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「エイリアン:ロムルス」”Alien: Romulus”(2024)

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「エイリアン:ロムルス」(2024)

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作品解説

  • 監督:フェデ・アルバレス
  • 製作:リドリー・スコット、マイケル・プラス、ウォルター・ヒル
  • 製作総指揮:フェデ・アルバレス、エリザベス・カンティロン、ブレント・オコナー、トム・モラン
  • キャラクター創造:ダン・オバノン、ロナルド・シャセット
  • 脚本:フェデ・アルバレス、ロド・サヤゲス
  • 撮影:ガロ・オリバレス
  • 美術:ネイマン・マーシャル
  • 編集:ジェイク・ロバーツ
  • 音楽:ベンジャミン・ウォルフィッシュ
  • 出演:ケイリー・スピーニー、デビッド・ジョンソン、イザベラ・メルセド、アーチー・ルノー 他

1979年のリドリー・スコット監督の傑作「エイリアン」の“その後”を舞台に、エイリアンの恐怖に直面した若者たちの運命を描くSFサバイバルスリラー。

監督は「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレスが務め、リドリー・スコットが製作を担当。

「プリシラ」のケイリー・スピーニー、「ライ・レーン」のデビッド・ジョンソン、「もうひとりのゾーイ」のアーチー・ルノー、「マダム・ウェブ」のイザベラ・メルセドらが出演。

エイリアンシリーズも結構間が空いての新作。リドリー・スコットが紡いできたシリーズのコヴェナントの後の話はいつなのかと思っていたら、1作目と2作目の間の話をやると聞いて、少し混乱しました。

スピンオフではないですが、リプリーの物語とは離れての映画化です。海外ではトマトのメーターではなかなかいい値で期待されていました。エイリアンシリーズって、改めて時間が空いてみると、結構皆さんの共通認識ではなくなっているのですね。

子どもの頃TVでよく見ていたし、再上映で1作目を見たりもしていたので、ホラーの古典として見ていましたが、ゼノモーフやチェストバスターとか、今は知らない方も多く、新鮮だとのことでちょっとうらやましい。

公開週末に都内で鑑賞。せっかくなので大スクリーンでドルビーで観てきました。結構人が多くて混んでました。

「エイリアン:ロムルス」の公式サイトはこちら

~あらすじ~

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未来の世界。人類は植民地化を宇宙へ広げ、様々な星を開拓していたが、多くは過酷な環境や未知の病気のある価値の低い星だった。

そんな行き詰った星の中で、開拓を進める企業ウェイランド・ユタニ社のもと働くレインは、何とか自分の将来を開き、良い環境の干しでの仕事に移ろうとしていた。

しかし、ウェイランド・ユタニ社はノルマを引き上げるばかりで多くは搾取され続ける。レインと仲間たち6人は、惑星の周囲で漂流している宇宙ステーションを発見し、それを利用して自分たちで星からの脱出を計画する。

この宇宙ステーション「ロムルス」の中で、移動に必要な燃料を探していたレインたちだが、なぞの寄生生命体に襲われる。さらにそこには破壊されたアンドロイド”ルーク”がおり、このロムルスでは最強の生命体との戦闘があったという。

そして寄生生命体に襲われた仲間の胸を食い破り、おぞましい怪物が産声を上げた。

感想レビュー/考察

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ファンには嬉しく、新規には優しい作品

「エイリアン」シリーズはリドリー・スコットの手でリブートのようなプリクエルのような形で展開され、「プロメテウス」その続編の「エイリアン:コヴェナント」が公開されました。

もともとウーマンリブの運動に重なり誕生した、リプリーという英雄の物語から、プロメテウス以降はもっと神話に寄り掛かったようなテーマになっていたシリーズ。

今作はこれまでの全てのエイリアンシリーズを集合させたような映画になっています。個人的には今作がある程度独立しているので、実はエイリアンの映画を初めて見る方でも楽しめるんじゃないかとも思います。

その一方で往年のファン、これまでのシリーズを観てきた方にとっては、多数のフラッシュバックがあり、ファンサービスの盛りだくさんな作品になっています。

ロムルスとは?

