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「ワンダーウーマン」”Wonder Woman”(2017)

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映画レビュー
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「ワンダーウーマン」(2017)

  • 監督:パティ・ジェンキンス
  • 脚本:アラン・ハインバーグ
  • 原案:ザック・スナイダー、アラン・ハインバーグ、ジェイソン・フュークス
  • 製作:チャールズ・ローヴェン、デボラ・スナイダー、ザック・スナイダー、リチャード・サックル
  • 製作総指揮:スティーヴン・ジョーンズ、ジェフ・ジョンズ、ジョン・バーグ、ウェスリー・カラー、レベッカ・スティール・ローヴェン
  • 音楽:ルパート・グレグソン=ウィリアムズ
  • 撮影:マシュー・ゼンセン
  • 編集:マーティン・ウォルシュ
  • 出演:ガル・ガドット、クリス・パイン、ロビン・ライト、ダニー・ヒューストン、エレナ・アナヤ 他

「マン・オブ・スティール」(2013)から始まった、DCEUの第4作目。

ユニバース内では既に「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」(2016)で登場し、わずかな出演時間ながら人気を得ているワンダーウーマン。

彼女の単作映画が遂に公開です。

オリジンとなる本作には「モンスター」(2003)のパティ・ジェンキンスが監督として起用され、ワンダーウーマンは再びガル・ガドットが演じています。ジェンキンス監督は長編がこれで2作目なんですね。

今作は批評面でも興行面でも成功を収めていて、北米公開時に大ヒット。

女性監督の作品としては史上最高の興行収入記録を作ったそうです。

もちろんこのご時世、女性主演、ついに女性ヒーローの映画が作られるという面も面白いのですが、個人的にはいままでパッとせず乗れなかったDCEUにて、ついに傑作が生まれたと言われていたのがすごく興味をそそられました。

公開の日には観れなかったのですが、日曜日には観ましたね。通常2Dでの鑑賞。これは色味の面でもIMAXがいいのかも?

朝の回でしたがほぼ満員でした。

人間界から隔離されたセミッシラ島。そこは女性だけが暮らす、平和な楽園のような世界。

島の王女ダイアナは、幼いころから強い戦士になることを夢みており、母ヒッポリタ女王も初めは心配したものの、叔母のアンティオペに頼みダイアナを島一番の戦士にするべく鍛えはじめた。

その後美しく成長したダイアナは、セミッシラの誇る戦士になる。しかしあるとき、訓練中に信じられない力を引きだし、アンティオペに怪我をさせてしまう。

困惑したダイアナはその場を去り、海岸を望む崖に出たとき、見知らぬものが海に落ちたのを目撃、そこから人間を救い出すのだった。

美しい、そしてカッコいい。

ワンダーウーマンとは一度も劇中で呼ばれないものの、まさに不思議でありそしてワンダフルな素晴らしい女性ヒーロー映画です。

まず「バットマンVSスーパーマン」でも言われていましたが、彼女はこのウジウジとしたDC実写世界において、正面からヒーローなんです。真っ直ぐで純粋で。

その点はしっかりと押さえられており、今回はまたガル・ガドットの魅力がすごく大きいと思います。

今作はオリジンという事で、ワンダーウーマンになるまでの、ヒーローになるまでを描く作品となりますが、その過程において、ダイアナは確かに葛藤し、挑戦しなんなら挫折する。

しかしその一方で終始彼女の根底に置いた、人を助けたいという想いがこの作品に一本芯を通していたと感じました。

まあ、そのへんは後で書くとして、今作のガル・ガドットは謎めいた女性と言うよりも、まさに初めての連続に向き合う純粋無垢な存在。

もちろん美しさもありますけども、なんでしょうね、幼い印象すらあるんです。

カルチャーギャップコメディのように笑えるシーンを織り交ぜつつも、そこで子供のようにはしゃぐダイアナは可愛らしいものです。

アイスのくだりとか、やはりロンドンでの一挙一動がかわいいです。見た目大人のお姉さんだからこそ、ギャップにやられてしまいます。

そしてもちろん、今回はダイアナがまさにヒーローとして活躍しますね。もちろん、パワフルな女性として、ナチス兵士をブッ飛ばしたり、戦車をひっくり返したり、銃弾をブレスレットで弾いたり。

