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「ストレイ・ドッグ」”Destroyer”(2018)

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Nicole Kidman in Karyn Kusama's DESTROYER 映画レビュー
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「ストレイ・ドッグ」(2018)

  • 監督:カリン・クサマ
  • 脚本:フィル・ヘイ、マット・マンフレディ
  • 製作:フィル・ヘイ、マット・マンフレディ、フレッド・バーガー
  • 製作総指揮:ニック・バウワー、ダン・フリードキン、マイカ・グリーン、ネイサン・ケリー、トーステン・シューマッハー、ダニエル・スタインマン
  • 音楽:セオドア・シャピロ
  • 撮影:ジュリー・カークウッド
  • 編集:プラミー・タッカー
  • 出演:ニコール・キッドマン、セバスチャン・スタン、トビー・ケベル、タチアナ・マスラニー、ブラッドリー・ウィットフォード 、スクート・マクネイリー、ジェイド・ペティジョン 他

Nicole Kidman in Karyn Kusama's DESTROYER

「ガールファイト」(2000)などのカリン・クサマがニコール・キッドマンを主演に迎えて送るミステリークライムスリラー。

その他の出演者は「アベンジャーズ」シリーズのセバスチャン・スタン、「猿の惑星:新世紀」などのトビー・ケベル、「ボストン・ストロング」のタチアナ・マスラニーら。

とにかくニコール・キッドマンのその容姿の変貌っぷりが話題となり、今作はゴールデングローブ賞でも主演女優賞にノミネートされました。

ニコール・キッドマン主演で話題性ある超絶イメチェンもあり公開はすぐかと思えば、今2019年10月現在はまだ日本公開未定?のようです。

海外で観る機会があり鑑賞しました。

2020.10.23日本公開が決定しました。(2020.8.20)

Nicole Kidman in Karyn Kusama's DESTROYER

ロサンゼルス市警のエリン・ベル。仕事場に暮らし、車の中で寝泊まりする彼女に新しい事件の情報が入ってくる。

ある男の射殺体が発見されたが、身元は不明であり、メッセージのように強盗対策のインクがついたドル札が置かれているというもの。

そのドル札はエリンにとって忌わしい記憶を呼び起こすものである。

彼女はかつて、相棒でありパートナーでもあった刑事クリスと、砂漠地帯を根城にするギャングへと潜入していた。

その後起きた悲劇、因縁が再び彼女に付きまとい始める。

Nicole Kidman in Karyn Kusama's DESTROYER

この作品を一目観れば誰しもが圧倒されてしまうのが、ニコール・キッドマンの風貌です。

本当に「アクアマン」(2018)でアトランナ女王を演じた彼女なんだろうかと疑ってしまうほどの変わりようです。

始まってすぐに車の中で目覚める彼女の顔の大写しには、美しさなどなく醜悪さが漂います。ただキッドマンが纏うのはただの容姿の変化だけではありません。

徘徊するような歩き方、一度戦うとなったときの銃の構えや動きからも、内側までも変貌しきった彼女が伺えますね。

もはや悪臭もするのではないかという汚れきったキッドマンの凄みのある演技から、終始目が離せませんでした。

Nicole Kidman in Karyn Kusama's DESTROYER

紐解かれていくのは彼女がどうして、ある意味歩く屍のような、それでいて何かに今でも憑りつかれたような姿になったのか、その理由です。

そこでまたカットバック方式で現在と過去が語られていくのですが、時制の遊びに関しては個人的にいい感じに思います。

現在と過去を行ったり来たりで、キッドマンの変貌ぶりとやっぱ素のとき美人だなと思ったりとありますが、この構造自体が観客へのミスリードになっていたり。

当然のことと思いながら見る映画というメディアのルールを保証されていないものだと突っぱねるオチにはやられました。

で、そこに行きつくまでにもノワール的な暗い話が繰り広げられ、すでに過去になった者たちが現在も交えて出てくるんですが、”存在感”も良かったと思います。

セバスチャン・スタン演じるクリスがいかに大きな存在だったか、喪失が何よりも効いてくるその寂しいと思わせる存在感。

そしてあのロン毛で邪悪なトビー・ケベルの忌々しさ。「怪物はささやく」とかでは頼りない人やってたり、猿の惑星のコバもうまかったり、演技の幅がすごいです。

Nicole Kidman in Karyn Kusama's DESTROYER

だんだんと見えてくる全体像に、エリンがなぜそこまでして娘を保護しようとするのかもわかります。ただ、本人があんな感じなんで、説得力はないんですけれども。

過去を考えれば彼女の必死さも理解はできますね。

自分のせいで大切な人が死ぬ。それを背負って生き続けてきた。

彼女を廃人のようにし、半ば狂わせたのも過去の出来事であり、そして彼女をかろうじて生かしているのも、その因縁との決着、復讐を求める心であると思います。

プロットの構成上仕掛けを迎えるまでは待ちなのですが、ニコール・キッドマンの圧巻の風貌と演技(しかも過去と現在で別人並みでおもしろい)、ジリジリとしたトーンや陰惨な環境のノワール具合など空気としても楽しめる作品と思います。

深く贖罪の旅に出るようなものではなく、B級クライム映画としてキッドマンという光るものを一つ持ったソリッドな作品でした。

今回は感想はこのくらいで。最後まで読んでいただきありがとうございました。

それではまた。

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