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「シング・ア・ソング ~笑顔を咲かせる歌声~」”Military Wives”(2019)

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「シング・ア・ソング ~笑顔を咲かせる歌声~」(2019)

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作品概要

  • 監督:ピーター・カッタネオ
  • 脚本:レイチェル・タナード、ロザンヌ・フリン
  • 製作:ベン・ピュー ロリー・エイトキン、ピアース・テンペスト
  • 音楽:ローン・バルフェ
  • 撮影:ヒューバート・タクザノウスキー
  • 編集:レスリー・ウォーカー、アン・ソペル
  • 美術:ジョン・ベアード
  • 衣装:ジル・テイラー
  • 出演:クリステン・スコット・トーマス、シャロン・ホーガン、エイミー・ジェームズ・ケリー、ギャビー・フレンチ、ローラ・エルフィンストーン、インディア・リア・アマルテイフィオ 他

「フル・モンティ」などのピーター・カッタネオ監督が、アフガニスタンへの出兵のころ、愛する夫を待ちながら軍基地で暮らす妻たちが結成した実在の合唱団を描くコメディドラマ。

「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」などのクリステン・スコット・トーマスが大佐の妻で合唱団の火付け役ケイトを、また同じグループ内でケイトとは方針違いでぎくしゃくするリサを、「ゲーム・ナイト」などのシャロン・ホーガンが演じています。

その他ドラマなどで活躍するエイミー・ジェームズ・ケリー、ギャビー・フレンチ、ローラ・エルフィンストーンらも出ています。

実際の合唱団はイギリスではかなりの話題になっていたそうですね。

BBCの番組で取り上げられ、その後には女王陛下の前での公演、彼女たちのオリジナル曲がチャート1位を獲得するなどすさまじい活躍っぷりです。

今回は予告を見て気軽に楽しめそうだったため鑑賞してきました。

公開週末ではあったのですが、そこまで混雑していませんでした。朝早い回だったからかもしれません。

「シング・ア・ソング ~笑顔を咲かせる歌声~」公式サイトはこちら

~あらすじ~

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アフガニスタン紛争が勃発し、イギリスでも軍人たちが現地へと送り込まれる。

そんな彼らをさせながら、無事帰還することを祈りながら待っているのが、イギリス軍基地内に暮らしている妻たちだ。

大佐の妻ケイトは残された妻たちには何か集中するためのもの、最悪の事態への不安を一時的にでも頭から忘れ去れ熱中できるものが必要だと考えている。

まずは意見出しからと皆を集めそのなかで合唱団の結成に落ち着くのだが、何かと仕切りたがるケイトと、自由に楽しみたいまとめ役のリサは衝突しがちであった。

良い歌声を持ちながら人前でのパフォーマンスに慣れていなかったり、音程よりも楽しければよかったり、合唱団はなかなかまとまらない。

感想/レビュ-

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公演というシンプルなゴール

今作はイギリスのコメディ、そしてチームものの王道路線をいっています。

さまざまなキャラクターを登場させながらも、散漫にならないようにそれぞれの背景とドラマをちりばめつつまとまっている。

見やすかったと思いますね。

行きつく先としては小さな、ある種の趣味程度で行っていた合唱が、ゴール地点として追悼式典での講演というビッグタイトルに向かっていくわけです。

なのでそこにはこういったチームでがんばるタイプの映画としての、大会とか最終公演とか、試合のような明確にわかりやすい終点が見えるというのも、全体構成としてわかりやすい要因だと思います。

活動の始まりという終わり

しかし、そうした機械的にわかるゴール地点とは別に、今作は始まりを示している物語であります。

この合唱団の結成はそれぞれの軍人の妻たち一人一人の思いを分かち合う場所です。

それぞれ抱えながら恐怖の中で生き過ごすこの基地にいる妻たちだからこそわかる気持ち。

その共鳴を呼び起こし、そしてその先にある全世界にいる同じ”軍人の妻たち”へ主体的に働きかけること。その始まりを描いた映画なのです。

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妻たちの恐怖をしっかりと受け入れつつもユーモアを交える

でも大事なのは、その感情の起伏を共にしつつも、今作が肩の力を抜いて楽しめるコメディになっていることですね。

考えてみれば、いつ軍服を身にまとった人が玄関に現れ、パートナーの国への貢献への感謝と、お悔やみを口にするかわからない。そんな中で毎日生きるって過酷ですから。

それをあまり深刻にありすぎないように表層を軽くしながら、でもしっかりと現実から目を背けたり、妻たちの重圧自体を軽んじたりしない。

悩みについてのギャグはないですからね。あくまでユーモアは夫婦間のこととかに留めています。

話のパートごとに主となる感情が整理され機能する

彼女たちは夫がいつ死ぬともわからない不安を抱えて生きている。序盤で現地との通信が途絶えてしまったときのあの感覚。

ただ嫌なことばかりを想像してしまう。

電話もインターホンも何もかも怖いのですよね。

そうした怖がるべきところではしっかりと怖いと思わせてくれて、そして悲痛な時は悲痛で。

感情の流れに対する構成とか、機能も巧いです。ここがちゃんとしてるから見やすいっていうのもあるでしょう。

序盤から気になるケイトの家の前に停めてある車。ずっと動かずにそこにあり、そしてケイトはそれについて口にしない。

ただ、サラのことがあってから彼女の喪失が示されていく。

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抱え続ける想いを声に出し共有する

合唱とは発声です。

想いのこもっている歌詞を実際に声として出すのです。

そこにはもちろん、照れくさくて直接言えない想いがあって愛があります。寂しさも包み隠さず記されて。

楽曲としてもう少しでも一緒にいたいと別れを寂しく歌う「Only You」があったり、そして何にしても待つ側としての心情が見事にこもっている「Time After Time」が歌われますね。

愛してるも悲しいも口に出す。

そこでケイトはついに、抱え込み続けてきた息子の喪失を歌を通して口に出すのです。

フィナーレとなる追悼式典での歌唱は、ただうまい歌を披露するというものではなくて、彼女たちそれぞれの吐露であり共有、同じく苦悩しそれでも軍人であるパートナーを支え続ける、全世界の”軍人の妻たち”へのエールでもあるのです。

王道なコメディでチームもの、主軸のケイトとサラの絶妙ないがみ合いとか、みんなが抱えている子育てに思春期の娘との向き合い方。

いろいろな人物をジャグリングしながら終点に向けてチームがまとまる高揚感。

すっきりしつつ楽しめる良作だったと思います。

そこまで公開規模は大きくないのですが、機会があればぜひ。

今回の感想は以上。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ではまた。

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