驚異的な体術と女性らしい曲線のしなやかな美しさをスローモーションでみせるアクションは必見です。

またあのテーマ曲が熱いんですよ。

ただし、そういったアクションの良さとか、単に力の面で強いっていうだけのヒーロー描写ではないのが、個人的に今作がとても輝いて感じた点です。

端的に言うと、リチャード・ドナー監督の「スーパーマン」(1978)のような印象。

敵をやっつけるとか、戦闘能力が高いとかではなくて、それ以上にヒーローとはどういう存在かという点で、私が大好きなヒーロー像だったという事です。

ダイアナを見る人に、希望と勇気を与える。彼女を見上げる人を鼓舞し、立ち上がる力をくれる。

特徴的なのはやはり無人地帯(No man’s land)のシーン。

今作では”man”という言葉が、男とも人間ともとれる意味合いで巧みに使われていますね。人が立ち入れない地域に、人間を超越した彼女は颯爽と入っていく。

そして何より個人的に心を打たれたのは、彼女が一人で解決するのではなく、「彼女に続け!」とスティーブらに希望が宿ることです。

ワンダーな存在により、諦めていた兵士たちが勇気をもらい立ち上がっていく。人を奮い立たせることができるのは、私にとってすごく素敵なヒーローの要素なのです。

また、今作は女性ヒーローとしての部分もしっかり感じられます。

戦闘とかよりずっと前、ロンドンの議会でのダイアナですね。

彼女は社会的に弱いというか、あの空間では締め出される存在ですが、人を率いる者として最低な男たちに「恥を知りなさい!」と叫ぶ姿は本当にカッコよかった。

無人地帯含め先頭に立って進む彼女にこそ言える言葉。そして彼女の根底にある圧倒的正しさを感じるシーンで、ちょっと涙が出そうになりました。

彼女の心は正しさに満ち、そしてそのスカッとした割り切りで世界を考えていますが、取り巻く現実世界は殺戮と悲哀に満ちていますね。

その解決も単純明快であると思っていたダイアナは、根底から揺さぶられてしまう事態に遭遇するのですが、今までのヒーロー映画にはあまり見られなかった形で良かったと思います。

悪役と言うのはいるにはいますが、実際悪いことなんて何にもしていないのですからね。

ここは正直、人間の本性を扱うものとしても「ダークナイト」(2008)のジョーカーよりも好きかもしれない部分です。人間ってのは一押しすら必要ないくらい簡単に、自ら堕ちるんですよ。

ともすれば、完全なる敗北です。

敵がいてもいなくても、ダイアナの信じたものは崩れていますからね。

人間は美しいものだと信じ、悪を排除すればいいと思っていたのに、スティーブの言うとおりだった。

人間は彼らが善いのと同じように悪いのです。美しいのと同じだけ醜いのです。それは変えがたい事実。

ここまで追い詰められたら、あとは純粋にダイアナの選択にかかってきます。

1作目にして、ダイアナにかなり重い真実と選択を突きつける形になりましたね。

人間は守る価値があるのか。

この世界はワンダーウーマンに値するだけのものか。

絶対的な悪を登場させずとも、それ故に答えが出せない問題になるわけですが、その着地に関してもまた爽快なものでした。

どうしようもない問いに対して、彼女は愛を選択します。

スティーブはじめ、チームのみんなが世界によって何かを奪われた者たち。

それでも世界のために命を捨てるのは、やはり心の底で正義を信じ、人を愛しているからでしょう。

そもそもスティーブのそうした英雄的な心を呼び戻したのはほかでもなく、ダイアナなのです。

彼女の現実に合わなさすぎる無垢な考えや、倫理も道徳もない世界に対しての盲目的なまでの希望の眼差しが、一度は死んだ、世界への希望を呼び戻してくれた。

人を、世界を愛するのであれば、その価値など関係ない。

愛は個人的で勝手で、しかしだからこそ理屈を超えることができるもの。

ふと見えたマル博士の素顔はダイアナに、人間の醜さよりも、彼女も文字通り傷付いた存在であったことを気付かせたのでしょう。

今作はパワフルな女性、時代設定による立ち位置、アクションなど楽しいところが多いです。

そしてとりわけ人の心に何か善を呼び起こしてくれるヒーローと言う、私の大好きなタイプのスーパーヒーロー映画でした。

純粋無垢に善き人間を信じ、愛し続けるワンダーウーマンを見ると、どこか諦めてしまう現実世界にも希望が見えてきたような気がします。

少なくとも、人間は善くあることができる。

夏の締めくくり映画として大変満足な映画。美しくカッコよく、どこまでも深い愛。ユニバース世界や作品内での超人ヒーローにとどまらず、ワンダーウーマンは観る人に希望をくれる存在でした。

ちなみに、ちょっと文句付けるとすれば、あのアレスとの戦闘。DCは相変わらず大破壊や規模の大きい戦闘になると何か退屈になりますね。

こんなところで終わりです。できたらIMAXでやってるうちにIMAX版を観たいです。で、おそらくもうすぐリリースの海外版ソフトは買いますw そのくらい好きです。

みなんさも是非劇場で!それでは~

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