「シカゴ7裁判」(2020)

  • 監督:アーロン・ソーキン
  • 脚本:アーロン・ソーキン
  • 製作: スチュアート・M・ベッサー、マット・ジャクソン、マーク・E・プラット、タイラー・トンプソン
  • 製作総指揮:マーク・バタン、ドルー・デイヴィス、モーリス・ファディダ、バディ・パトリック、アンドリュー・C・ロビンソン、コディ・サンヌー、ニコール・アレクサンドラ・シプリー、ライアン・ドネル・スミス、ジャレッド・アンダーウッド
    スラヴァ・ヴラディミロフ
  • 音楽: ダニエル・ペンバートン
  • 撮影:フェドン・パパマイケル
  • 編集:アラン・ボームガーテン
  • 出演:サシャ・バロン・コーエン、エディ・レッドメイン、マーク・ライランス、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、ジョン・キャロル・リンチ、ジェレミー・ストロング、フランク・ランジェラ、ケルヴィン・ハリソン・Jr、マイケル・キートン 他

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「モリーズ・ゲーム」などのアーロン・ソーキン監督が、1968年の民主党大会の最中にシカゴで起きたデモ隊と警官隊の衝突、そこから暴動を扇動したとされ起訴された活動家たちの裁判を描くドラマ映画。

歴史上重要な人物たちを、サシャ・バロン・コーエン、エディ・レッドメインやジョン・キャロル・リンチらが演じ、弁護士役にはマーク・ライランス、そして検察官にジョセフ・ゴードン・レヴィットが出演しています。

今作はネットフリックス製作、配信の作品ですが、北米でも一部劇場にて限定公開されており、私も日本での一部劇場公開にて鑑賞してきました。

そもそもネットフリックスで観れる方はわざわざ劇場に行かないのか、あと限定公開で回数もないからか、そこまで混んではいませんでした。

自分は実はネットフリックスに未加入なので、初めてネットフリックス映画を観た気がします。

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1968年の民主党大会。立候補者による議題は、進行中のベトナム戦争の進退。

そこで戦争終結を訴える反戦団体が各地から、党大会場近くのグランド・パークに集結していた。

活動家と市民たちによるデモは白熱し、警官隊との衝突が勃発、多くの負傷者が出た中で、この暴動を扇動したとして7人の活動家が逮捕・起訴された。

シカゴ7と呼ばれた彼らは、この裁判でベトナム戦争の終結を訴えたこと、暴動を起こしたのは警官隊の方であることを訴える。

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この作品はその製作背景と、実際に公開(配信)された今2020年現在の背景が非常に興味深いものになっています。

脚本をアーロン・ソーキンが執筆し始めたのはなんと2007年、もともとはスピルバーグ監督の作品になる予定であったものです。

それが今となっては懐かしいあの脚本家協会のストライキの影響で頓挫してしまったわけで、ゆうに10年以上たってから再び始動、監督もアーロン・ソーキンが務めることになりました。

キャストももちろん初めの想定とはかなり変わったようですが、皮肉に思えるのは、おそらくこの延期、遅延が、ここで描かれる題材のタイムリーさを逆に増したこと。

1968年が展開されているのに、なんとも残念なことに今のアメリカを描いたように思えます。

人種差別、システムの機能不全、警官の暴力に政治的な見せしめや法治への介入。なんともこの2020年に痛いほど響いてきます。

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BLMのデモに容赦ない催涙ガス弾を浴びせているのと、劇中で再現される警官隊によるベトナム反戦デモ隊への仕打ちが重なります。

監督も、この作品がアメリカの今を鏡写しにしているのではなく、アメリカの今がこの過去の題材の鏡写しになってしまっているのだと語っていましたが、まさに逆行しているように、1968年を感じてしまいます。

しかし今この題材を映画化しなくてはいけないという、危機迫った感じもしますね。

観ていてどうにも報道される映像との重なりを見てしまいますし、あのめっちゃイカレテるとしか思えないフランク・ランジェラ演じる判事とか腹立ちますし、シールに対する仕打ちの酷さに閉口します。

映画ではあれすぐに審理無効で解放されていますが、実際には数日間あの状態で出廷させられていたらしく、トム・ヘイデンの申し出でやっと審理無効で解放になったとか。現実の方がひどすぎる。

今作はOPで分かるように、ややポップなテイストや、現在軸での質問に過去軸での人物が答えるなど、編集でのテンポの良さなどがあるんです。

ドラマチックさがありながらもエンタメとして非常に楽しいですが、出てくる事実にはかなり憤りを覚えてしまいます。

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それぞれの役者も重要人物を好演し、かなりのテンションで進む中、やや難点に思うのは、このオーディエンス設定が事実周知を想定している事でしょう。

私もこのシカゴの裁判は詳しくなく、実際詳細が分からなくても楽しめますし、OPタイトルまでの流れで裁判までのセッティングをしてしまう見事さは素晴らしい。

しかし人物それぞれの所属、社会的なスタンスなどはどちらかといえば知っているものとして進行していきますので、そこで置いていかれるように思う方もいるかも。

ただ安定しての法廷劇の面白さ、思わず声を上げたくなるしブーイングもしたくなるし、手を挙げたいと感じ、そして起立の拒否もしたい。

最後の最後、やはり人間性が勝つのだという証明のようなラストでは、私も席を立って戦没者へ敬意を払いたいと体がうずきました。

この作品のように、今現在も大きな波を起こすBLMやアメリカでの警官の暴力、政治的な駆け引きでの犠牲など、最後は人としての倫理や人らしさが勝ってほしいと願える、希望も持てる作品でした。

劇場で観れる方は是非。ネットフリックス加入の方は配信をおすすめしたい作品です。

今回の感想は以上になります。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。

それではまた次の記事で。

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