「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち」(2020)

  • 監督:エイプリル・ライト
  • 脚本:ネル・スコベル
  • 原作:モリー・グレゴリー
  • 製作:ステファニー・オースティン、マイケル・グラスコフ、マリオン・ローゼンバーグ
  • 製作総指揮:ミシェル・ロドリゲス、アレックス・ハミルトン、ジェイ・ストロンメン、ラリー・ニーリー、ロバート・ヒックマン、リンウッド・スピンクス、ライアン・バリー、ジェームズ・アンドリュー・フェルツ
  • 音楽:ノラ・クロール=ローゼンバウム
  • 撮影:スベトラーナ・スベトゥコ
  • 編集:ジョナサン・P・ショウ
  • 出演:ミシェル・ロドリゲス、エイミー・ジョンソン、アリマ・ドーシー、シャーリーン・ロイヤー、ジニー・エッパー、ジュール・アン・ジョンソン、ジェイディ・デビッド、デブン・マクネア、ハイディ・マニーメイカー、レネー・マニーメイカー 他

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ハリウッドの映画やTVシリーズのアクションシーン。俳優にはできない危険なアクションでスタント役として活躍する多くの女性たちを追いかけていくドキュメンタリー。

監督は「Layover」のほかショートフィルムを手掛け、様々な作品で製作や脚本に携わるエイプリル・ライト。

本作はモリー・グレゴリーによる書籍を原作としています。

また製作には「ワイルド・スピード」シリーズのミシェル・ロドリゲスが参加し、今作のインタビューにも登場しています。

実は全然公開されることを知らなかったドキュメンタリー作品だったのですが、年末に映画館で予告を見てから楽しみにしていた作品です。

基本的にアクションが好きですしや映画作りの裏側を見れるだけでもうれしいものですが、今回は本当に映画のメイキングでもあまりスポットライトを当てられない女性スタントにフィーチャーとのことで、新鮮なこともありました。

一応は公開週末に観に行きましたが、朝早い回だったこと、なにより緊急事態宣言再発例もあってかあまり人はいませんでした。

まず言ってしまいますが、個人的にはすごくおすすめで、劇場でなくても良いので配信とかで広まってほしいドキュメンタリーです。

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ある職業を追いかけていくドキュメンタリーというのは自分にとって知見を広げていく意味もあってとても大切に思っています。

何も知らないままに過ごしているところに、(もちろんこれですべてが分かるわけではないですが)2時間もない中でその世界を存分に見せてくれるというのは本当にすごいですよね。

で、今作に関してはスタントウーマン、女性スタントたちの物語ということで、これまでにもいろいろな映画のメイキング映像だったりインタビューなどを観てきた分やや親しみがある分野と思っていました。

しかし間違っていました。自分の無知さを思い知る恥ずかしい結果に。そしてこの作品を観ることができてとてもうれしく思いますね。

今作はスタートダッシュがすさまじく思います。開幕から飛ばしまくっていき、終了までエネルギッシュに突き進んでいく。

そこでまずは女性スタントの全体、歴史からスタートを切っていくのですが、その時点で自分は何も知らなかったことを思い知らされました。

1920年代などの映画黎明期からすでに、映画というのは女性のスタントに支えられてきたこと。

その時代は危険なスタントでもバックアップなし、安全策なし、そして割り増し手当などもない。この時点で自分はぶっ飛びました。

なんと力強くすさまじいスタントをこなしていることか、そしてこのように素晴らしい功績がほとんど語られていないことに憤りも覚えます。

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全体像としての女性スタントの位置づけ、古くから支えてきたことが無視されている事、男性社会にのっとりを受けてしまい不自由を押し付けられたこと。

これらを根底にある問題として示してから、今度はその中で活躍し道を切り開いてきた先人と彼女たちにあこがれ追いかけ今を走っているスタントの方たちをみていきます。

構成としては初めに抱える問題点をざっと組んでしまうので、その後は個人のドラマを見ていくようになっていきます。

さてその逆境の中で彼女たちの抱える重圧、そしてたゆまぬ努力や精神を見ていくのはすごく気分が良いです。爽やかな笑顔で、危険なスタントに挑戦していく。

インタビューで話すときの楽しそうなこと。

しかしもちろんこの仕事のリスクも伝えます。やはりケガは覚悟の上ですし、そして死も隣り合わせの仕事です。

スタントの仕事でのケガや製作会社の搾取的な態度、また他のスタントの犠牲。映画の中でも言われますが、スタントのみんなは競争関係にはないんです。

みんなが大きな家族のようで、その意痛みや喪失が共有されているんですね。

だから喜ぶ時も悲しむときも一緒です。インタビューで並ぶ先人と今を駆けるスタントの二人の距離感が素敵でした。

ただ話を仕事の聞いているのではなく、まるで孫がおばあちゃんの話を聞くような親密さがあるんです。

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競うとすれば自分自身。彼女たちはベストを、その上を目指して努力する。時に男性社会的な現場でそれを求められ続ける、ミスをできないという重圧が彼女たちを苦しめます。

でもお互いには姉妹であり互いを鼓舞し高めあう存在です。話しているのをみているだけでそれが伝わってきますね。

プロフェッショナルとしてスタントを、そしてアクションコーディネーターとしても活躍する。

単純にファミリーでアクションがすごい、そしてフェミニズムを押し出すわけではありません。やはりこれはプロフェッショナルのドキュメンタリーです。

その仕事に一切妥協ししない点、自分がスタンとする以外についても現場の最善を考え選択し行動する。その職人たちのカッコよさと言ったら。

素敵な笑顔で本当に楽しそうに、仲睦まじく話す彼女たちに最大の敬意を払った作品でした。

外堀から問題提起を早期に行い、その後苦難の中での仕事を個人レベルに落とし込み感情を共有しながら見せていき、最後にはプロとして圧倒的力量をそのまま見せつける。

本当にエネルギッシュで活発なドキュメンタリー。そして大切な家族を映すような温かさがあります。

MCU、「アトミック・ブロンド」「ワンダーウーマン」など最近は硬派なアクションシーンに女性の活躍するシーンがあるので、その流れでの製作と思っていた点、反省。

彼女たちの見事な仕事ぶりそして差別と偏見との戦いと時代の変革への動きはずっとずっと前から続いていたのです。

是非ともこの知られざる素晴らしい才能と努力の女性たちを知ってほしい。個人的にすごく楽しめるドキュメンタリーでした。

なかなか現在は劇場に行っての鑑賞が難しいかと思われますが、機会があれば鑑賞を。後々配信で広く観てもらえると嬉しいですね。

今回の感想はこのくらいです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

それではまた。

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