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「復讐のガンマン」”The Big Gundown” aka “La resa dei conti”(1966)

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映画レビュー
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「復讐のガンマン」(1966)

  • 監督:セルジオ・ソリーマ
  • 脚本:セルジオ・ソリーマ、セルジオ・ドナーティ
  • 原作:フランコ・ソリナス、フェルナンド・モランディ
  • 製作:アルベルト・グリマルディ
  • 音楽:エンニオ・モリコーネ
  • 撮影:カルロ・カルリーニ
  • 編集:ゲイビー・ペナルバ
  • 出演:リー・ヴァン・クリーフ、トーマス・ミリアン、ウォルター・バーンズ 他

マカロニ/スパゲッティ・ウエスタンはセルジオ・レオーネの「荒野の用心棒」(1964)を皮切りに、数々の亜流を生み出しました。その中でもこちらはわたくしのお気に入りの一つ。

リー・ヴァン・クリーフは悪役が多いのですが、ここでは鋭い正義の男。しかしその堅物感もしっかり生かされた、とてもカッコいい作品。

元保安官のコーベットは、いまやならず者を捕える凄腕の男。報酬もなしに無法者を捕え、必要とあらば撃ち殺す。

そんな一匹オオカミのコーベットはある時、町の有力者であるブロクストンから依頼を受ける。少女を誘拐し、レイプして殺した極悪人、メキシコ人のクチーヨを捕えてほしいというのだ。

正義に燃え快諾したコーベットはクチーヨを追う旅へ。

オープニングはモノトーンの中にうつるクリーフらの接写に、モリコーネの曲。なかなか良い出だしです。

しかも最初に縛り首からの3人撃ち殺しがあるのですが、直後に結婚式を持ってくるというキレた流れで、個人的に好きです。

だいたい90分というコンパクトな上映時間の中、サクサクと舞台を移しながら続く追走劇。出し抜きあいがこれまた楽しいですね。なにしろ、ここぞというところではほぼ一言良い台詞を言って展開する。

一応は謎解きっぽい部分は持っているんですが、それよりも撃ちあいに殴り合いに、銃と拳が話を運びます。まぁ見たいのはそっちなわけで、求められているものをしっかりサービスする点でとても良いと思いますよ。

短刀のクチーヨ、早撃ちのコーベット。その二人の掛け合いも面白いですが、ここにまた良いキャラがいるんです。

服装からして西部劇らしくない伯爵です。専用のエリーゼのためにのテーマを持つ彼ですが、こぎれいなのに心はかなり荒んでいる。決闘という名のもとに、人を撃ち殺すのが楽しみな奴ですよ。

マカロニ・ウエスタンにはやはりちょっとした異常者がいるとおもしろいものです。そいつとの一騎打ち、鉛玉をぶち込んでやった時の爽快感が増しますからね。

無駄が少なく、キャラが濃く、おまけに観たいものを見せてくれる。

中盤での投げナイフを空中で撃ち落とすシーンも素晴らしくかっこいいですが、やはりラストにたたみかける3つの決闘はもう教科書物の素晴らしさです。

真実を知ったコーベットとクチーヨのバディ感は、なれなれしさが薄めで、それでもお互いをプロと信じたものがあります。短刀をくれと言うクチーヨに、素直に渡すのは良いですよね。

そして股下のナイフへと延びる手、その先にいる真の敵。この構図。この構図がカタルシス。この構図だけで飯が食えるw

音楽も最高に盛り上げてくれ、ここから決着まで台詞なし。あるのは構える二人の男のたたずまいと顔のアップ。

次は伯爵とコーベット、最後にはブロクストン。一人では濡れ衣を着せられて死ぬところだったクチーヨは、コーベットの与えたナイフに救われ、そして今度は、クチーヨが与えたライフルでコーベットが救われるのです。

メキシコ革命下、自由に生きるため無法者になったクチーヨ。社会的には安定し、権力も地位も持てるはずなのに一匹狼のコーベット。

どういう経緯であっても、二人は絶対に止まらない。誰も彼らを束縛せず、全てが片付いた上で彼らはまたどこかへと去っていくのでした。

深みがあるかとか、脚本的に云々はいいのです。短刀、銃、ムサイ男の顔にモリコーネの音楽。それらがあればしゃべらなくていい。マカロニに求めるものはすべて詰めてある作品で、貫いたもののある作品です。お勧め。

ということで終わりです。西部劇はアメリカ開拓者ものも良いですけど、やはりマカロニもたまらないですね。それでは~

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