「ザ・ロストシティ」(2022)
作品概要
- 監督:アーロン・ニー、 アダム・ニー
- 脚本:デイナ・フォックス、アーロン・ニー、アダム・ニー
- 原案:セス・ゴードン
- 製作:ライザ・チェイシン、サンドラ・ブロック、セス・ゴードン
- 音楽:パイナー・トプラク
- 撮影:ジョナサン・セラ
- 出演:サンドラ・ブロック、チャニング・テイタム、ダニエル・ラドクリフ、ブラッド・ピット 他
アーロン・ニー、アダム・ニー兄弟監督が贈る古代の財宝を求めるアクションアドベンチャー作品。
冒険物語を背景に執筆する恋愛小説家が、その小説に出てくる古代遺跡の財宝を狙う億万長者に拉致され、無能な小説のカバーモデルと一緒に逃走しながらも財宝探しをするという内容。
「トム・ソーヤーの盗賊団」など手掛けていたので、まあなじみあるような冒険ジャンルなのかもしれません。
主演は「オーシャンズ8」などのサンドラ・ブロック、またカバーモデル役には「フォックスキャッチャー」などのチャニング・テイタム。
さらに億万長者をダニエル・ラドクリフ、そして救助を依頼された謎多き男をブラッド・ピットが演じるなど、豪華な面々がそろっています。
サンドラ自身制作も手掛けている作品で、コメディ色の強い部類の冒険ものです。SXSWで結構好評だったらしく、映画館でもTOHOなどでは結構前から宣伝が流れていました。
正直そこまで鑑賞意欲は高くなかったのですが、サンドラ・ブロックは俳優業から一時離れて休むという発表もあり、こちらが現在最後の出演作になるとのことでその見送り的なところもあり鑑賞。
公開週末でスクリーンが大きいわけではないものの、結構混雑していてほとんど満員状態でした。
~あらすじ~
スランプに陥って家にこもりきりな恋愛小説家ロレッタ。
うだつの上がらない彼女のために、エージェントであり親友のベスはブックツアーを開催し、ロレッタを参加させる。
そこでは本のカバーモデルを務めている軽薄な男アランがいて、会場を盛り上げようとするも大失敗。
口論の末に会場を先に出たロレッタだが、謎の集団に拉致されてしまう。ロレッタを拉致したのは大富豪フェアファックス。
彼の目的はロレッタの小説に登場する失われた都市の伝説の財宝”炎の冠”。小説家でありながら、実際の伝説において誰も解読していない暗号を解いていたロレッタに、財宝のありかを調べさせる気なのだ。
誘拐を知ったアランは友人のジャックとともに救出のためにロレッタを追い、ジャックの活躍でなんとかロレッタを助け出すも、ジャックは命を落としてしまう。
財宝のありかを示す羊皮紙をくすねていたロレッタは、フェアファックスの追ってから逃げながら、頼りないアランとともに財宝探しを始めた。
感想/レビュー
気楽なポップコーンムービー
大切なのは今作のトーンに対する期待値と言いうか、事前のすり合わせだと思います。
予告編の時点でもどんな作品なのかはわかるのですが、シリアスなアドベンチャーではありません。
「ロマンシング・ストーン」とかそういった緩いロマンスアドベンチャージャンルの系譜に分類されるでしょうか。
非常に軽くてギャグ満載、気楽に見れる娯楽作品です。
全体にそうしたジャンルの後継作品としては完成度が高くまとまっていると思います。家族や友人、カップルで楽しく観るポップコーン映画。
その意味では期待をしなくて、あまり集中しなくてもいい映画として、こういう作品も需要があると思います。
楽しい中でも画的にはやはり豪華な俳優陣がいることで、しょぼさがないのもいい作用でしょうか。
セルフパロディ的な役回り
それぞれの役どころについても、テイタムなんて「マジック・マイクXXL」と「21ジャンプストリート」を掛け合わせたようなキャラですし、ブラッド・ピットは「ファイトクラブ」のタイラーみたいな謎めいたかっこよさがあります。
セルフパロディ的な部分もあって、今作のメディクロス(小説の中の関係性や冒険と、現実での関係と冒険)が映画と現実にも感じられたようでおもしろかったです。
サンドラ・ブロックが今作にて一時俳優業休業とのことですが、こんな感じで気の抜けた、演者たち自身が楽しい映画を最後にしたかったのでしょうかね。
見やすく気楽なコメディ
道中のコメディに関しても結構スラップスティックだったり、チャニングの外し感とか大きな子供感とかですっきりしていました。
サタイアもブラックユーモアもなく、差別的な笑いなんかもないのでその点もストレートだったのではないでしょうか。
ヒルのシーンは予告でも受けてましたが本編中もしっかり笑いに包まれていましたね。私は外し系の笑いが結構好きなのもあったので、アランのシーンは大体が好きでした。
本人はボケているつもりがないけど、いたって真面目に言っていることがズレているの面白いですよね。
良くも悪くも期待を越えない
ちなみに主たるドラマとしては、夫との死別から自分自身の時間を止めてしまった、過去を清算しきれないロレッタが、冒険を通してそれを乗り越えていくところにあります。
またアランも自身の”足りてなさ”を認めて、なおも前に進もうとするところでしょう。
炎の冠の真相なんかとある程度はそのロレッタのドラマについて絡んでいますけれど、内容の薄さは正直否めません。
悪役のフェアファックスもあんまり怖くも面白くもないし最後の処理含めて微妙です。
結局は期待を下回ることもなければ上回ることもなくて、気楽に楽しい時間を過ごすだけのポップコーンムービーでしょう。
たまにはこういう作品も良いでしょうし、”考えたくない、感動したくない”時にはちょうどいいのかな。
もちろん私としては物足りなさがありますけど、一定の需要には答えていそうな作品でした。
今回はかなり短い感想ですが、ここまでです。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。
ではまた。
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