「帰らない日曜日」”Mothering Sunday”(2021)

「帰らない日曜日」(2021)

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作品概要

  • 監督:エヴァ・ユッソン
  • 脚本:アリス・バーチ:原作:グレアム・スウィフト『マザリング・サンデー』
  • 製作:スティーヴン・ウーリー、エリザベス・カールセン
  • 製作総指揮:ダニエル・バトセク、ピーター・ハンプデン、ジュリア・オー、ノーマン・メリー
  • 音楽:モーガン・キビー
  • 撮影:ジェイミー・ラムゼイ
  • 編集:エミリー・オルシーニ
  • 出演:オデッサ・ヤング、ジョシュ・オコナー、オリヴィア・コールマン、チャーリー・オスカー、パッシー・フェラン 他

「バハールの涙」ではゴルシフテ・ファラハニを主演にISと戦う女性兵士を描いたエヴァ・ユッソン監督。

彼女がグレアム・スウィフトの同名小説を映画化した作品。主演はエリザベス・モス主演の”Shirley”などで活躍する若手俳優オデッサ・ヤング。

また「ゴッズ・オウン・カントリー」で印象深いジョシュ・オコナーが主人公と恋に落ちながらも家のため別の女性と結婚することになっているブルジョワの息子を演じています。

主人公が奉公する家の夫婦には名優コリン・ファースとオリヴィア・コールマン。

その他チャーリー・オスカー、「トムとジェリー」で覚えのあるパッシー・フェランなどが出演しています。

正直認知していなかった作品で、映画館で予告を見たときに、ジョシュ・オコナーとかコリン・ファースとかずいぶんと豪華な俳優がそろっているなと思って初めて興味を持た映画です。

公開週末に時間があったので観てきました。いまはやはりトム・クルーズのトップガンに押されているのか、あまりお客さんはおおなかったです。

「帰らない日曜日」公式サイトはこちら

~あらすじ~

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1924年、素晴らしい初夏の陽気に恵まれた日曜日。

祝祭の母の日であるこの日は、奉公しているメイドたちも実家に帰ることが許される日。

ジェーンも裕福な家庭に奉公に来ているが、孤児である彼女に帰る家はなかった。

主人である夫妻は、他の一家の婚姻の集まりに出かける。

そしてジェーンにはその一家の跡取り息子であるポールから彼の家への正体があった。

家で決められた婚約者がいるものの、ポールとジェーンは深く結ばれていた。

別れが近づく中で、最後となる時間を過ごしていく。

感想/レビュー

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刹那をとらえようとする挑戦的な映画

時代劇としての背景を重要な要素に置きながらも、今作は時系列を前後させ記憶を巡ります。

巡っていく記憶が明らかにしていくのは、一人の少女が生を、つまりは作家であるという自己の存在を得ていくプロセスであったとおもいます。

結構思い切った映画だと思います。

芸術家を描くわけでもなく、その芸術家になるという瞬間を切り取って観客に感じさせようとしているわけです。

その中でもちろん、一生を変える日を追体験する形で描き出す。

正直一度に、その場で全体像を掴むのは難しいかもしれません。

挑戦的な作品は最後に集約されていく形でその全貌を見せています。

ユッソン監督はただ勇気あることをここで成し遂げたと思います。

居心地の良い身体的な親密さ、露出

ユッソン監督の感覚的に素晴らしいところは、この作品の身体的な親密さに、恥ずかしさやいやらしさを全く感じさせていない点です。

全裸でいることも、乳房を晒すことも男性器でさえそのままにカメラで捉えさせる。

でもそこに変なエロさはないんですよ。全体が美しくジェーンとポールと同じく観ているこちらもくつろげるくらいです。

撮影の妙。画面の美しさもあるのでしょう。

眺めていて心地よい空間でした。

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孤児はまたすべてを失い、産まれた

主な舞台となっているのは1924年の日曜日。

母の日は宗教的な祝日のようで、誰もが家に帰る日。

これは後にオリヴィア・コールマン演じる奥様が直接ジェーンに言うように、ジェーンの絶対的な孤独を示す日になっています。

帰る家のない人間。わずかな依り代であったポールでさえ、結婚によってその関係は終わるのです。

裸でポールの家を歩き回るシーンがありますが、まさに一糸まとわぬ状態。ジェーンには何も付加されていないのです。

これは彼女に対する”生まれたときからすべてを奪われている”という言葉から、赤子の意味合いもあるでしょうか。

この日、ポールと別れたジェーンは、再び全てを持たない存在になった。

つまりまた産まれたともとれますからね。

喪失が次の生きる力になる

戦争を背景にし、すべて奪われていく人間が映される。

ポールは唯一残った青年であり、ある意味であの3つの一家の全てを託されていたのです。

そんな彼すらも失い、壊れていく奥様、そして自分だけは崩れまいとするニヴン氏。

時を戻る地点として、今作はジェーンが作家になってからドナルドと暮らすところも、そして彼との死別も入れています。

とにかく喪失が目立つのです。何もない、持っていない、失う。

そうした負の事象が、ジェーンという芸術家を生み出した。

書くという行動が人生を処理していくこと、そうでなければ受け止めきれない悲しみもあるということ。

名声とか作品を呼んだ人がどうとかではなく、一人の人間が芸術家になるその瞬間をつかみ取って見せた映画です。

大胆であり勇気ある作品だったと思います。

結構お勧めの一本です。

というところで、今回は短めですが感想は以上です。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。

ではまた。

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