「ワンダー 君は太陽」(2017)

  • 監督:スティーブン・チョボスキー
  • 脚本:ジャック・ソーン、スティーヴン・コンラッド、スティーブン・チョボスキー
  • 原作:R・J・パラシオ 「ワンダー Wonder」
  • 製作:トッド・リーバーマン、デヴィッド・ホバーマン
  • 製作総指揮:R・J・パラシオ、ジェフ・スコール、ロバート・ケッセル、アレクサンダー・ヤング
  • 音楽:マーセロ・ザーヴォス
  • 撮影:ドン・バージェス
  • 編集:マーク・リヴォルシー
  • 出演:ジェイコブ・トレンブレイ、ジュリア・ロバーツ、オーウェン・ウィルソン、イザベラ・ヴィドヴィッチ、マンディ・パキンソン 他

「ウォールフラワー」(2012)で知られるスティーブン・チョボスキー監督の最新作。

主演には「ルーム」(22015)で見事な演技を見せた子役ジェイコブ・トレンブレイ。また彼の両親にはジュリア・ロバーツ、オーウェン・ウィルソンが出演しています。

前評判としては高かったのは知っていましたし、ジェイコブ君の新作と言うのが一番魅力だったので観てきました。公開の次の週に行ったのですが、結構人が入っていて、終わった後にみんな幸せそうな、ほっこりした空気に包まれていました。

10歳のオギーは、生まれながらの障害により、これまでに何度も手術を重ねてきた。そのせいもあって、彼はずっと自宅で両親から教育を受けていたのだが、手術も落ち着いたことや年齢と社会性を考え、良心はオギーを学校へ通わせることを決心する。

初めて外の世界を一人で歩く少年オギー。

好奇心やいじめ、そのなかで生まれる友情。不安なことのなかで、一生懸命なオギーと、それを囲む周囲の人が描かれていく。

本作ですが、予想されそうな題材を持ちつつも実は思っていたのと違った、だからこそ良かったというタイプの映画でした。

一見すれば確かに、障害を抱えた少年の心温まる物語ですが、オギーを囲む、同じくまだ子供の存在の人生を次々と語るという脚本になっており、それによって複数の共感対象が現れています。観客はどこかしら、誰かしらに自分を感じることができるでしょう。

また、オギーを中心にしたまさに太陽系を展開することで、彼らそれぞれの人生や苦悩がしっかりと相互作用している点も素敵でした。

明るい光があれば、そこには必ず影があるものです。

だからこそ、どうでもいいとか、安易な悪役設定もなく、全員に愛着が持てるのだと思います。散漫になったり、太陽系の外へと逸脱することは決してありませんしね。

で、もちろんみんなに光を与えてくれるその太陽の役がとても重要になりますが、「ルーム」(2015)の天才子役ジェイコブ・トレンブレイ君ですから問題はなかったというわけです。

今回も大人でも抱え込めない、そして社会的にも複雑な問題を持つ子供を演じたわけですが、見事に”子供として”っていう範囲に抑えた悩み方やフラストレーションで良かったと思います。

ふと出てしまった、大人たちはみんな自分のことを考え味方してくれるという意識、またいつも中心として扱われるものだという、ちょっとしたエゴが描かれたのが好きです。

子供に頃の自意識。そのうち成長して、自分が世界の中心でないことや、世界というもののあり方を知っていく。

嘘がないですね。オギーが聖人みたいに描かれず、友達とふざけるし、ムキになるし、カンニング手伝ったりと、しっかり子供で。それによって今作の主題を無理に”障害とそれを囲む社会”みたいな説教臭いものにさせていません。

そういった教科書のようなスタイルを避け、今作はより普遍的な人生の要素を色々なキャラクターを通して語ります。

切り替えも上手いなと思うのですが、あくまで1つの視点で語られるチャプターは、他の視点を抑えるんです。

なのではじめにお姉さんの視点に切り替わったときは見事だと感じました。オギーのチャプターではよくある添え物的な映され方に徹底し、初登校の門の前で何かオギーにささやくシーンも、両親へカメラを向けています。

重要ではないと思わせて、視点を切り替えればそれはもう主人公として十分なドラマがあるのです。

太陽の周りを回る。兄弟、いや家族全体でもオリヴィアみたいに生きてきた人って多いと思います。あまり見向きもされず、それゆえに自立し余計に離れていく。

各人物のドラマが浮き彫りにしていく、生きていくなかでの悩み。

目に見える障害がなくたって、クラスで馴染むことと友情で悩んだり、親のことで苦しんでいたり、誰だって生きるのは大変です。

今作はその意味では、オギーを囲む人たちの映画、つまり観客の大多数であろう、善き一般市民の物語なのです。

お姉さんと彼女が出会う青年、大親友。オギーを囲む子供たち。

彼らの大きなドラマと上手くいかない人生の波を囲いこむように、両親はじめ校長先生など大人にはブレを与えなかったのが構成上見事であったと感じます。

ジュリア・ロバーツもオーウェン・ウィルソンも素敵な演技で、子供たちをいつでも受け止める役割を果たしています。

大人の問題を入れ込むと影が深くなってしまうでしょうし、オギーたちのドラマも底が抜けたように不必要な不安と緊張感を持ってしまうので、大人を頼れる柱として残したのは巧いと思いました。

説教臭くもなく、安易でもなく。

スッキリ観ていけて、善意と暖かな思いやりにいい気分にさせてくれる作品。演技と構成バランスがよく、素直に楽しめる作りがとても良かった作品でした。

感想はこのくらいでおしまいです。

「ウォール・フラワー」といい、成長とか青春とか、チョボスキー監督は上手く撮りますね。

それでは~

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