今回の作品タイトルの「ロムルス」ですが、ローマ建国神話に登場する人物で、ローマを築き上げたとされています。彼には弟のレムスがいて、今作ではロムルスと繋がる別のエリアがレムスと呼ばれていました。

ロムルスとレムスは互いにローマ建国を行いましたが、どちらが新都の支配者になるかで諍いを起こし、レムスに挑発されたロムルスは実の弟であるレムスを殺し、「聖域(ローマ)を侵す者は誰であろうと殺す」と宣言し、ローマを支配する絶大な力を得ました。

今回、作中には兄妹が出てきます。また、アンドロイドであるアンディは宇宙ステーション”ロムルス”のデータを自身に上書きしてから、その大きな目的のためメンバーを見捨てます。

大勢の利益のために3人を見捨てた。と、以前には採掘現場での事故でアンドロイドが多数の利益を優先したことも言及されます。

このように作品タイトルの「ロムルス」には、新たなる帝国を築くために、親しい人間ですら犠牲にすると言った意味合いが含まれているのだと考えられます。

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神話を置いている点だけは、「プロメテウス」と「エイリアン:コヴェナント」を彷彿としつつ、全体には先ほど言ったようにエイリアンシリーズのノスタルジーの旅に見えます。

ノストロモ号の惨劇の後、実はあのエイリアンが繭になって生き残っていて、企業側はこの生命体を利用して研究を重ね、人類の進化を促そうということ。

エイリアンのDNAレベルでの変容と適合を人間の力にすることで、どんな環境にも適応して生きていける新人類を作ろうというのです。

自分の理想の命を作るために、生殖的な行動から何かを生み出そうとするって点は、「ドント・ブリーズ」の盲目の老人と似ています。

神話を繰り返している

でも結局は1作目と設定は一緒です。企業がそうした利益のために、一般市民を犠牲にしている。

フェイスハガー、チェストバスターにゼノモーフ、そしてあの「エイリアン4」に出てきたリプリーのクローンを母親として生まれたような化け物も出てきます。

今回のは、人間の胎児に寄生して変異したモンスターで、ホラーゲームに出てきそうなやつでした。

大量のゼノモーフが迫りくるシーン、またアンディが”Get away from her, you bitch!”というセリフを言ったり、「エイリアン2」のフラッシュバックもあります。

ゼノモーフが最初に誕生するシーンでのうつむいた顔が徐々に上を向いていくショットとか、ショットベースで見ても過去シリーズのネタがたくさん入っています。

やはり宇宙空間にエイリアンを排出したりね。このあたりに関してはもちろん嬉しい要素ではあるのですが、同時にやはり残念にも思います。

ノスタルジックなシーンを繰り返すほど、そのシーンがやはり良いものだと思うほど、つまり過去作がいかに優れているのかを思い返すことになります。そして新しいことをしている感覚が薄くなるのです。

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あと、難点としては脚本でしょうか。ところどころさすがに気になってしまう点があります。

タイラーがただゲームと雑誌だけで軍用の銃器の扱いにちゃんと詳しいとか、落下してきたレインを尻尾で串刺しではなくてクルっと優しく受け止めるエイリアンとか。

フェデ・アルバレス監督がかなりのエイリアンオタクらしいので、オマージュやらプロットの傾倒が多いのは仕方ないかもしれません。

気になったのはそのくらいでしょうかね。

音、音楽の緩急とセンス

歴代シリーズから少し出て、オリジナルに頑張っているシーンで面白い点もあります。

まずはやはり、音の演出ですね。

今作はOPから最高でした。完全なる無音で始まるのです。「宇宙ではあなたの叫びは聞こえない」という初代のキャッチコピーを思い出す、あの恐ろしい静寂。

さらに序盤の中で、フェイスハガーの群れの中を進むシーン。フェイスハガーたちが温度変化と音で宿主を探知することを知ったレインたちが、息を殺して音をたてないように艦内を進む。

