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「ザ・テキサス・レンジャーズ」”The Highwaymen”(2019)

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「ザ・テキサス・レンジャーズ」(2019)

  • 監督:ジョン・リー・ハンコック
  • 脚本:ジョン・フスコ
  • 製作:ケイシー・シルヴァー
  • 製作総指揮:マイケル・J・マローン、ジョン・リー・ハンコック、ウディ・ハレルソン、ケビン・コスナー、ロッド・レイク
  • 音楽:トーマス・ニューマン
  • 撮影:ジョン・シュワルツマン
  • 編集:ロバート・フレイゼン
  • 出演:ケビン・コスナー、ウディ・ハレルソン、ジョン・キャロル・リンチ、キャシー・ベイツ、キム・ディケンズ、ウィリアム・サドラー 他

作品概要

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1930年代に活動した実在のアウトローであるボニーとクライド。彼らを追う側の2人の捜査官に焦点を当てた犯罪ドラマ。

監督は「しあわせの隠れ場所」などのジョン・リー・ハンコック。

主演は監督が脚本を書いていた「パーフェクト・ワールド」主演のケビン・コスナー、また「スリー・ビルボード」などのウディ・ハレルソン。この二人が元テキサス・レンジャーズとして、ボニーとクライドを追いかけます。

その他に二人を捜査官に抜擢するテキサスの犯罪取締部のリー・シモンズを「グラン・トリノ」などのジョン・キャロル・リンチが演じ、当時の州知事ミリアム・ファーガソンを「リチャード・ジュエル」などのキャシー・ベイツが演じています。

作品としての起源はかなり前にさかのぼるもので、ロバート・レッドフォード&ポール・ニューマンコンビの起用が考えられていましたが、ポール・ニューマンが亡くなったことで制作は止まり、のちにはリーアム・ニーソンの出演も検討されていました。

最終的に形になったのは10年以上の時を経て、制作もネットフリックスになったことで劇場公開ではなく配信による公開に。

私もネトフリで見つけたので今回初めて鑑賞してみました。

「ザ・テキサス・レンジャーズ」のNETFLIX公式配信ページはこちら

~あらすじ~

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1934年。この2年あまり、犯罪者カップルであるボニーとクライドという若者がギャングを形成し、各地で警官殺しなどの犯罪を繰り返していた。

なかなか彼らを捕まえることのできないテキサス州は行き詰まり、犯罪取締部は解散させられているテキサス・レンジャーズのもとメンバーであるフランク・ヘイマーを雇うことを決定した。

フランクはかつての相棒であり今は酒浸りなメイニーと途中で出会い、彼も同行することになる。

FBIの捜査班も動いており、年を取って時代遅れな二人には引退を促すも、フランクたちは自分たちのやり方でボニーとクライドの足掛かりを突き止めようと奔走する。

通話の記録などから行方を予想し、フランクはギャングは必ず故郷へ戻ってくることを念頭に捜索を続けていくが、その一方でボニーとクライドは次々に警官殺しを重ねていくのだった。

アメリカ国内では貧乏人を襲わないボニーとクライドに対してアイドルのように称える風潮が広がっており、警察や捜査官への風当たりも好ましくない。

フランクとメイニーはその中でも果たすべき正義を信じて捜査を続ける。

感想/レビュー

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変化球のような視点

ジョン・リー・ハンコック監督が持ち起こんだのは、逆転的な構造による視点でした。

おそらく誰もが知っているでしょう1967年アーサー・ペン監督の「俺たちに明日はない」に始まり、ボニーとクライドは実際にアイドルとして崇拝された犯罪者として数々の作品に登場しています。

そこで今度は彼らを追う側という珍しい立場をとる今作が登場しました。

そこから見えてきそうなものというのは自分としては結構期待できる要素でしたね。つまり伝説のアウトローとか、人気の犯罪者という者を法の立場から見たとき、それはまた全く異なるものとして見えるのです。

おもしろい視点をもちながら深堀りしない惜しさ

この視点転換による事実や感情の変化はニール・ブロムカンプ監督の「第9地区」が特徴的ですがしかし、今作は残念ながらあまり踏み込まなかった印象です。

ボニーとクライドは冒頭のシーンから謎めいており、さらにその殺人現場が度々映し出されていくと、非常におぞましく恐ろしい犯罪者に見えます。

こちらが見ていくのはボニーとクライドの動機でもドラマでもなく、殺しと殺された者の遺体だけになる。そうすることでこの二人をアメリカの市民がたたえている人気っぷりには寒気を感じざるを得ません。

なぜ惨たらしい犯罪者をたたえるのか。

途中のガソリンスタンドでのフランクの気持ちが痛いほどわかるくらい、こちらとシンクロしていくわけですね。

というところで実はイーストウッド監督が「許されざる者」で描いたような、理想・偶像・崇拝される暴力の真実や正体を暴露するような映画にもなりえたと思います。

ただ今作は、あまり深く入り込みません。むしろフランクとメイニーの友情やバディものとしての側面を見せたかったのか、あるいは捜査官のドラマにしたかったのか。

暴力に対して暴力を重ねる

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さらに惜しいと感じるのは、この作品が暴力に対して暴力を重ねるところを起点にしているにも関わらず、これまたあまり深堀していかないことです。

つまり、法律において裁くべきこのボニーとクライドに、法が無力になっていた。

警告をしたり手順を踏んだ”フェアさ”が無力な相手が出てきたとき、それに対処すべく同じくルールを破ったりするテキサス・レンジャーズを雇ったわけです。

暴力に対して暴力で対抗することは、その無力さや無意味さ、虚無感のドラマが生まれても良いのですし、そこにフランクとメイニーのドラマを盛り込んでもかなりエモーショナルになるはずです。

しかしそこについても踏み込んで言った印象はありませんでした。

ケビン・コスナー、ウディ・ハレルソンコンビの渋めな感じ、対局なバディ感。全体に落ち着いているテイストだったり、グレーがかったアメリカの荒野、自然風景など雰囲気や風格は確かなものがあると思います。

ただ、おもしろい視点を持ったにも関わらず、立ち位置には困っており何度もアングルを変えている印象があり。

どうにも退屈さを感じてしまったというのが正直な感想です。

いかようにも派生できそうな題材でありながら、どこにも行きつかなかったことが残念です。

特色がこれだというのがないので、個人的には俳優目当てで見たいという以外ではあまりお勧めしない作品でした。

今回の感想は短めですがこのくらいです。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。

それではまた次の記事で。

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