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「悪魔はいつもそこに」”The Devil All the Time”(2020)

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「悪魔はいつもそこに」(2020)

  • 監督:アントニオ・カンポス
  • 脚本:アントニオ・カンポス、パオロ・カンポス
  • 原作:ドナルド・レイ・ポロック『The Devil All the Time』
  • 製作 ジェイク・ギレンホール、マックス・ボーン、リーヴァ・マーカー、ランドール・ポスター
  • 製作総指揮:マーク・A・ハマー、アニー・マーター、ジャレッド・ゴールドマン
  • 音楽:ダニー・ベンジー、ソーンダー・ジュリアンズ
  • 撮影:ロル・クロウリー
  • 編集:ソフィア・スベルカソー
  • 出演:トム・ホランド、ロバート・パティンソン、ライリー・キーオ、ジェイソン・クラーク、ビル・スカルスガルド、エリザ・スカンレン、ミア・ワシコウスカ、ヘイリー・ベネット 他

作品概要

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「放課後」や「クリスティーン」で知られるアントニオ・カンポス監督がドナルド・レイ・ポロックによる小説を原作に製作した映画。

二次大戦後のアメリカで家族を失う少年と彼の青年になってからの苦悩を、周囲に渦巻く犯罪や悪意とともに描いていくクライムスリラードラマになっています。

主演は「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」などのトム・ホランド。

また彼の父親は「IT/イット それが見えたら終わり」のペニーワイズで印象強いビル・スカルスガルド、母親を「SWALLOW/スワロウ」のヘイリー・ベネット。

他にも「ベイビーティース」のエリザ・スカンレンや、「アベンジャーズ」シリーズのバッキーでおなじみのセバスチャン・スタン、ジェイソン・クラークやライリー・キーオなどかなり豪華な俳優陣がそろっています。

NETFLIX製作、配信公開になっている作品です。

「悪魔はいつもそこに」NETFLIX配信ページはこちら

~あらすじ~

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アメリカのオハイオ州。

アーヴィン・ラッセルは父の死を経験した。父は第二次世界大戦から帰ってから、戦地での悪夢に苛まれ苦しみ、さらに母の病気もあって神への祈りに執着した。

神への祈りも通じずに母は病で亡くなり、父は自殺。

アーヴィンはのちに祖母と暮らし幼少期を過ごした。そこには両親が失踪して一人残された子どもであるレノーラもおり、二人は兄弟のように育つ。

アーヴィンはレノーラをいじめる学校の男子たちを必要以上に痛めつけるなど、徹底して彼女を守るも、レノーラは町へ来た新任の神父にそそのかされて妊娠してしまう。

妊娠させたのにも関わらず神父はレノーラを冷たくあしらい、彼女はひどく傷つき自殺してしまうのだった。

感想/レビュー

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作品全体に巣食う人間の暗部

多くの素晴らしい役者と、幸せなどすぐに蝕まれるといわんばかりの重苦しくそしてやるせない全体に広がる人間の暗部。

父から子へ、親子の世代を超えて様々なものが継がれていかれさらに悲劇も復讐も、狂気もただ絶えずそこにある。

アメリカ映画で時たまみられる惨たらしい映画のグループに加わる作品で、観ていくのにある程度の忍耐?が必要かもしれません。

ここで描かれる人間という生き物の汚らしさや残虐さは一見の価値があるとも思いますし、それらは観ている者を惹き付けて離さない力を持っています。

戦争という人類史におけるもっとも凶悪な暴力性の象徴から、すごく個人レベルにおける家庭や家庭をもつことにいたり、さらには聖なるものとして悪から引き離すはずの信仰までもに、悪が巣食っている。

その中で何か真っ当であろうとし続ける主人公アーヴィンの旅からは目が離せない。

この点は主演のトム・ホランドの彼の存在自体がすごくいい味を出していたと思います。

寡黙で暴力性も秘めながら、しかし根の良いどこか少年っぽい無垢さも感じられる。

少年期に何かが欠けたまま大きくなったアーヴィンにピッタリだったと思います。

その他にイカれ具合が素敵なジェイソン・クラークも良いですが、特筆すべきはロバート・パティンソンでした。

ちょっと「狩人の夜」におけるロバート・ミッチャムにも通じるような、聖なる肩書を持つ邪悪な存在。

蛇のように。自分が悪でないと主張し続けるクソ野郎っぷりが見事で強烈な印象を残します。

総じて幅広いキャストそれぞれの演技は素晴らしく、陰惨な大河ドラマのようなこの作品に重厚さを持たせていますし、もう一つみんな華があるという点でもあまりに惨たらしくなりすぎずにすんでいるのかもしれません。

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また個人的にはロル・クロウリーによる撮影も良いと思います。

なんだか妙に落ち着いた感じが見やすいのもありますが、じっとりとこびりついた汚いものとかを感じさせますし、あと距離感も絶妙だったかなと。

個別の悪行の陳列は、壮大なうねりを生み出してはいない

しかし、この作品が「ノーカントリー」などのような重厚さにまで至らないのは、これだけ多くの登場人物に、親子と受け継がれし者などを入れ込んでも、どうにもそれぞれが独立して動いている気がしてしまうからです。

相乗効果を発揮してもいい大河ドラマのような設定でありながら、悪の教科書における蛮行の羅列にすぎないと思えます。

アーヴィンもレノーラも妄信的に信仰を選びながらも、それによって裏切られてしまう。

父と同じように暴力によってすべてを解決しようとしたアーヴィンが、理由もない暴力と対峙する。

父から受け継いだ銃を埋葬し、彼は最後に解放されたように思えますが、ベトナム戦争に行こうかというのは、これまた破滅的な暴力の渦へと進むと示唆されやるせません。

正しくあろうとする青年が、何処までも穢れた世界に飲み込まれていく話とすれば楽しめはしますが、肝心なのはその悪をもっとしっかりと描くことだと思います。

あまりに独立していて、主人公だけ共有しているだけです。だから主人公すら別でもいいのではと思えてしまう。

これだけの幅広いキャスト、連続ドラマのような構成を持っていながらも、全体として1つのピースにまとまりきれずあまり効果的に機能しなかった点が惜しく感じてしまう作品でした。

ということで今回の感想は短めですが以上になります。

オールスターってくらい豪華な俳優ですが、内容的にはかなり暗いので劇場公開向けではなかったのかな。ネトフリに加入されている方で気になる方は観てみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

それではまた。

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