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「放射能X」”Them”(1954)

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映画レビュー
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「放射能X」(1954)

  • 監督:ゴードン・ダグラス
  • 脚本:テッド・シャードマン、ラッセル・ヒューズ
  • 原案:ジョージ・イェーツ
  • 制作:デヴィッド・ウェイスバード
  • 音楽:ブロニスラウ・ケイパー
  • 撮影:シド・ヒコックス
  • 編集:トーマス・ライリー
  • 特撮:ラルフ・エヤーズ
  • 出演:ジェームズ・ホイットモア、エドマンド・グウェン、ジェームズ・アーネス、ジョーン・ウェルドン 他

モンスター、怪獣映画の古典的作品で、なかなか豪華な俳優が顔を出している作品。

巨大なアリというと滑稽に聞こえるかもしれませんが、実物大に作られた怪物と上手い描写や設定は今なお焦ることのない物です。特殊効果はアカデミー賞ノミネートをするものでした。

「キングコング」(1933)は恐慌や移民、外国人の台頭への恐れを象徴していると言われますが、今作含め50年代の怪物映画は、冷戦や核兵器への恐怖が形を成している場合が多いですね。

ニューメキシコでパトロール中の警官ピーターソンが、一人さまよう少女を見つける。彼女の家へ行くと、そこは散々に破壊され、何かと戦ったようにへしゃげた銃が落ちていた。

近辺には似たような被害に遭っている家が他にもあり、共通しているのは何か大きなものの足跡があること、そして砂糖が狙われていること。

生存者である少女を保護し、生物学者でもあるメドフォード博士にも助けを借りる。そして現場で見つかった蟻酸を少女に嗅がせると、「奴らよ!”Them!”」と叫びパニックになったのだ。

良い。ほんとに。

序盤から被害者は出ているものの、あるのは痕跡と少女の魂を抜かれたような姿のみ。しかし着実にその何かヤバいものの存在をグッと観客に示します。非常に丁寧なんです。各ステップが。

しっかりと起源や被害、遭遇から戦いまで考えてあるので、流れに違和感もなくどんどんと明らかになっていくこの巨大な敵の怖さがわかりやすい。

何度も聞こえたあの独特な音、それが満を辞して姿を現すんですが、リアルですね。実物大で作られた化け物アリはおぞましい姿で襲いかかってきます。

そして倒し方も、博士の知恵を使った物なのがナイスなところ。砂だらけの荒野は白く映るんですが、その中に表れるどす黒い奴ら。画的にも最高です。

さて、モンスター映画ですが、敵はアリ。ちゃんと生態は持っているのでそこを攻略していくことになるんです。

巣を見つけ女王を殺す。そうしなければいつまでも死体が出るのです。

その巣の描写がまあお化け屋敷。良くもまあしっかり数を用意したものです。グロイ幼虫やら卵やら、火炎放射器で一掃だ!最後の地下道戦でもそうですが、火炎放射器でしっかりやいて、倒したという実感があるので納得の展開です。

なんか倒したのか良くわからない、まあ技術的なぶぶんでごまかしたようなものもありますからね。そういうとこしっかりしてるのが今作のいいところ。

そんな感じで巨大アリ退治。

博士の知恵に勇気あるピーターソンの活躍です。ピーターソンは英雄過ぎたんでしょう、子供二人を救って自分は息絶えました。ある意味パニック映画のお決まりの流れに乗ってますよね。

そしてアリどもをハチの巣にして、こんがり焼きあげて、人類に迫った危機は回避された・・・のでしょうか?

博士は言います。「水爆の放射能が生んだ新種、脅威だ。いつの実験の影響かはわからない。それで、実験は何度あったんだ?」

そう、繰り返される核の爆発、それがある限りはまた再びこのような怪物が襲ってくるかもしれない。人類が生み出した恐ろしい兵器は、また別の恐怖を生み出してくる。大きなしっぺ返しを食らうことになるんです。

冷戦下、外国の恐怖に対して作った新たな恐怖は、また別の人類すべてに対する恐怖を生むかもしれない。

そういった時代に生きていることを思い知らすのが、不気味な音を立てて忍び寄る巨大アリの目的に思えました。

クラシックモンスター映画で、構成やアリの作りも楽しめます。核と放射能に直面していた時代の恐怖を垣間見ることもできます、おすすめな映画です。

ここらでおしまいです。それでは、また。

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