩壊など、その身を地獄へとさらされる意味では前作の方が強かったと思います。マドレーヌもヴェスパーとの苦く切ない愛と比べると、少し深みに欠けているような。

とにかく話としてはエモーショナルに強く訴えるはずなのに、どうも並べられる過去の話の方がより強烈に思い起こされました。

“死者は生きている”。フランツの事であり、Mのことであり、今までボンドの経てきた過去の人すべてであると思います。しかし今回は、私にはそれが過去作が強くこの「スペクター」に生きていることになり、相対的に今作を弱めてしまったように思えました。

けっして悪くはなく、美しいのですが、「スカイフォール」にあった心の奥底へ触れる感動はなかったと感じました。あ、それとですね、タコは?ってのと、主題歌が個人的に一切印象にないです。画は覚えていますが、歌は残ってません。残念。

今年としては、「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」がマイ・ベスト・スパイ映画でしょう。皆さんはどうでしょうか。最新の007です、見逃しだけは無いように劇場へどうぞ。

そんなかんじで終わります。それでは、また~

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