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「インクレディブル・ハルク」”The Incredible Hulk”(2008)

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映画レビュー
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「インクレディブル・ハルク」(2008)

  • 監督:ルイ・レテリエ
  • 脚本:ザック・ペン
  • 原作:ジャック・カービー、スタン・リー 「ハルク」
  • 製作:アヴィ・アラッド、ゲイル・アン・ハード、ケビン・ファイギ
  • 製作総指揮:スタン・リー、デヴィッド・メイゼル、ジム・ヴァン・ウィック
  • 音楽:クレイグ・アームストロング
  • 撮影:ピーター・メンジース・ジュニア
  • 編集:ジョン・ライト、リック・シェイン、ヴィンセント・タバイロン
  • 視覚効果:カート・ウィリアムズ
  • 出演:エドワード・ノートン、リヴ・タイラー、ティム・ロス、ウィリアム・ハート 他

MCU作品第2作目にして、はじめて明確にマーベル世界の広がりとつながりを見せた作品です。

「ハルク」はテレビドラマも、2003年の映画もありましたが、今作公開時はなんか起こると緑の巨人になるやつくらいの認識でした。

ここではそれまでと違い、MCUに本格的に参加する意図もあるため、描かれ方も変わってきています。

えーしかし、実際に「アベンジャーズ」(2012)に登場したのはこのハルクとは役者が変わりましたし、なんとなく曖昧な立ち位置になっているのも事実。

また、インクレディブル・ハルクの2作目もどうなったのか・・・ラファロハルクはかなり高評価で、単独作の期待も高いんですけどね。ハルクは本当に、その力故に扱いの難しい題材なのかもしれません。

兵士強化のための薬品研究を行う中で、ガンマ線研究をしていたブルース・バナー。彼は自らの実験の成功を確信し、自身を被検体として実験を行う。

しかしその実験は失敗に終わり、大量のガンマ線を浴びたブルースは緑の巨人へと変貌し、制御不能な力で暴れまわる結果に。

かくして危険人物になってしまったブルースは、軍に追われる身になってしまう。ブルースはリオデジャネイロに身をひそめながら、自身の中の怪物を取り除こうと、感情のコントロールや治療薬の製作に励むのだった。

まずもってハルクをエドワード・ノートンが演じること。個人的には嫌いではないですが、ノートンは素で怒れる感じがあるので、特にラファロ版を観てしまうとやはり後者が好きですかね。

もう一つの難点は、ノートンは悪くなく、ただCGの問題です。ちょっと肌がテラテラしすぎとかノートンと顔が似てなさ過ぎて完全に別物になってるとか。そういう点が少し気になります。

ハルクになってしまうきっかけというのは、オープニング直後のモンタージュであっさりと流れるだけで、初めから逃亡潜伏生活になりますね。ここは不親切に思うかも知れませんが、この映画が何を描きたいのか、ストーリーテリングとしての取捨選択として良い判断だと思います。

今作で確かに描くべきなのは、ハルクになることでもなければ、ハルクとして活躍することでもないと思います。一番はハルクがどういうキャラクターであるかをはっきりさせることです。

常に自分に怯えるエドワード・ノートンから、そしていざハルクに変身してから、ハルクとはヒーローではないことが分かります。

普通のヒーローは、その力で人を助け、悪を倒す。しかしハルクというのは逆と言っていいほど、関わることを嫌います。その力を使うどころか、捨て去りたい。この映画ブルース・バナーがハルクを殺そうとする話なのです。

強大なハルクのパワーを観ても、被害や犠牲となる人が気になり、ともすればホラー。カタルシスもないし応援するものでもありません。

応援するとすれば、ブルースという人間。彼がその心拍計測時計を捨て去り、愛する人とただ一緒にいることができる、それを願うだけでした。

そのハルク殺しの旅の長さが、若干わかりにくいかもしれません。

初めの実験からどのくらいたったの?これは何日後?それは肉体変化のない日数で示される程度ですし、この作品内の時間経過には少し混乱するかもです。

さて、ヒーローになりたくないヒーロー。しかしそれはハルク化することに2種類の見せ場を設けられることになります。はじめの工場では怒りによる変身プロセス、そしてメインは大学。ここではハルクというものがいかに強大で危険かをみせています。

しかしそこにポロリと入れる、ベティとの関係。その能力ゆえに愛し合うことさえもできない二人ですが、ハルク化しても失わないものを見出す瞬間です。単なるモンスターじゃない、複雑な超人ということが見えますね。

そしてアボミネーション/ブロンスキーとのバトル。こちらはヴィランらしくモンスター映画のように。長回しでアボミネーションが研究所から出て通りを破壊し進む場面、それからモニターや積載カメラ、遠くで何かが暴れているなど、すご臨場感を押し出す作りで好きなところでした。

二人の巨人のぶつかり合いも荒々しく、MCU1作目の「アイアンマン」と比べれば原始的なのも良いところ。そういえば、戦い方がアベンジャーズみんな差別化されてますね。

アボミネーションとハルクの違い。それがハルクがヒーローになれる点かと。

ハルクは今作でベティ以外でいわゆる人助けをすることはないんです。しかし、力を求めて怪物になりたいブロンスキーに対し、人間であろうとするハルクは愛を忘れません。

彼が理性を保つきっかけは、ボトルに入った薬ではなく、ベティの愛だったのです。人を愛せるのであれば、絶対に化け物になることはない。

今作はMCUの作品としてハルクがなんなのかをしっかりと提示している、それに焦点をしぼっていると感じました。危険な力だが、正しいことに使えれば素晴らしいことができる。ハルクに変身しながらも、その中でブルースであり続ける感情を柱に、ハルクを受け入れる。

シールドとか超人計画とか、スタークとか、ソーの雷とか。MCUの最初の世界観共有を示す作品なのでそういった部分もやりつつ、ハルクって何?にしっかり応えている点で良いなと思う作品です。まあね、CGの質感とハルクの似てなさがひっかり続けはしますがw

MCUの中での重要度はさほどになってますけど、ハルク映画としてはなかなかですよ。

というところで感想おしまいです。それでは、また。

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