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「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」”A Quiet Place Part2″(2020)

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a-quiet-place-2-2020-movie 映画レビュー
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「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」(2020)

  • 監督:ジョン・クラシンスキー
  • 脚本:ジョン・クラシンスキー
  • 製作:マイケル・ベイ、アンドリュー・フォーム、ブラッドリー・フラー
  • 製作総指揮:ジョン・クラシンスキー、アリソン・シージャー
  • 音楽:マルコ・ベルトラミ
  • 撮影:ポリー・モーガン
  • 編集:マイケル・P・ショーヴァー
  • 出演:エミリー・ブラント、ミリセント・シモンズ、ノア・ジュプ、キリアン・マーフィ、ジャイモン・フンスー、ジョン・クラシンスキー 他

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音をたてると怪物に殺されるという極限状態の世界で生きる家族を描きスマッシュヒットした「クワイエット・プレイス」

今作は再びジョン・クラシンスキーが監督を務め製作された続編。

前作から引き続いて、エミリー・ブラント、ミリセント・シモンズ、ノア・ジュプが荒廃した世界で生き延びようとする家族を演じ、また「ダンケルク」などのキリアン・マーフィが生き残った人間の一人として新たに参加しています。

前作はそのアイディアと見せ方などから非常に高い評価を得たホラーとなり、もともとは単発の作品の予定が、その大成功を受けて続編製作決定となりました。

非常に楽しみにしていたんですが、昨年の公開予定は新型コロナウイルスの影響で延期され、その後も度々延期がされてしまいました。

それでも北米で2021年5月、日本でも6月についに劇場公開。

ちなみに北米ではコロナワクチン接種の官僚率が上がってくる中、劇場や経済活動再開の中での公開ということもあり、映画産業復活の兆しともいえる素晴らしい好スタートを見せています。

せっかくなので、環境特に音の良いIMAXで観てきました。

ミッドタウンでしたが、思ったほど人は入っていない印象。

今は都内は1席空け、またこの作品は人が少ない方が良かったので(人が多いとマナーの悪い方にあたる確率もあがるので)満足です。

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父の犠牲と娘の機転から窮地を免れたアボット一家。

しかし、音に敏感な殺戮生物の襲撃で家は崩壊し、一家は外の世界に生き残った人たちへ助けを求めるほかなかった。

思い出を後に家を離れた一家は、怪物に襲撃されたところを謎の男に助けられる。

それはかつて父リーの友人であったエメットであった。

自身の家族を守れず変わり果てた姿になったエメットは、この世界にはもう何もない。外の生き残りは救う価値もない奴らだと言い、長居せず出ていくように言うのだった。

しかし、外界との通信手段のラジオから音楽が聴こえてきたことで状況が変わる。

放送は近くの島から流れていることを突き止めた娘のリーガンは、弟マーカスの制止を聞かずに単身島を目指して出発してしまう。

リーガンを連れ戻すよう頼まれたエメット、そして隠れ家に残った母と息子に、それぞれ危機が迫っていた。

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前作はその設定アイディアを見事にドラマに昇華した素晴らしい作品でした。

今作もジョン・クラシンスキー監督はドラマという点に焦点を当てて、続編だからとエンタメによらせたり、世界を大きく展開しようとはしませんでした。

前作がヒットしてから続編製作なんてのは映画ではよくあることですが、ホラーというジャンルでは往々にしてその根幹がブレていってしまうことがありますよね。

そこを堪えて?、着実に前作のDNAを継ぎ、同等に良質な続編を作っているのは見事でした。

ちょっと不安だったのが正直なところだったんです。

生き残った別の人間が出てくるという設定から、なんかウォーキング・デッドのような感じにならないか不安でした。

狂気に包まれた人間は確かに出てきますが、安直な「人心乱れた人間が一番怖いよね」なところにいかなくて本当に良かったです。

今作は前作の終わり直後から始まりますが、濃厚で密接な繋がりを持って新しいチャプターとなっているため、さすがに前作を観ずに観賞するのは無謀です。

前作で得たものと失ったものを使い、説明は前作で終わっている点はもう繰り返さない。

だから続編として停滞しないし展開されるのは新しいストーリーです。

この停滞しないのって続編としてすっごく大事ですよ。停滞して前作の穴埋め補完ばっかりだと、それは続編ではなくてエピローグですから。

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この新章開幕に置いてもクラシンスキー監督は素晴らしいセンスを持っています。

前作は父と母、親としての責務をジョン・クラシンスキーとエミリー・ブラント通じて濃厚に描きました。

極限状態にあって、子どもを守るために何ができるのか。そこには映画史に残る父の愛と責務を果たす姿がありました。

しかしもう親にはフォーカスしません。

今作でクラシンスキー監督は(前作から興味深くあった)子どもたちに焦点を当てました。

彼らこそ描く上で観客の興味ある対象であり、ダイナミズムを持っていると判断したのは正解だと感じます。

間違いなく前作から断絶せずに続いている作品として、前チャプターと呼応しながらも、同時に逆転を見せる。

これまでは守られ家に置かれていた子どもたちが、守る側へと変身し、外へ冒険していく。

その転換は突なものではなくて、やはり前作からの父リーの存在が余波を見せていますね。

彼の行動と犠牲がその子どもたちに生きる気力と希望を与えるのです。

そして希望は、1度すべてを失った人物であるエメットにも再び魂を吹き込むことになりました。

個人的には救うことで救われるとか、世界に絶望した者が無謀とも言えながらも諦めず希望を持つものによって再生されていくというプロットは好物なので、大満足です。

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ホラーとしての手法も堅いですね。

フラッシュバックとしての”初日”シーンではワンカットで見せていく襲撃や逃げ惑う人々が描かれ、通りを友に走り、一緒に車のなかにいる臨場感が混沌と恐怖を強めています。

その他に、基本ルールを壊していないのも良いところ。音を立てれば必ずやつらがやって来ますね。

忖度エイリアンみたいな生ぬるさなく、原理がしっかりあるからそのスリリングさも恐怖も固定されているのです。

恐怖演出には「ジョーズ」とかの影響も見えてくるほどに思い切っていますが、見せ方が多様なのは良いですね。ジャンプスケアには今回もやられてしまいました。

音の使い方もまたリーガン中心にその補聴器の有無など巧みに使っています。

完全無音から奥にみえている怪物のカットなど、聞こえないから怖いところ含めて視覚と聴覚の組み合わせからの演出が素晴らしいです。

見えるものと聞こえるもの、予感と気配を大切にしたクラシックなホラー。

新しく描くべき物語にフォーカスしながら、前作とそして今作の中でも呼応を見せている、続編として本当に見事な映画でした。

今回の感想はこのくらいになります。

大きなスクリーンでの観賞がオススメの作品なので、公開規模が大きいうちに是非劇場で鑑賞を。

正式ではないですが、アイディアがあれば続編もあるのでしょうか。あるとすれば楽しみに待ちます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

それではまた次の記事で。

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