「黄金」(1948)
- 監督:ジョン・ヒューストン
- 脚本:ジョン:ヒューストン
- 原作:B・トレヴン
- 製作:ヘンリー・ブランク
- 製作総指揮:ジャック・L・ワーナー
- 音楽:マックス・スタイナー、レオ・F・フォーブステイン
- 撮影:テッド・マッコード
- 編集:オーウェン・マークス
- 出演:ハンフリー・ボガート、ウォルター・ヒューストン、ティム・ホルト 他
「マルタの鷹」(1941)でのヒューストンとボガートコンビによる、これまた男性的で(女性が全くと言っていいほどでないよ)骨太な映画。ジョン・ヒューストン監督のたびたび描く挫折映画でもあります。
監督賞、脚色賞、さらに父であるウォルター・ヒューストンが助演男優賞を受賞しました。
メキシコ革命も落ち着き始めたころ、アメリカ人のダブズとカーティンは職にあぶれていた。
彼らは金を掘り当て一攫千金を狙い、山をよく知る老人ハワードと探索に出かけることに。途中ゴールデン・ハットなる強盗軍団に襲われながらも、山にたどり着いた一行。
ハワードは知恵と経験を大いに発揮し、ついに金脈を見つけ出す。
湧き上がる金に胸の躍る3人であったが、この金という存在に囚われたダブズは欲に取りつかれ疑心暗鬼になっていく。、
なんとも汗臭く埃っぽく泥っこい映画。野郎どもが山で掘りまくりの画はキマスね笑
ボガートら3人は一緒に動いているようでそれぞれの考えがある。そこに金なんて誘惑たっぷりで危ないものが入ってくるので、それはもう緊張が張りつめます。
むさくるしいのにドキドキするとはなんとも素晴らしい雰囲気です。 ボガートが不安定でとにかく危ないダブズを演じて、何でも疑い金に執着する姿が良いですね。ああいうの一人でもグループにいると大変です。
人物を抑え、グループの要素を入れるのは秀逸に思えました。
メキシコ人、ジャングルに棲む村人たち、強盗たち。違う人々をうまく話しに使い「外」を作ったように思えます。
黄金を掘り当てるサクセスストーリーではなく、いかに金また紙幣的な意味でのカネが人を狂わせるかを描きます。そしてその虚しさも。
ここで出る強盗団や現地の村のものにとってその金がどんなものか。それと3人を比べると見えてくる金の価値。
金は砂、カネは紙。それ自体何にも使えない価値なんてないもの。
しかし人が信じれば、食べ物が買え、車が買え、女遊びだってできる。
現代はもはや形すら持っていないこの金ですが、みんなそれの量を比べ損得を図っています。
もうこの世界に金の介在しない部分などほとんどないのでしょう。
「金を中心に物事を考え始めたらおしまいだ。」ハワードの言葉は真実なのか理想なのか。
ただ私たち人間はこの輝く砂に夢み、完全に囚われているのかもしれません。それこそ人を殺してしまうほどに・・・
今回はそんな怖い夢と欲の砂のお話でした。
それではまた次回!
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