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「トイ・ストーリー4」”Toy Story 4″(2019)

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Toy-Story-4 映画レビュー
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「トイ・ストーリー4」(2019)

  • 監督:ジョシュ・クーリー
  • 脚本:ステファニー・フォルサム、アンドリュー・スタントン
  • 製作:ジョナス・リヴェラ、マーク・ニールセン
  • 音楽:ランディ・ニューマン
  • 画面構成:パトリック・リン、ジーン=クロード・コラーチ
  • 編集:アクセル・ゲディーズ
  • 出演:トム・ハンクス、ティム・アレン、アニー・ポッツ、トニー・ヘイル、クリスティーナ・ヘンドリクス、キアヌ・リーブス 他

Toy-Story-4

ピクサーの大人気トイ・ストーリーシリーズの4作目。「トイ・ストーリー3」(2010)からは実に9年の年月を空けての続編ということになります。

監督はこれまでピクサーにてアートボードを担当し、「インサイド・ヘッド」の脚本を務めたジョシュ・クーリー。彼は今作が長編初監督作品と大役を任されています。

主役のウッディを演じるのはおなじみトム・ハンクス。

そのほかいつものメンバーに加えて、今回は新入りフォーキーをトニー・ヘイルが演じ、その他にもクリスティーナ・ヘンドリクス、キアヌ・リーブスらがおもちゃの声優を担当。

今回あのジョーダン・ピール監督が演じるおもちゃもいます。

公開初日ではなくその翌日土曜日に鑑賞。通常字幕で観たのが理由か子供はいなくて、というよりもむしろ年齢層は高め。

笑いもありながら最後は号泣している方もけっこういましたね。

アンディからボニーへと譲られたウッディたち。

その後ボニーは楽しく遊ぶものの、ウッディは最近遊びに選んでもらえなくなっていた。

ある日幼稚園の体験会にボニーが出かけるとき、心配になったウッディがこっそりついていくことに。

そしてウッディの助けでボニーは自分で、フォーキーというおもちゃを作り上げる。

フォーキーは自分がただのゴミだと思っており、何度も脱走を試みるが、ウッディはフォーキーで遊ぶ時のボニーの幸せそうな顔を想い、フォーキーが逃げないように監視することに。

しかしロードトリップに出かけたとき、隙をついてフォーキーが逃げ出してしまった。

ウッディは単身トラックから飛び降りると、フォーキーを連れ戻すために走り出した。

観る前まで、予告を観てもなお、あの完璧と言える「トイ・ストーリー3」の後、いったい何を描きたいのだろうと疑問でした。

正直蛇足ではないか?スタジオ側の稼ぎ目当てか?なんてことも考えました。

プレスでは「語るべき物語があれば製作する」と言われており、いったいどんな話が、あのラストの後にあるのかと考えたものです。

結果として、必然の話になっていました。トイ・ストーリーで語られるべき物語が確かにあり、今作は非常に切なくもしかし、受け止めなければいけないチャプターになっています。

これまでシリーズを愛した人ほど、辛い思いをするかもしれませんが、総じて言えるのは、これはファンが見たいトイ・ストーリーの物語ではなく、本当に、”語られるべき”物語です。

実は「トイ・ストーリー」シリーズはそこまで好きではありませんでした。

素晴らしいアニメ映画だとは思っているんですが、すこしモヤモヤする点が自分の中に残っていたからです。

それは、ウッディたち所謂良いやつと、悪役として出てくるおもちゃの対比、またはウッディたちの考え方。

”子どもに遊ばれることこそが、おもちゃにとって一番の幸せであり生き方である”

そうでなければ、それは迷子のおもちゃであり、新しい持ち主を探さなきゃならない。

私個人の意見として、このおもちゃの物語の中でのおもちゃの生き方、正しい人生観みたいなものがどうにも引っかかっていたのです。

今回もギャビー・ギャビーやダッキーバニーなどのキャラが登場し、また迷子が持ち主を見つけてみたいなお話かと思ったのですが、意外な方向へ行きました。

Toy-Story-Little-Bo-Peep

今作では持ち主への帰還、そして持ち主を得ようとするおもちゃの構造に一石を投じ、ボー・ピープを自立したおもちゃとして描きました。どこにも属さないおもちゃです。

ウッディは自分の心の中では、すでにボニーを支える役割を終えていると知っています。

フォーキーを連れ帰ることが完了すれば、もう本当に不要となるのです。

事実を知りながら眼をそむけているウッディをみるのは結構つらいことでしたね。

ただボーの生き方をみていき、自分の中での答えにたどり着く。

特定の誰かに愛されなければ終わり。ギャビー・ギャビーはまさにアンディそしてボニーに執着しているウッディと同じ。

そしてカブーンはまるでアンディに捨てられたバージョンのウッディ。

自分を愛してくれない持ち主のことが忘れられません。

これまでの考えではみんなが迷子です。

しかし、”おもちゃにできることの中で最も素晴らしいこと”を示しながらも、多様なあり方をここに来て提示して見せるのです。

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ボニーは大丈夫、ウッディがフォーキーをくれたから。それにバズやみんながいるから。

ウッディ、ありがとう。私ももう大丈夫。だから安心して、自分の生を生きてほしい。

アンディ、ボニー。たくさんの友達との想い出を胸に、役目を終えたウッディにお別れは辛いです。

初期メンツでのハグ、おもえば最初は嫉妬して大嫌いだったバズとの最後。泣かせます。

ただ、ウッディはあくまで人間の子どもへの役割が終わっただけです。

子どもを癒し笑顔にすること”だけ”がおもちゃの生き方ではありません。

トイ・ストーリーはおもちゃ物語、それは今までなんだかんだで人間側の視点で繰り広げられてきました。

人間のもとへ帰ることを前提に、冒険や危機、死を描いてきた。

でもこれから先は違います。おもちゃ自身によるおもちゃ物語はこの広大な世界全てが舞台。

無限のかなたへ――。

子供部屋を飛び出したトイ・ストーリーにはなんて広いユニバースが待っているのでしょう。

おもちゃが人間の知らないところで生きていたら。そのコンセプトに対しての真っ当な答えだと思います。

生きているならば、そのあり方を、生き方を選ぶことができるのですから。

ホント地味に、最後の最後であのハイタッチしてもらえてなかったおもちゃがカブーンとハイタッチしたり、だれも見捨てない姿勢がとてもいい作品でした。

ファンはどう思っているかわからないですが、もしかしするとシリーズで1番好きかもしれません。

長年のちいさな違和感を解消し、苦くも解放した人生を見せてくれて。

今回の感想はここまでです。

とにもかくにも、このおもちゃの物語は自分の目で劇場で観なくてはいけないと思います。

是非スクリーンでどうぞ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。また次の記事で。

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