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「マグニフィセント・セブン」”Magnificent Seven”(2016)

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映画レビュー
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「マグニフィセント・セブン」(2016)

監督:アントン・フークア

脚本:ニック・ピゾラット、リチャード・ウェンク

原作:黒澤明 「七人の侍」 ジョン・スタージェス 「荒野の七人」

製作:ロジャー・バーンボーム、トッド・ブラック

製作総指揮:ブルース・バーマン、アントン・フークア、ウォルター・ミリッシュ、ベン・ウェイスブレン

音楽:ジェームズ・ホーナー、サイモン・フラングレン

撮影:マウロ・フィオーレ

編集:ジョン・ルフーア

出演:デンゼル・ワシントン、クリス・プラット、イーサン・ホーク、イ・ビョンホン、ヴィンセント・ドノフリオ、マヌエル・ガルシア=ルルフォ、マーティン・センズメアー、ヘイリー・ベネット、ピーター・サースガード 他

黒澤明監督の「七人の侍」(1954)を西部劇リメイクした、ジョン・スタージェス監督による「荒野の七人」(1960)。その作品をさらにリメイクしたのが、今作となります。題名は原題をそのままカタカナにしたものですね。

監督には「イコライザー」(2014)や「サウスポー」(2015)のアントン・フークア。七人のガンマンにはデンゼル・ワシントン、クリス・プラットにイーサン・ホークら。監督とデンゼル、イーサンと言えば、私の好きな2001年の「トレーニング デイ」を思わせます。結構デンゼルと監督の付き合いも長いですね。

公開したてとあって人は多かったですが、年齢層は意外に高めでした。また男のポルノ的部分もありますし、野郎どもがなかなかいたかと。

アメリカ西部の町、ローズ・クリーク。そこでは金鉱ビジネスのためにやってきた、バーソロミュー・ボーグとその用心棒のならず者たちが暴れまわり、住民たちは為すすべもなかった。

教会を焼き、抵抗するものは女だろうが容赦なく撃ち殺す。

夫を殺されたカレンは、この悪党を倒してもらおうとガンマンを雇いに出かける。

そこでちょうど出会ったのが、代理法務執行人のサム・チザム。そこから彼をはじめ、くせ者ばかりの7人が終結する。

結論から言えば、「七人の侍」はもちろん(これは方向性が異なりすぎる)、「荒野の七人」を超えたかと言えば微妙な結果であったと思います。

フークア監督はレオーネとフォードの融合を目指したように思えますが、マカロニ感としても王道西部劇としても少し足らず、それよりもむしろ現代アクション映画のテイストを強く感じるのではないでしょうか。

ただ、そのアクション映画としての面白さ、楽しさとしては十分に成功していると感じました。

特筆すべきは、多様性にあると思います。

今作では予告でもポスターでも分かる通り、黒人もメキシコ系も日系もそしてコマンチ、インディアンの戦士までいるのです。非常に多様な七人の集結は、これこそ今の映画界を反映したものとも思えます。また、「ガール・オン・ザ・トレイン」(2016)、フークア監督の「イコライザー」(2014)にも出演しているヘイリー・ベネットの存在も大きいですね。彼女自身銃をとり、ガンマンらの戦いに身を投じるのですから、戦う女性という要素もあり、多くの西部劇とは一味違ったものを楽しめると思います。

で、今回はなかなか変更点が多いのですけども、踏襲している点もある程度あるのです。

プロットに大きな変更はないですからね。話が古臭いと思われる方もいるかもしれません。

繰り出される男臭い、ある意味で典型的と言っていい掛け合いや構図。

それを楽しめるかがカギとも言えますね。

酒場の扉をすっとあけ、入ってくる男。ピアノの演奏がぴたりと止まり、女は階段を上がっていく。

空気が張りつめ、何人かの男の顔や銃のクローズアップ。男はゆっくりとバーカウンターへ近づき、ある男を探していると言う・・・

これにビンビン来るなら、今作はあなたのためのものでしょう。

しかしマカロニに徹しているのかと言えば、先ほども描きましたが、やはり現代的なアクションの方が近いでしょうね。なにしろ終盤に向けるとすごく派手ですから。

ただ、それぞれの策や展開されるアクションは見やすく撮られているので、今のハリウッドの派手で荒唐無稽なジャンクにはなっていませんよ。

フークア監督は黒澤明の侍7人、ジョン・スタージェスの集結した粋な7人のガンマンに比べるとやはりいろいろと薄味になった7人を用意しているとは思います。

今回はサムに個人的な動機を与えていたり、農夫とガンマンひいては命をはぐくむものと殺すものという2属性の究極的な生き方などは掘り下げていません。個人的には過去2作どちらも好きだった、ご飯のシーンがないのが残念。

ですが、非常にストレートに王道に男くさいブラザーフッド感はやはり観ていて楽しいものです。

仲がいいからこその人種皮肉に、仲間のために銃弾を受ける男、誇りを捨てず戦うもの。

振り切ることをせずに、ちょっと曖昧な立ち位置ではあるものの、現代アクションとして楽しく観れる作品であると思います。

上映後にあいつのあの瞬間がカッコいいとか、あの掛け合いに泣けるとか、そういった会話で盛り上がる観客がいる。それだけで今作はその役目として成功していると感じました。

最後の最後、あの懐かしのエルマー・バーンスタインによるテーマが流れるとか、サービスもありますよね。劇中でもリミックスがかかりますけども。

何か再映画化とかでもなく、過去の「七人の侍」、「荒野の七人」を見ていなくとも全然楽しく観れるものですから、安心を。深く色々考えず、今流な西部劇アクションを見てください。

そんなところで感想はおしまいです。それでは、また~

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