まんま「ドント・ブリーズ」の宇宙版。

後今作のスコアはベンジャミン・ウォルフィッシュが担当しているんですが、緩急が効いたりしていてここも楽しいところでした。

回収された繭の内側を覗いていき、そこにあのゼノモーフの造形が彫り込まれているシーンで、王道なホラー映画のオーケストラに加えて、ゴシックさも感じるオカルト映画のようなコーラスが入ってて痺れました。

かと思えば、ビートを効かせた近代的な音楽も混ぜ込まれていて、このセンス好きです。

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新しい仕掛け、実在の造形による恐怖

また、今作の中では重力を一時的に0にしてすべてが浮遊するという仕掛けがあります。

エイリアンを前にしても電磁パルスの銃を撃てないのは、やつらの血液が強力な酸性であり、宇宙船に穴が開いてしまうから。

そんななかで一時的に重力をOFFにしてエイリアンを銃撃して撃退。さらに無重力状態を漂う酸性の血液をかわしながら進むというおもしろいシーンがありました。

今作は全体の宇宙船内をしっかりと美術造形として作り上げているからこそ、様々なショットがあり臨場感もあります。ゼノモーフもアニマトロニクスを駆使して本物を使っているから、造形物と言えど目の前に実態のあるものをみた俳優の演技がより光ります。

プラクティカルさを使ってダイナミックさと実在としての恐怖を出すのはとても効果的です。

ある程度いろいろとやり終わったと思った先、最後にもう一度の展開を迎える今作は、オフスプリングという新たなモンスターを登場させます。

これまで以上に人間っぽいのですが、慎重派3mくらいあり乳白色で手足が異様に長く実に気味の悪いハゲ野郎です。

実はこのモンスターも、特殊メイクを施したバスケットボール選手のロバート・ボブロクスキが演じていて、これもまた撮影現場の映像など見てもぞっとします。

ちょっと惜しいのは、このオフスプリングがケイの捕食?をするシーン。ケイは明らかに母乳の代わりに粘液が胸から出ていたので、あの化け物に乳を吸い喰われる様を入れても良いかもと思いました。やりすぎかもです。

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エイリアンシリーズにティーンムービー要素を

宇宙サバイバルの物語でありながら、行き詰った現実から逃げ出そうとする若者たちの物語でもある。民家を宇宙ステーションに置き換えた「ドント・ブリーズ」では、若い俳優たちの活躍も見えます。
これまでは大人たちが主軸になっていたシリーズで初めて、ティーンが主役になっているのも、新しい風です。
主演はケイリー・スピーニー。今年ソフィア・コッポラの「プリシラ」で主演をしていたのですが、全然印書いうが違って最初気が付きませんでした。
「プリシラ」だとストーリー的に少し老けメイクしたりもありますけど。今作では幼げな部分もありながら、戦闘モードになった時の目つきがカッコいい力強い少女になっています。
ドラマの点でいうと実は人間よりもアンドロイドであるアンディの方に注目が行きました。レインの弟として、大人しく弱弱しい彼が、ロムルスのメインモジュールを装着されてからは、行動力があり強い存在になります。
これを進化ともとらえていいのでしょうけれど、その代わりに大事な心を失っていく。それはまさに、偉大なる発明のために、個人をことごとく犠牲にするアンドロイド”ルーク”とも対比的に見えました。
全体には新しい試みもありつつ、やはり過去作を意識し繰り返したようなつくりになっていて、革新的ではないものの十分に楽しいSFホラーといった感じです。
何も知らない状態で観に行ければいいですし、エイリアンシリーズを鑑賞済みなら小ネタも見えるでしょう。
今回の感想はここまで。ではまた。

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